第8話
ミュゲルとの交渉に無事成功した雄馬たちだったが、その直後、グラジオラスと地球の政府が城や金星中に兵を送り込み、ミュゲルと金星中の者を拘束した。そのことで、うまくいっていた交渉も、最初から金星に兵を送り込む為に雄馬達がミュゲルの気を引いた作戦だったとミュゲルに誤解されてしまった。更に、雄馬たちは金星人に変装して為に、兵士、グラジオラスや政府の者にも雄馬たちの存在に気付いてもらうことも、発言をすることも許されない状況に陥り、雄馬は捕まっていた兵士の隙をついてDSTDを使ったが、果たして、この絶体絶命な状況を雄馬たちは切り抜けることができるのだろうか?!
ここは、、、どこなんだ?たしか、、俺はミュゲルさんと話をして、、仲良しになれて、それで、、、そうだ!!俺はDSTDを使ったんだ!
朦朧とした意識から一気に目を覚まし、飛び起きるようにして上体を起こした。
辺りを見渡すと、そこら一帯は焼け野原だった。
「ここは一体どこなんだ?なんでここはこんな焼け野原で誰もいないんだ?DSTDを使って、あの状況を俺はどうにかしようとしたんだ。なのにここは、、一体どこなんだ?」
「ここは金星だよ。」
背後から突然誰かが答えた。声に驚きながらも振り向くと、そこには真っ白い天使のような洋服を着た10才くらいであろう可愛らしい男の子が立っていた。焼け野原にポツリと美しく立ち尽くす少年は、ここら一帯の景色からは明らかに浮いているように見えた。
「君はだれ?どこから来たの?お父さんとお母さんは?」
「いないよ。そんなことより、知りたい?」
「いないって、、、?一体何があったんだい?知りたいってなにを?」
「どうしてこんなことになったのかを、知りたい?」
「あ、、ああ、、、この場所に一体何があったのか教えてくれるかい?」
「雄馬、きっと君は信じたくないと思うけど、ここは金星。そして今は、君がここへ来る前にいた時間から数年先の未来だよ。この世界では、宇宙規模で戦争が起こって、金星は戦争によって朽ち果ててしまったんだ。」
「数年先の未来って、、、どうしてそんな未来に俺が来ているんだ?それになぜ君は、俺の名前を知っているんだ?君は一体何者なんだ?」
「僕はhmsstpy。この世界のあるものを司る者。君が僕の司る、あるものに深く関与している為、そしてそのものに危機が迫っているから、僕がこうして出向いたの。」
「ではあなたは人間ではないということですか?俺があなたの司るものに深く関与していると、、、その司るものとはなんですか?」
「僕は人間ではないよ。この世界の調和を保つ者の内の一人。君が僕の司る何に深く関与しているかは言えない。けど、君みたいな人間を今までに何度も見たことがあるよ。」
「俺みたいな人間を何度も?それはそうと、、、そんな神様みたいな方が一体俺になんの用ですか?」
「君が持っているDSTDという物、それは使う者によってはとても危険なもの。」
「それは散々体験してきているので分かっています。」
「分かっていて、どうして君はこの世界にいるの?」
「それは、、俺にも分かりません。」
「この世界が今どうなっているか、君は知ってる?」
「知らないです。」
「じゃあ見に行こう。」
「嫌です。」
「どうして?」
「怖いんです。」
「君は一人じゃないよ。僕も一緒に行くから、行こう。」
「一緒に?、、、でもやっぱり怖いんだ。」
「じゃあ、君が行く気になるまで僕はずっとここでこうして待つよ。」
「ウザったいんだよ!世界の調和を保つ者だかなんだか知らないけど、ほっといてくれよ!」
「そうかい。」
「そうかいってなんだよ!どーせあんたも俺のこと、ダメな人間だって思ってるんだろ?こんなところまできて、何もかもから逃げ出そうとしてる俺のこと、ガキみたいだって、愚かな奴だって思ってんだろ?
