第11話
雄馬と仲田と神菜はDSTDの力を使いキャシーを水星から連れてマキシム達の宇宙船に戻ったかと思われたが、宇宙船に戻ったのは雄馬だけだと、雄馬はマキシムに伝えられる。雄馬は再びDSTDを使い、神菜達を探し出し連れ戻したいとマキシムに話すが反対されてしまう。それをせずに今後の未来をどう変えていくのかと雄馬はマキシムに訊ねるが、、、
「そのことなんだが、僕達四人で話し合った結果、もう過去は振り返らずに、君達の未来ではなく、これからの僕達の未来をしっかり見つめて、生きていくことを考えた方がいいんじゃないかという結論に至った。今僕たちの時代の宇宙では地球だけでなく、他の星でも戦争が起きている。傷ついているのは、僕達だけでも、地球だけでも、君だけでもないんだ。そういったことを視野に入れて考えた時に僕たちの過去をどうこうするよりも、今見えている未来をどうにかしていくことを考えて、君にもその為にDSTDを使って協力をしてもらおうかと、、、。」
「…待ってください。それって、あなた達が救いたいと思った、地球の人達の命や目指した未来、何より、あなた達の一番叶えたかった夢を捨てるってことですよね。本気で言ってるんですか?」
「本気だよ。」
「大科学者になるってそういうことだったんですか?!おい、マキシム!あんたが俺自身なら大科学者になりたいって思った時のその言葉の意味をあんたが一番知ってんだろ?!取り返しがつかない失敗をしたから、DSTDっていう最後の切り札を切ったんじゃなかったのかよ?!」
「ああ、君に言われなくても全部わかってるよ。でもこうするしかないんだ、、。」
「俺は絶対あんた達なんかに協力しない。」
「そうか、じゃあ仕方ないな。君には無理やりでも協力してもらうことにするよ。」
「どういうことだ?」
マキシム達は部屋からそそくさと出ていった。俺は意味が分からず、後を追って部屋から出ようとしたところ、扉はロックされて出ることができなかった。部屋から出れないでいると、マキシムの声だけが部屋のどこからか聞こえてきた。
「君が協力するって言うまで、君にはずっとそこにいてもらうよ。」
「何言ってんだ?!ふざけんな!開けろって!」
「君が考えを改めることを信じているよ。」
俺は未来の自分によって、閉じ込められてしまった。
しばらくの間、扉を叩きながら叫んでいたがそれも疲れてしまい、ジタバタしても状況は何も変わらないと思ったので、部屋にあったソファに仰向けになって天井を眺めた。
すると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「雄馬さん!雄馬さん!聞こえますか?雄馬さん!」
誰もいないはずの部屋の中で、突然声が聞こえてきたので、俺は驚いた拍子にソファから落ちてしまった
。それはキャシーの声だった。ようやく落ち着きを取り戻し体勢を立て直すと、返事をした。
「そんな大きな声で叫ばなくても聞こえますよ、キャシーさん。そういえば、キャシーさんはテレパシーが使えるんでしたね、テレパシーで話かけてくるなんてどうしたんですか?」
「やっと、聞こえた!良かったー!一か八かダメもとで、もう何時間もテレパシーで雄馬さんを呼び続けていたんです。声が届いて良かった。」
「何時間も呼び続けてるって、、今さっき、この部屋で会って話したばかりじゃないですか。それにそんなに焦ってどうしたんですか、、、って、え?も、もしかして、この時代のキャシーさんじゃなくて、数時間前に水星に一緒にいたキャシーさんですか?!」
「そうです!ようやく雄馬さんと話すことができて本当に良かったです!」
「今どこにいるんですか?神菜は?仲田は?無事なんですか?」
「無事です。今一緒にここにいます。ただ今、私たちは閉じ込められています。」
「みんな無事で良かったぁ、、、閉じ込められてるって一体誰にですか?」
「未来の私達にです。」
「未来の私達って、、マキシム達のことですか?」
「そうです。」
