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第五話 出来ること、出来ないこと


 頭の中で不思議な感覚が渦巻く。

 喜び?

 畏怖?

 期待?

 興奮?


 いくつもの感情が俺の冷静な思考を阻む。


 やれる。

 俺にはやれるのだ。


 この力を使えば、あの人でなしどもに思い知らせてやることが出来る。


 どうやって?


 今から考えればいい。


 超能力なんてテレビや漫画の中での空想でしかないと誰もが思い込んでいる。

 実際、俺も今の今までそう思っていた。


 しかしこの力はリアルだ。

 必ず出来る。復讐だ。

 どうやって?


 出来る。俺には出来る。

 どんな方法で?


 ダメだ。考えがまとまらない。


「ちょっと頭を冷やすか……」

 10分ほど同じ思考をぐるぐると繰り返した後、俺は独りごちた。




 夜の公園は静かだ。

 住宅街の公園は人気もなく空恐ろしい静寂と闇だけがそこにある。

 俺はベンチで星を眺めていた。


「やっぱり、現状把握だよな」

 心の思考が思わず口から漏れる。


 復讐するにしろしないにしろ、まずは自分に出来ることの確認が大切だ。


 コップは動かなかったが、金魚は浮かすことができた。

 いったい、どれくらいのものまで動かせるんだ?

 まずはそこからだろう。


 俺は24時間営業の総合スーパーマーケットへ向かう。

 文具コーナーやおもちゃコーナーを探し回り、重りを探す。

 残念ながら、理科の実験で使うような分銅は置いていない。


 どうする。


 そのときふと、高校時代に何かの授業で聞いた雑学を思い出す。

『1円玉はかなり正確に1gだ』

 誰の言葉だっただろうか。言葉の主は思い出せないが、この際気にしないこととしよう。

 重要なのは一円玉が重りの代わりになると言うことだ。


 俺は財布の中を見る。

 残念ながら一円玉は一枚もない。


 どうでもいいときは邪魔なくらい財布に入っているのに、こんなときには一枚もないのだ。


 仕方なく、俺は24時間スーパーで、末桁が1円か6円の商品を5度ほど自動精算レジで購入し、1円玉20枚を手に入れた。


 ついでに小さなビニール袋を購入する。

 1枚は1gもないだろう。




 自宅に帰り着いた俺は、早速ビニール袋に1円玉を入れる。


 1枚……、難なく動いた。空中に固定することも出来る。


 2枚……、問題ない。


 3枚……、4枚……、5枚……、まだいける。


 6枚……、7枚……、8枚……、まだまだ……、動かせる。


 9枚……、10枚……。


 一円玉の詰まったビニール袋は動かなくなる。

 番町皿屋敷ではないが、10枚目はダメだった。

 9枚までだ。

 小さなビニール袋の重さを考えると、10g弱が俺の超能力の限界値ということだ。


 あまりにも小さな数値に、これだけしかないのかと先ほどまでの興奮が少し冷める。

 しかし、これだけでも特殊能力には違いない。

 要は使い方だ。


 俺の目的ははっきり言って復讐だ。

 今まで俺や俺の同期生をいじめ抜いてきた課長の輝實とその後釜の鬼塚を許すことは出来ない。


 しかし、10gに満たないサイコキネシスで果たしてそれは可能なのか……。







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