↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/17

第005話 王都とネコ

 首尾よく城門を抜けた瞬間、クロたちの足がピタリと止まった。


「にゃにゃ……なんにゃこれ」


 目の前に広がっていたのは、これまで見たこともないほどの人混みだった。大通りには露店がずらりと並び、色とりどりの旗がはためいている。


「にゃにゃ、祭りかなんかにゃ?」


「ほんとにゃ……すげー人がいるにゃ」


 ミケが箱を抱えたまま、目をまん丸にしている。


「猫に、犬に……人もいるにゃ」


「あ、あそこ見るにゃ! 赤い顔してツノが有る巨人がいるにゃ!」


 クロが指差した先には、身の丈二メートルはあろうかという、真っ赤な肌に立派なツノを生やした鬼族の男が、涼しい顔で大樽を軽々と担いで歩いていた。すれ違う人々も特に気にする様子はない。


「にゃ……にゃんか、猫だけの村で育つとこの光景は衝撃にゃ……」


 タマも珍しく、しばし呆然としていた。


 考えてみれば当然だった。彼らのギルドがあったのは猫獣人だけの小さな村。街に出るのはこれが初めての者ばかりだったのだ。


「あの、露店から良い匂いがするにゃ……」


 シロの鼻がヒクヒクと動く。焼き魚の匂いだった。


「にゃ!? 待つにゃシロ!」


「ミケも気になるにゃ……」


「箱ごと突撃するのはやめるにゃ!」


 案の定、四匹の視線が同じ方向――魚の屋台に吸い寄せられていく。


 タマが慌てて全員の首根っこ(正確には尻尾)を掴んだ。


「落ち着くにゃ! まずは情報収集にゃ! ワンチュールの手がかりを探すのが先にゃ!」


「わかってるにゃ……でも匂いが……」


「わかってないにゃ!!」


 雑踏の中、猫たちの小さな攻防戦が繰り広げられる。道行く人々は微笑ましそうにその光景を眺めながら、足早に通り過ぎていった。

 こうして冒険王を目指す一行は、初めての大都会で、早くも試練(主に食欲との戦い)に直面するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。