「実は俺も今閉じ込められていて、マキシム達には、実験が失敗して俺だけが無事に帰って来たと、聞かされていたんですよ。だけど、俺はどこにいてもまた神菜と仲田とキャシーさんを連れ戻したいから、DSTDを使って助けに行くって話したら、俺までいなくなったらマキシム達の存在すら保証されないといって行かせてくれない上に俺からDSTDを奪って、もう過去を変えるのは止めてマキシム達の時代の未来を救
っていくから、その手助けをする協力をしないとこの部屋から出さないって閉じ込められました。けど実験は成功して、みんなこの世界に帰ってこられていたってことですよね?」
「そうです。」
「でも、一体なんの為にマキシム達はそんな嘘を?」
「それは私達にもわかりませんが、、こちらの世界に来て、雄馬さんが床に横たわっているのを起こさずに私達だけこの宇宙船内の一室に誘導されてそのまま私たちも今いるこのお部屋に閉じ込められてしまいました。ただ、マキシムさんは、部屋を出ていく直前にこう言ったんです。
「僕達は、君達にはまだ伝えていないあることを知ってしまった。僕達は迷って迷って沢山考えたし、一度は本当に腹をくくった。君たちにとっての未来が救われることが僕たちの幸福だって思っていたけれど
、ある事を知ってからは、この世界に戻ってこれて、やっぱりそうじゃないと、結果的には思ってしまったんだ。すまない。」
と。どういうことか私達にはわかりませんでしたが、そう話していました。」
「俺たちに伝えてないことってなんでしょう。それにお互いの未来の為に協力し合っていこうって話していたのに、そう思えなくなることを知ったって、、おっさん達は一体何を隠してるんでしょう?」
「わかりません。ですが、まずはどうにか私達がここから脱出して、抵抗する手段を見つけて行かなければと思っていたのですが、、、ここから脱出することもできず、おそらく唯一自由の身であるかもしれない雄馬さんにテレパシーを送り続けて、救出していただくしかないと思い、こうしてようやく話すことができたというわけですが、、、。」
「わかりました。みんなが無事だってわかった以上、何よりも俺がこの部屋から出ることが先決ですね!とりあえず俺、マキシム達に協力するフリをして、この部屋から出ます。そして必ず助けに行くので待っていてください!」
「わかりました。雄馬さんを信じて、私達は待ちます。」
そう言って、キャシーからのテレパシーは途絶えた。俺は一刻も早く動き始めたいが、閉じ込められている以上、マキシム達が来るのを待つしかなかった。そう思っていると、部屋の扉が突然開いた。そこに立
っていたのは、この時代のキャシーだった。
「過去の私とは話せましたか?」
「なんのことですか?」
「とぼけなくても良いんですよ。今ここでしている話しとこれからする話は、マキシムさん達には、話すつもりはありませんので。マキシムさん達にはうまく言っておきましたが、過去の私がテレパシーを使って、あなたに話しかけてくることは想定していましたし。」
「どういうことですか?」
「つまり、あなた達の味方になることはできませんが敵になることも私にはできないということです。おそらく、DSTDの実験は失敗していなかったこと、この宇宙船に神菜さん達が無事でいることも過去の私からお聞きになられたことでしょう。その上で、なぜ私達がその事実を隠したのかを知りたいといったところでしょうか。そして、彼らの無事がわかった今、一刻も早く救出したい気持ちが1番にあることでしょう
。」
「そこまで知っていて、なぜ俺たちの味方にはなれないんですか?」
