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学者と弟子 4記録の増殖
学者と弟子 4
夏霧と胞子を裂くように
学院の黒い外套を翻して
図書館へ向かう。
鳴らない呼び鈴のそばで
書き物をしている司書に
挨拶をして
いつもの本棚の前に
仕事道具を並べていく。
昨日忘れて帰った台帳に
知らない題名が
知らない筆跡で
書き加えられていた。
「…これは」
師は本棚に駆け寄って
その題名を探しにいく。
私は受付で書き物をしていた
司書に事情を説明したが
「…その本は見つかりましたか?」
と聞かれてしまい、言葉につまる。
遠くから師が
あった!
と叫ぶのが聞こえた。
司書が
「…図書館の親切心でしょうか」
と、訳が分からない事を言った。




