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hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第4章 闘い
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第2話

様々な星と繋がっていくことに対しての不安を抱いていた雄馬は、その胸の内を仲間たちに打ち明けた。それによって、仲田と考え方が違うことや、自分の科学者としての意識が低迷してしまっていたことに気づかされた雄馬は、新たな覚悟をした。そんなところに政府からの連絡が入った。果たして雄馬は、他の星との交流の付き添いについて話が来るであろう政府に対してどう対応し、科学者としてどのような道を選ぶのだろうか?!


「お久しぶりです、矢中さん。研究の進み具合はいかがですか?」


研究室のモニター越しにそう切り出した政府の人の質問に俺は坦々と答えた。


「ええ、変わらず順調です。」


「そうですか、、。それで、、、以前からお話していた他の星との交流、交渉のことについてですが、二日後に金星の一番地位と権力を持つ方にご挨拶に伺おうかと考えていまして、その際にご同行をお願いしたく、ご連絡させていただきました。」


「………、わかりました。その日のスケジュールは調整しておきます。」


「ありがとうございます。では二日後、宜しくお願い致します。今日は色々と急ぎの用がありまして用件だけの連絡となってしまいますが、これにて。」


モニターでの通話が終わると、神菜と仲田とキャシーの視線が俺に集まっていた。最初に口を開いたのは仲田だった。


「雄馬さん、、、良いんですか?」


「ああ、仲田の言う通り、俺は今ある幸せにしがみ付いて、守りに入ってばかりになっていたと思ってな

。まずは水星が仲の良い二つの星の内の一つ、金星から、まずは最初の一歩進んでみないと、どうなるかなんて分からないよな。」


「そうですよ!それでこそ雄馬さんです!」


「仲田、みんな、悪かった。これからも宜しくな。」


「はい!」


仲田は元気よく頷いてくれたが、俺のその決意を聞いて、神菜とキャシーさんはあまり良い顔をしていなかった。俺は不思議に思い、二人にその訳を聞いてみた。


「神菜、キャシーさん、どうしたんですか?」


「いえ、なんでもないのよ。」


「私も、なんでもないです。」


「もしかして、俺がさっき言ったことに対して怒ってるんじゃ、、だとしたら、本当に悪かった、ごめんなさい、、俺、また初心に帰ってやっていくから、、、だから、、」


「そうじゃないのよ。」


「私もそうじゃありません。」


「じゃあどうして、、、。?」


「ちょっとキャシーと二人にさせてくれないかしら?」


「でも、、、、分かったよ。」


そうして神菜とキャシーは部屋から出ていったが、俺はその時、二人が何を思っていたのか気になって仕方がなかった。





「それで、キャシーはどうして、納得してないの?」


「神菜こそどうして?」


「きっと私達、同じようなこと感じてるんじゃないかと思って、雄馬と仲田さんには聞かれない方が良いと思って、こうしてこの場を設けたの。きっとこの話を聞いたら彼らの決意を揺らがせてしまうんじゃないかと思ってね。」


「私もそう思うわ。」


「ってことは、やっぱり私とキャシーが考えていることは、きっと似たような理由ね。」


「そうね。」


「雄馬がこれ以上、色々な星とは関わりたくないって言った時、ほっとしていた自分がいたの。でもこれじゃいけないと思って、一瞬でもほっとした自分に腹が立ったの。ほっとしたのはきっと私の弱さで、雄馬が言うように、子供もいるし家庭ももって、このまま大きな変化もなく、普通の幸せだけにすがって生きていくこともありなんじゃないかなって、そう思ってしまったの。そういうことも含めて、科学者として、妻として、親としても、全てを背負って生きていこうと決めていたのに、一瞬でもそう思った自分に腹が立ったの。」


「私も同じ。だけど、家庭をもって幸せに思うことは、そんなに悪いことなのかな?」


「悪いことだとは思わないわ。ただ、どちらかを大切に思えば思う程、どちらかが私から離れていくんじ

ゃないかっていう感覚が消えないの。」


「私もそうだけど、どっちも大切に思ってるのなら、その感覚が産まれて当たり前なんじゃないかとも思うの。」


「そっか、、そうよね。私、逃げようとしてた。離れていくんじゃなくて、私が手放そうとしてるんだ。


「私も同じよ。大切に思うものが一つじゃないのならみんな一緒よ。逃げたくなる日だってあると思うわ

。けれど、みんなを想う気持ちや科学を想う気持ちを背負ってるって思うのも、強みだって思うのもきっと自分次第で、強みに思えない時は、辛いときは、またこうしてお互いに腹を割って話すことにしましょう?」