」
「そうかもね。でも僕はずっとずっとそういうのをずっとずっと見てきたから、そういう子供みたいで愚かな人間を見たのは、君が初めてってわけで、も特別だとも思わないよ。みんなそうだった。昨日のことのように覚えてる。あの子もあの子もみんな怖がって、みんな何かから逃げたがっていたんだ。だから僕は、君が子供みたいで愚かな人間だって思っても、それと同時に君が特別だとも思わない。」
「みんなって誰だよ?俺はそいつらとは違う。俺は違うんだよ!」
「どう違うの?」
「俺は、、、俺には何も無かった。だから、それが何かを自分で考えて見つけて、その見つけた夢の為に行動をしてきた。寿命を削ってまでやってきた。そうしたら、その叶えた夢が世界を救うことに繋がった
。それで、また救うために命を懸けた。寿命を削った。だから、俺はただ怖がって何もしなあいつらとは違うんだよ。」
「そうだね。」
「そうだねってなんだよ!!なんか言いたいことないのかよ!それとも俺のこと馬鹿にしてんのか?」
「君は僕にどう答えて欲しい?」
「そうやって、俺のこと馬鹿にしてんだろ。だからなんとも答えない。人間じゃないあんたには俺の気持ちなんて分からないだろうよ。」
「それで、君はどうしたいの?」
「どうもしたくないよ!俺はここにずっとこうしてるよ!」
「そう。じゃあ、僕はここで待つね。」
「勝手にしろ!」
それから数時間の沈黙を経て、どれだけ言っても一歩も動こうとしないhmsstpyに、俺は話かけたくなっていた。
「本当はただ怖いだけなんだ。だからあんたにこうして八つ当たりして。本当は全部わかってるんだ、これからどうすべきか。」
「うん、そっか。」
「俺、この世界を見て回りたい。それが例えどんな世界であっても、知りたいんだ。」
「うん、じゃあ行こうか。」
hmsstpyがそういうと、体が宙に浮いて、風は受けないが、もの凄い速さで金星中を見て回ることができた。しかし金星のどこを見渡してもどこにも人はいなかった。そこに広がるのはただの焼け野原だった。だが俺は、金星だけではなく、地球や水星ならば人間の一人や二人はいるだろうと、hmsstpyに頼んで連れて行って貰い、星中を見て回った。だが、そこに広がっていたのは、ただの焼け野原だけだった。
「どうしてなんだ、、どうして誰もいないんだ、、俺が守りたかったのはこんな未来じゃない。これじゃあ、、救われたのは俺だけじゃないか。俺は、一体何の為に今まで、足掻いて、寿命削って、命を懸けてやって来たんだ?そりゃあ、苦しかっただけじゃない。楽しかった想い出も沢山あるんだ。けど、、けど
、、これじゃ、なにも報われないじゃないか、、、。」
俺は持っていたDSTDを無意識に取り出していた。
「そもそもこんなものがあったから、世界はこんなことになって、俺もこんな風に思うことになったんだ。全部間違いだったんだ。こんなものが俺の元に届いて、俺の浮ついた好奇心で興味示したからこんなことになったんだ。俺が現実みて、普通に就職してりゃ良かったんだ。そしたらこんなことにもならなか
った。俺が世界をこんな風に変えることも俺が変わることもなかった。全部全部無駄だったんだ。全部俺と、このDSTDのせいだ。」
「でも君がやらなければ、誰かがその役割を担うことになる。そしてその担い手に、ただこの世界と自分の運命を委ねることになっていた。君はそれが嫌だったから、自分で行動したんだろう?そうしたいと君が望んだんだろう?」
「やめてくれ!もう散々なんだ!上手くいかなかったんだよ!結果は世界の破滅だった、、、それでも自分のしたことに誇りを持てと?やめてくれ、、もう俺は疲れたんだよ。」
「何をする気だ?まさか、、!やめろ!」
hmsstpyがそういった直後に俺はDSTDを地面に叩きつけ、DSTDを破壊した。その瞬間、世界の情景が渦を巻き始め、ぐちゃぐちゃのわけの分からない色をした空間に俺は吸い込まれ、そのまま意識を失った。
DSTDが破壊されてしまったこれからの未来、雄馬は一体どうなってしまうのか?!