「私は、ケイシーさんとマキシムさん、ナンシーさんに心を救われて、この船に乗りました。それは、ただついてゆくというだけの意味ではなく、彼らと共に生きていくこと、自分の一生を懸ける覚悟をして、この船に乗ることを決断しました。理由は一つではありませんでしたが、踏み込もうと背中を押した一番の理由が、彼らの生き方、目標としているものの価値観が私にはとてもカッコ良く見えたからでした。そして、私自身もそうなっていきたいと強く望みました。ですが、今回の彼らの選択と行動は、それを全てくつがえしてしまう選択でした。私は、絶望しました。一生を懸けてついてゆこうと思ってきた仲間達のこんな姿を見て、せめてもの抵抗が、こうする方法しか思いつきませんでした。私は彼らの選択に反対をしました。ですが、恐怖に駆られた彼らの瞳からは、かつての輝きは失われていました。それでも彼らをただ引き離すことはできません。それを人は愛情と呼ぶのか、情と呼ぶのかはわかりませんが、彼らに光が見えなくても、絶望を感じても、心のどこかでまだ信じたい気持ちがあるんです。今まで彼らと過ごしてきた温かい思い出や記憶や希望が今は冷たくなってしまっても、明日にはひょっこり温かな形で戻ってくるんじゃないかと思うと、まだそれに賭けてみたい気持ちが、あなた達の味方になれない理由になるといえば正しいのでしょうか。」
「俺たちが知らないおっさん達が恐れるものって何なんですか?俺が知りたいのは、おっさん達が俺たちを裏切ることになった直接的な理由なんですよ。」
「それは今は話せないです。」
「なぜですか?」
「それを、今あなたにお話しすれば、今から私が話す賭け事に本気で勝負せずに、雄馬さんが手加減すると思うからです。」
「賭け事ってなんですか?」
「私はどっちの味方というよりも、お互いが本当の幸せと呼ばれるものに近いものを手にできる道を望んでいます。でもこれは私がどちらかの方につけば解決するという問題でもないと思うんです。こんな方法で運命を決めてしまうのは良くないことかもしれませんが、私があなた達をここから逃がすチャンスを作る代わりに、あることをしてほしいんです。」
「なんですか?」
そう聞き返すと、キャシーは宇宙船の図面のようなものと、何かが書かれたメモを俺に渡した。
「それはこの宇宙船の図面です。その図面とメモを見ながら、神菜さん達を救い出し、自力で脱走し、タイムマシーンで元の時代に帰ってください。タイムマシーンの時間設定は私がやっておくのと、、マキシムさん達が船内をバラバラに徘徊しない隙を狙って、私がテレパシーで合図を送ります。
この部屋や神菜さん達の部屋のロックの解除の仕方や各部屋の場所は、全てお渡しした図面とメモに書いてありますので。
ただし二つの部屋には、手動でロックを解除し10分が経過すると、警報システムが作動する仕組みとなっています。船内に警報が響き渡りますので、できればその警報が鳴る前に神菜さん達を救い出し帰還が成功すれば、あなた達はこれ以上マキシムさん達からの影響を受けることも邪魔をされることもなく過ごしていけることでしょう。ただし、それに失敗し、マキシムさん達に捕まった時はおそらく、二度とマキシムさんたちの手から逃れることはできないでしょう。それでもやりますか?」
「もちろんやります。ですが、キャシーさん、あなたの何を信用してその話にのれば良いですか?」
「何を信用するかですか?今お話ししたことが私の全てです。それ以上に、お話できることはありませんが、、この話はなかったことにしますか?」
「いいえ、やります。やらせてください。」
「雄馬さんならきっとそう答えると思いました。では私は一度、マキシムさん達のところに戻りますので
、タイミングを見て合図を出しますね。幸運をお祈りしています。」
「はい、ありがとうございます。」
それから程なくして、キャシーからの合図がきた。
まずはメモに書いてある通り、自分がいる部屋のロックを解除した。そして図面に神菜達がいる部屋が示してあったので、念のため少し周囲に警戒しながら小走りでその部屋へと向かった。その部屋は割と近かった為、時計は持っていなかったが、感覚的には2~3分で着いた。焦りのせいか、少し震える手を自分のもう片方の手で抑えながら慎重に、またメモの通りに扉のロックを解除した。扉が開くと部屋の中には神菜と仲田とキャシーさんが顔を揃えていた。
「みんな、無事で良かった、、、。」
俺はみんなの顔を見て泣きそうになったが、時間が無いので涙が出そうなのをグッと堪えた。
「みんな、、、みんなとこうしてまた会えてもの凄く嬉しいんだけど、今は時間がないんだ。とりあえず俺についてきてくれ。」
