↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/17

第010話 ギルドマスター、タマ

 受付嬢は広げられた羊皮紙をまじまじと見つめ、そこに書かれた文字を目で追った。


「……えっと、これは……『たまギルド』発行の依頼書?の様なものですね……」


 依頼書だと拡げられた羊皮紙は、ところどころが黄ばみ、端は少し丸まっている。押されている印章も、王都ギルドの公式ものとは明らかに違う、手作り感のある肉球スタンプだった。


「にゃ! うちのギルドマスター(タマ)が発行した、正式な依頼にゃ!」


「発行者、タマ本人が今ここにいるにゃ」


「にゃにゃにゃ!」


「自分で発行して自分で受注したにゃ!」


受付嬢のこめかみに、うっすらと汗が浮かぶ。


「……つまり、この依頼は、冒険者ギルドの公式依頼ではなく……皆さんの村の、内部で発行された依頼、ということですね」


「そうにゃ!」


「でも正式にゃ!」


「印章もあるにゃ!」


「……印章の権威については、少々お答えしかねますが……」


 受付嬢は、崩れかけていた営業スマイルを何とか繋ぎ止めながら、丁寧に頷いた。


「なるほど……つまり皆さんは、独自に《ワンチュール》の探索依頼を立てて、それを自分たちで受注し、実行中、ということですね」


「そうにゃ! わかってるにゃ!」


「顔だけじゃ無かったにゃ」


「違うにゃ、オッパイも立派にゃ」


「何処見てるにゃ、セクハラにゃ!」


タマがクロの頭を軽く叩く。


 受付嬢は一つ咳払いをすると、話を整理するように口を開いた。


「では、王都ギルドとしてできることは、情報提供のご協力と……もしよろしければ、皆さんを《正式な冒険者》として、当ギルドに登録することです。今のままでは、依頼を受けても正式な実績として認められませんし、危険な場所への立ち入り許可なども下りません」


「にゃ!? 登録できるにゃ!?」


「にゃにゃ、俺たち、本物の冒険者になれるにゃ!?」


 四匹の目が、期待に輝く。


 受付嬢は、内心「これは前途多難だ」と思いながらも、営業スマイルでそれを覆い隠した。


「はい。ただし、登録には簡単な筆記試験とと実技講習がございます」


「「「「にゃ!?」」」」


止まった空気に、シロがぽつりと呟く。


「……にゃ、筆記試験って、何すればいいにゃ?」


 受付嬢は資料をぱらぱらとめくり、にこりと笑った。


「ギルドや冒険者としての基本的なルールなど、簡単な講習を受けて頂いて、その後理解されたかどうかの試験が御座います」


 猫たちは互いに顔を見合わせた。


 ……試験。


 彼らが最も苦手とする二文字が、そこに並んでいた。


「にゃ……にゃんか、嫌な予感するにゃ」


 タマの呟きに、誰も反論できなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。