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第002話 門番と問答

「――ガードマン、ガードマン、こちらガードマン。東城門にて不審な猫数匹を発見!至急現場に急行せよ!」


 無線越しの声に、詰所の隊長が跳ね起きた。


「不審な猫だと!? 状況を報告せよ!」


「え、えっと……木箱に入って動かない三毛猫が一匹、城壁をよじ登ろうとしているブチ猫が一匹、門番の弁当を狙って伏せている白猫が一匹……あと」


「あと?」


「あと黒猫が、なぜか門の前で『冒険王に、にゃ〜は、なる!』と叫んでいます」


 隊長は無線を握ったまま、しばらく沈黙した。


「……それ、事件性あるのか?」


「わかりません! でも見た目のインパクトがすごいです!」


――一方その頃、東城門前。


「よし、この城門を抜ければ王都にゃ、いよいよ本格的な冒険にゃ!」


 クロが胸を張って宣言する。しかし門番は槍を構えたまま、明らかに困惑していた。


「あの……通行証は?」


「にゃ? そんなもの持ってないにゃ」


「じゃあ通れません」


「にゃにゃ!?」


 ミケが箱の中からため息交じりに顔を出す。


「クロ……冒険王になる前に、まず通行証を取らないといけないにゃ」


「そんな地味な手順、伝説に書いてなかったにゃ!」


「伝説は大体、面倒な部分を省略してるものにゃ」


 門番の背後で、無線がまた鳴った。


「隊長、状況変わりました。不審な猫たち、今度は門の前で通行証の有無について言い争いを始めました」


「……もう放っておけ」


 こうして、冒険王を目指す一行の第一関門は――役所手続きだった。

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