俺がそういうと、3人とも何も言わず俺についてきてくれた。
そうして小走りで、タイムマシーンのある部屋に向かって部屋の前に着くと同時に警報システムが作動し
、警報が鳴り始めた。
その部屋にはロックがかかっていなく、自動ドアだった為、扉の前に立つとすぐに扉が開いた。そして、部屋の中を見て俺は一気に突き落とされる光景を目の当たりにした。
マキシム、ナンシー、ケイシー、キャシーさんの四人が顔を揃えてそこには立っていた。
「これは、、どういうことですか?キャシーさん。」
「ごめんなさい。はめるつもりはなかったのですが、あなた達にはもう一つやってほしいことがあるんです。ですが、あなたのすぐそばにあるそのスイッチを押せば、タイムマシーンで元の時代に、あなた達はすぐに帰ることができます。さぁ、どうしますか?」
俺が未来のキャシーにそう言われて困っていると、マキシムが未来のキャシーさんに問いただし始めた。
」
「キャシーさん、これはどういうことですか?なぜ、雄馬くんたちがここにいるんですか?」
「私がここに招いたからです。」
「どうして?なんの為に?」
「彼らに話を聞いてもらう為、そしてあなた方3人に、希望を取り戻して欲しかったからです。」
「希望ってなんの希望ですか?もう僕たちの未来は希望に満ち溢れているじゃないですか。」
「いいえ、かつて希望をもって科学者として誇りをもって生きていたあなた達ならば、今回のような決断には至らなかったと思うんです。」
「でも!僕は最善の決断をしたはず。それに、最初からキャシーさんは、僕たちのやることに反対をしていましたよね。僕は怖いんです。一度は本当に自分の存在が消滅してしまうことに腹をくくったものの、またこの世界に戻ってくることができて、とても嬉しく思えてしまった。でも過去の僕達である雄馬くん達が僕のかつて望んだような未来を作れるようにことが進むと、僕たちの存在が消滅するということが確信に変わった日、僕は怖くて怖くて堪らなかった。ナンシーとケイシーだって同じです。」
「ちょっと、待ってください。おっさん達が消滅するってなんすか。その話はなかったんじゃ、、。」
「僕が真っ白な世界から帰って来て割とすぐに、そのことがわかってしまったんだ。僕達は、とても怖くなった。こうして自分の仲間たちと会話をすることも、これからの思い出を作ることも、もう二度とできなくなって、そうやって自分が存在したことすらわからなくなってしまうと思うと怖いんだよ。最初はそれでも君たちの邪魔をするのは躊躇すべきだと思っていた。
けれど君達が全員無事に帰って来たのを目にして、その躊躇は一瞬にして消え去ってしまったんだ。でもキャシーさんあなたは違った。あなたは自分が消滅してしまうことが怖くないんですか?」
マキシムがそう言うと未来のキャシーが答えた。
「私はそうは思わないんです。確かに今のこの生活と、今まで皆さんと過ごしてきた時間も思い出も、全てなかったことになるのは怖いです。けれど、このまま希望がが失われたままの、あなたたちとの時間を過ごしてゆくことは、それ以上に私にとっては恐ろしいとも感じてしまったのが事実です。」
俺は、視線のすぐ先にあるボタンを押そうとしたものの、涙がとめどなく出てきてどうしてもそうすることができずにいた。
「雄馬さん、泣いている時間はありません。すぐに目の前にあるそのスイッチを押して、本来のあなた達の時代に帰ってください!」
スイッチを押すのをためらっていた俺に未来のキャシーがそう言うものの、俺は押せずにいた。その様子を見ていたマキシムが俺に質問をした。
「君はなぜ涙を流して、どうして目の前のそのスイッチを押さずにいるんだ?それをただ押すだけでこの状況は全て何も無かったかのように片付くのに。」
「俺には、できないんです。」
「だからどうして?!」
「おっさん達の気持ちも、キャシーさんの気持ちも痛い程わかるし、おっさん達と会えなくなるの寂しいし辛いから!」
