表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ隣にいたからという理由で俺様公爵の婚約者になっただけなのに、何故か溺愛されています  作者: minori


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/7

6.初デートの感想


 買い物が終わった私たちは馬車に揺られながら、私の家へと帰っていく。

 マダムベルの魔法にかけられたレオンハルトを目の前にした私は、なんだかそわそわと落ち着かない。レオンハルトも窓の外を見ていて、私と目を合わそうとしない。

 こいつも何を考えているんだろう。


「楽しかっただろ」

「え?」


 急にレオンハルトは話を振ってきた。

 私は何を言っているのかと思いながら、聞き返す。

 レオンハルトはいつもの自信たっぷりだけど少し厭味ったらしいあの顔で私に再度尋ねた。


「今日、俺といて楽しかっただろ」

「……どちらかというと疲れましたよ」

「ふん、強がって。あんなに楽しそうにしてたのにな」


 レオンハルトが楽しそうにそう言う。

 レオンハルトのことはプレイしていた時は好きじゃなかったし、今もこの俺様態度は好きじゃない。でも、今日の私は確かに久しぶりにこんなに色々な感情を出した気がする。


「まぁでも、そうですね。楽しかったですね……」


 私が素直にそう言うと、今度はレオンハルトが目を丸くして私を見た。

 自分が楽しそうにしていた、と指摘してきたのに、こちらがこう答えると面食らうのだから面白い人だ。私はレオンハルトのそんな様子にくすくすと笑ってしまった。


「ふふふ。自分から言い出したくせに、なんでそんな顔するんです?」

「な、お前が急にそんな事言うからだろ」

「照れてるんだ」


 からかうような調子で言うと、レオンハルトは頭を掻きむしりながらそっぽを向いた。たかだか20そこそこの男。ちょっとからかっただけで、こうやって困ってしまうのだから可愛いものだ。

 案外、戦争狂なんて言われながらも、恋愛には初心(うぶ)な可愛いらしい男なのかもしれない。

 私がレオンハルトのそんな様子にくすくすと笑い続けていると、レオンハルトはやけくそになったような口調で不貞腐れながら言い放った。


「あぁ、そうだな。照れているのかもな。愛しの婚約者様からそんな言葉を言われたら、男は照れちまうんだよ」


 レオンハルトの”愛しの婚約者”だなんて言葉を聞いて、顔が熱くなったが、ふと思い返す。

 私は隣にたまたま居ただけのラッキーな期間限定の婚約者なのだと。

 熱は冷め、馬車の小窓から我がボロ実家が見えた事で、さらに現実に引き戻されていく。

 12時の鐘が鳴っているわけでもないのに、マダムベルにかけられた魔法が解けていくようだ。

 

「王女様の結婚から逃げる為だけの婚約者をそんな風に言わなくていいですよ」


 ぽつり、と口から言葉が零れた。


「あ?」

「私、期間限定なんですから」


 そう、この関係は期間限定なのだ。

 改めて口に出すと、さらに気持ちが落ち着いた気がした。

 私はユリアンに会いたいし、できれば最推しルートを歩みたい。

 それに、今日一日一緒にいて思ったが、やはりレオンハルトと私は合わない気がする。

 彼は派手過ぎるのだ、何もかも。私はどちらかというと、教会の子供達と遊んだりささやかでも穏やかな日々を過ごしたい。

 ……まぁ、これも期間限定のお話。王女様がぼちぼちご婚約されるのだから、それまでは少しのこんな時間も楽しいかもしれない。


 私がぼうっと小窓の外を見る。家はどんどん近づいてきていた。


「楽しかったんじゃなかったのかよ……」


 レオンハルトの小さな声が聞こえた気がした。

 本当に小さくて聞き間違えかと思ったが、レオンハルトの顔を見る。少し不貞腐れた子どものような顔をしているから、たしかにそう言ったようだ。

 俺様公爵様のプライドを傷つけてしまったみたい。

 私はレオンハルトが悪い訳じゃない、と言葉をかけようとしたが、ちょうど馬車が止まり、家に着いてしまったようだ。


 レオンハルトがエスコートをして、私を馬車から降ろしてくれた。

 先ほどの弁解をしようとすると、その前にレオンハルトが口を開いた。


「じゃあ、また明日な」


 あまりにも平然とそう言い放つものなので、私は急に何を言い出したのか理解が出来ず、立ち尽くした。


「……え!? 明日もくるんですか?」


 ようやく情報処理が出来た頭で、レオンハルトに叫ぶ。

 いくら今は平和とは言え、レオンハルトは一応若き公爵。そんな毎日のように私のような貧乏男爵令嬢と遊んでいる暇などないはずだけど。

 私が動揺していると、レオンハルトは憮然とした口調で言い放つ。


「今日楽しくなかったんだろ。明日も明後日も、お前が満足するまでやめないからな」

「いや、そうじゃなくて!」

「じゃあな、明日も楽しみにしていろ」


 レオンハルトは颯爽と馬車に乗り、自身の公爵邸へと帰っていく。

 あーもう、本当に人の話を聞かない! だから、あんたのそういうところが嫌なんだってば!


 私は大きくため息をつきながら、家の門をくぐった。

 明日もレオンハルトが来るといったらメイド達は大はしゃぎで私を入浴させ、化粧水やマッサージをして明日のデートに備えさせる。おじい様もおばあ様も私がレオンハルトと仲睦まじいのだと思い、こちらも大はしゃぎ。孫の幸せに大喜びしている。

 

 私は明日、気が重いんだけどな……。

 でも、今日一日楽しかったし、明日も羽を伸ばす一日にするか。

 憂鬱な気分のままふくらはぎを良い香りのオイルでゴリゴリマッサージされながら、私はいつの間にか眠ってしまった。

 

 翌日朝の4時にやってきて、山登りをすると言い始めたレオンハルトにブチ切れるのはまた別の話。


読んで頂きましてありがとうございました。

良ければリアクションやブクマ、評価、感想をいただけるととっても嬉しいです!励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