↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/17

第015話 冒険者講習、結果発表

「にゃああああ!! 的が燃えてるにゃ!!」


 ようやく状況を理解したミケが、木箱を放り出して駆け出した。だが向かった先は消火ではなく、なぜか近くに置いてあった水桶だった。


「水にゃ、水持ってくるにゃ!」


「ミケ、その桶――」


 タマが止める間もなく、ミケは桶を両手で抱え上げ――勢いよく、燃える的ではなく、虫を追いかけて戻ってきたクロに向かって水をぶちまけた。


「うにゃあああっ!?」


「あ」


 盛大な水しぶきと共に、クロがずぶ濡れになって地面に転がる。的の炎は、依然として元気に燃え続けていた。


「にゃにゃにゃ、黒焦げになってると思ったにゃ!」


「元から黒いにゃ、間違うにゃ!!」


 ずぶ濡れのクロが叫ぶ。


 ガロウが呆れた様子で水魔法を詠唱すると、慣れた手つきで的に水球をぶつける。ジュッという音と共に、炎はあっさりと鎮火した。


「「「「おお〜〜〜、すげーにゃ! 魔法使いにゃ!」」」」


 シロが四苦八苦した水魔法を、ガロウはあっさり発動し消化すると、猫達の拍手喝采を受ける。


「……お前らを見ていると、俺が指導した中で一番、色んな意味で規格外だ」


「にゃ〜〜、そんにゃ褒められるほどでも〜」


「褒めてない」


 ガロウは深いため息をつくと、評価表にまとめて何かを書き込み、四匹に向き直った。


「戦闘技術は正直、お世辞にも高いとは言えない。魔法も基礎レベルも怪しい。最もこの程度の冒険者志望は珍しくも無い、しかし――」


 そこで一旦言葉を切り、ガロウは意外にも真面目な顔で続けた。


「お前らには、変な度胸と、諦めない粘り強さがある。的を燃やして、仲間に水をぶっかけて、それでも笑って前に進める奴は、そう多くない」


「にゃ……」


 タマたちが顔を見合わせる。


「登録は認めよう。ただし――」


 ガロウがニヤリと笑った。


「Fランクからだ。危険な依頼は受けさせられん」


「「「「にゃ、了解にゃ!」」」」


 こうして、燃えた的と、水浸しの黒猫という代償と引き換えに、四匹は無事に(本当にギリギリ無事に)正式な冒険者として登録されたのだった。


 受付に戻ると、あの受付嬢が四枚のFランクカードを用意して待っていた。


「おめでとうございます。これで皆さんも正式な冒険者です」


「にゃあああ、やったにゃ!」


「ついに一歩前進にゃ!」


 カードを受け取り、はしゃぐ一同を見ながら、受付嬢はふと思い出したように付け加えた。


「そういえば、《猫神の贈り物》の伝承について、もう少し詳しい話を知っていそうな方がいますよ」


「にゃ!? 本当にゃ!?」


「はい。この王都の外れに住む、少し変わった学者さんです。伝承や古い文献に詳しくて……ただ」


 受付嬢は、少し言いにくそうに言葉を濁した。


「ただ?」


「その方も――大変な猫好きで有名なので、話が長くなるかもしれません」


 四匹の顔に、期待と一抹の不安が入り混じった表情が浮かんだ。


「……にゃ、それってつまり」


「同類の匂いがするにゃ」


 こうして、冒険王を目指す一行の次なる目的地が、静かに決まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。