「君に消えていかなければならない僕たちの気持ちがわかるだと?笑わせてくれるな。君には未来があって余裕があるから、そんな風に偽善者ぶっていられるんだよ。」
俺はその言葉を聞いた瞬間、おっさんに駆け寄って、おっさんを抱きしめてしまった。
「年の重ねた自分自身を抱きしめるなんて、生きている内にそうそう経験できることじゃないんだけどさ
、おっさんにどう思われてもどう言われても、俺おっさんのこともここにいるみんなのことも大好きだから、立場とか立たされた状況とか全く違っても他人事とは思えねぇんだよ。大好きなんだよ。だから、どんなになっても、ここにいる誰か一人にでも会えなくなるのは、死ぬほど寂しいんだよ。」
「じゃあ、一緒に死んでくれよ。」
「おっさんがそう言うならそうするよ。」
俺がそう言った瞬間、一瞬沈黙に包まれたが、その数秒後、もの凄い衝撃音と共に宇宙船が傾いた。
「どうやらお父様が私を見つけて、この船を襲撃してきたみたいですね。マキシムさん、時間がありません。お芝居はここまでで良いですか?」
衝撃音の後にキャシーがそう言った。するとマキシムがそれに答えた。
「ああ、もう十分だよ。」
「え、、は?、、、芝居って、、どういうことですか?」
「そういうことだよ。」
「どっからが芝居だったんですか?」
「君達が実験を無事終えて、宇宙船に戻ってきた時からだよ。とりあえず、ちょっとむさ苦しいから、僕を君の腕の中から解放してくれないか。」
「あ、はい、、、。え、、じゃあ、なんだったんですか、このやり取りは、、。」
「ちょっと君たちをからかってやりたかったのと、僕達の最後のお遊びに付き合って欲しかっただけさ。
」
「最後って、これは芝居じゃなかったんですか?」
「君たちが元の時代に帰ったら、歴史は塗り替えられ、僕たちが消滅する。つまり、僕たちが消滅するのは本当さ。」
「そんな、、、そんなの、そんなのあんまりですよ。だって、おっさん達がいなかったら、今の俺たちはなかったんですよ!これからももっと側にいてくださいよ!もっと俺たちと未来をつくってくださいよ!
」
「何を甘ったれてんだ!そんなことじゃ大科学者になれても、君みたいな鼻たれ小僧は一瞬で世の中の荒波に飲み込まれてしまうぞ!!」
そう言ったマキシムの瞳にも大粒の涙が溢れていた。そしてその場にいる全員が涙していた。そして再び
、もう一度強い衝撃音と共に宇宙船が傾いた。
「マキシムさんこれ以上は本当に危険です。早く雄馬さん達をもとの時代に!!」
「わかった。では君達をこれから元の世界に帰すよ。」
「待ってくれ!!!いや、、待ってください!!」
「もう時間がないんだ。君達とはお別れしなければならない。」
「スイッチはこっちにあるんだからおっさん達のタイミングでは俺たちを帰せませんよ。」
「残念だが、そっちにあるスイッチはフェイクだ。本物はこっちにある。君たちはきっと押せないだろうと思ってたので、やっぱりこっちに用意しておいて良かった。」
「待ってください!誰も帰らないとは言ってません!ただ、、、最後くらいちゃんと話をさせてください
!」
「わかった、なんだい?」
「俺、何があってもおっさんのことずっと忘れません。姿形が消えて無くなっても、俺の中にはずっと、おっさんが存在してるみたいに今より、今まで以上にもっともっと強く生きていきます。だからおっさんは消滅したりなんかしません。」
「俺も。」
「私も。」
「私も。」
俺が言った言葉に仲田も神菜もキャシーも同調し、それぞれ未来の自分達に視線を送っていた。
すると、未来の俺達は笑顔を浮かべていた。その直後にマキシムがタイムマシーンのスイッチを押すと景色とその空間が遠ざかっていく中、何か言葉を発したのが口の動きで分かったが、その言葉は聞き取れなかった。けれど何を言ったのかは聞こえなくても、まるで、耳元で囁かれたかのように鮮明に伝わってくるようだった。
哀しくも愛おしい別れをした雄馬達は、元の自分たちの時代にマキシム達の手によって帰された。もう一人の自分たちを心に共存させた雄馬達は一体どのような未来を創り上げていくのだろうか?!