「そうね、キャシーありがとう。話せて、気持ちが少し楽になったわ。」


「私の方こそ、ありがとう。」



「神菜!キャシーさん!大変だ!」


ちょうど話し終えた神菜とキャシーのところに雄馬と仲田が慌てて入って来た。


「どうしたの?そんなに慌てて、、、。」


「びっくりしました、、どうしたんですか?」


「それが、、交渉しに行くと決まっていた金星が、地球の方に向かって、砲撃してきたって今、連絡が入ったんだ。命中せずに宇宙のどこかに流ていったらしいけど、、とりあえず、詳細が分かるまでは、世間には報せないらしい。」


「一体、どうしてそんなことを、、、。」


「とりあえず、俺たちはもしもの攻撃に備えて、警戒してくれと政府から指示があった。宇宙には何機か戦闘機が出されたらしいが、攻撃は受けてはいなく、まだこちらからも攻撃していないらしいが、、、。


俺がそう言い切った瞬間に、部屋にあったモニターに地球人でも水星人でもない、見知らぬ人物の姿が映り、その人物が話を始めた。


「始めまして、地球の皆様。いえ、初めましてというか、宇宙の歴史から言えばお久しぶりというべきでしょうか。私は金星の最高権力者ミュゲルです。皆さんはご存知ないでしょうが、実をいうと、皆さんの遠い遠い先祖の一部は、我が星、金星に身をおいていたことがあるのです。その昔、金星にラルミスという者がいました。ラルミスは私の大切な友人であり、かつて、ラルミスと私は、二人でこの星の最高権力者でした。彼自身とその子孫も含め、彼は永久に金星に身を置くと唱えていました。しかし、ある日ラルミスは地球という星の存在を知り、地球に強く恋焦がれました。それからというもの、ラルミスは変装をして頻繁に地球を訪ねるようになり、段々と金星に滞在する日数が減っていきました。

すると、彼は見る見る間に衰弱していき、心配になった私は、ラルミスにどうしたのかと聞きましたが、理由は答えず、少し疲れているだけだと言い張りました。ですが、時間が経てば経つ程に様子は酷くなってゆき、私は色々とラルミスのことを調べました。それで分かったのが、金星人が地球に滞在すると、急激に老化が進むということでした。それを知った私はラルミスにもう地球に行くのを止めるように話すと、彼は、老化が急激に進むことを知っていながら、地球に行っていたことと、地球人のある女性に恋をしたのだと話しました。ではなにも寿命を削って地球に行くようなことをせずとも、その女性を金星に連れてくればいいじゃないかと話すと、逆に彼女を金星に連れてくれば、彼女は金星で一日として、生きていられるかすら分からない、だから通っていると言った。では私と、この星の住人達との約束である、生涯この星に身をおき、子孫もこの星に永久に身をおくという誓いはどうなるのかと聞くと、彼はこう答えました。



「感情は自分で操作することはできない。一度、愛してしまったら、もう自分でもどうすることもできないんだ。すまない、俺は地球で生涯を過ごし、子孫をのこしたいと思ってしまった。誓いを果たすことができなくて本当に悪いと思っている。すまない。」と。


私はそういった彼に、



「この星に二度と足を踏み入れるな。二度と顔も見たくない。失せろ。」


と言いました。


そうして彼は地球に行き、地球で子孫を反映し、彼の子孫もまた子孫を反映させていきました。ですが私は彼が死んでも、彼を許すことができず、地球とは二度と関わらないと胸に決めていました。ですが、最近、友好的な関係にあった水星のグラジオラスさんが、地球との交流もしてみないかと話を持ち掛けて来られましたが、私は地球と水星が友好的な関係になったことに対しては目を瞑っていました。しかし、こちらに話が来た日、一度、はいと言ったものの、昔の感情が次第に蘇り、憎悪の念が抑えきれなくなり、今こうして、地球の電波を全てお借りして、そのことを伝えています。グラジオラスさんもきっと、もう昔のことだから水に流して、先に進んだ方が良い、新しく視野を広げていきましょうといった理由で私に地球との交流を勧めてこられたのでしょうが、私にとって、この問題は、そんな簡単に割り切れることではありませんでした。

今後、二度と金星に近づかないでください。これは、地球の皆様と水星の皆様への警告です。もし今後近づくことがあれば、今度は容赦なく攻撃をいたします。それでは。」


そうしてミュゲルからの通信は切られてしまった。

金星の最高権力者ミュゲルによって放たれた一発の砲撃は、遠い昔、金星人でありながら、地球と地球人を愛したラルミスという人物との因縁が原因となったものだった。

金星と交流を考えていた政府とグラジオラス、そして雄馬達は果たしてこの事態をどう受け止めていくのか?!



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