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hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第3章 赦し
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第1話

マキシム達と本当の別れを果たし、それぞれの中にもう一人の自分を共存させた雄馬達は、元の時代に帰るものの更なる試練が4人を待ち受けていた。


元の時代に帰った俺達3人は自分たちの研究所の床に横たわっていた。起き上がろうとすると、ポケットの中に何かが入っている感じがしたのでそれを取り出してみると、それはマキシムに取り上げられていたはずのDSTDだった。おそらくマキシムに抱き着いた際にマキシムが俺のポケットに入れたものだと思われた。DSTDを見て、別れの瞬間を思いだし、ほんの少し涙が出そうになったが、DSTDを握りしめて立ち上がり、しっかり前を向いて進んで行こうと決心をした。

仲田と神菜とキャシーも目を覚ますと、皆、立ち上がり、それぞれ何かを決心したかのように瞳を輝かせていた。



それから3年の月日が流れて、俺は34歳になっていた。

あれ以来、DSTDを一度も使っていなかった。

研究所はキャシーの力も更に加わわったこともあり、大変軌道に乗って、俺たちの研究所は世界で一番最先端の技術を誇る研究所となっていた。

そんな時だった、政府からあの話を持ち掛けられた。

マキシム達の世界、つまりもう一つの俺の未来では、俺自身が39歳になる年に、宇宙人が地球人と共存したいという要求を地球のお偉いさんにしてきたことから、地球に宇宙人が来ることを人類が恐怖しパニックすることを想定し、一時、全人類を避難させることを目的とした全人類を乗せられる規模の宇宙船を造って欲しいという話を政府に持ち掛けられた。そしてその五年後までに、その宇宙船を完成させて欲しいという依頼だったが今回、俺たちの世界では、その時期も五年ほど早まり、宇宙船を造るという依頼には変わりなかったものの、造るにあたって、俺たちに与えられた期間は、たった一年しかなかった。その話を受けた俺たちは、予定していたよりも早くに政府からの依頼が来てしまい、早めに宇宙船を造り始めようと計画していたことも宇宙船を造る期間が大幅に縮んだことによって、全て水の泡となってしまったようになり、俺たちは結局DSTDを使う方法にすがるしかないかなどと4人で話していたところだった


「さて、また振り出しに戻ったな。」


「振り出しでもないっすよ。だって今度はDSTDがありますし、生まれ変わった雄馬さんもいますし、生まれ変わった俺達もいるじゃないですか。全人類を救う方法が無いわけでもないですし、、、。」


「まあそうだけど、この一年をどう過ごそうか。」


「やれることを精一杯やりましょう。この日の為に私たちは何もしてこなかったわけではないですし、まずは宇宙船を造れる大きさまで造りましょう。そうすれば、乗れる人の数だけの身の安全を保障することはできるわ。それに、雄馬とDSTDの力に頼るしかなくなったとしても、宇宙船があることで、雄馬にかかる負担を少しでも軽くできるかもしれないし。」


「そうだね、神菜ちゃん。」


「皆さん、そんなに気を落とさないで下さい。まだDSTDしか方法がないとも限りませんし、時間はまだあります。別の方法がないかを私も探してみます。」


「仲田、神菜、キャシーさん、みんなありがとう。どうにもならないかもしれないって、ウジウジしてたってどうしようもないよな。早速、まずは宇宙船造りに取り掛かろう!」


そうして俺たちは宇宙船造りに取り掛かり、全人類を救う別の方法も探してはいたものの、宇宙船をただただ造っていく日々に追われ、気が付くと約束の期間の一年まで、あと一週間となっていた。そんな時だ

った、期限目前になって政府が所有する、とある建物に招かれて俺達は行くこととなった。おそらく船造りの進行具合について話を聞かれるのだろうと思いながら、その建物へと向かった。

建物の前に着くと、警備が厳重そうにされていた。しっかりと頑丈そうな全面コンクリートの外壁で造られた建物、とその周りには電気が通っていそうな金網塀が張られていた。正面の入り口には黒いスーツを着てサングラスをかけた警備らしき大男が二人立っていた。俺は恐々としながらも、その大男たちに声をかけた。


「あのぅ、、すいません。政府の方に招かれてこちらに伺ったのですが、、〇〇研究所の矢中雄馬とその連れです、、、。」


俺がそういうと黒スーツの男の一人が、インカムで何かを確認した後に、「どうぞ。」と一言いい、俺たちを建物の中に通して案内をした。

建物の中は、まるでマキシム達が乗っていた宇宙船の中のような雰囲気だった。しばらく行くと、スーツの男はある扉の前で立ち止まった。そして、カードキーと暗証番号のようなものを入力すると扉が開いた

。その部屋の中は、今歩いてきた通路とは雰囲気がガラッと変わり、綺麗なオフィスの客室のような部屋だった。

そして、その部屋には顔見知りの政府の人と、もう一人こちらに背を向けてソファに座っている人物がいた。俺たちは部屋の中に入り、その人物の顔を見て俺たちは全員一斉に唖然とした。その人物はグラジオラスさんだった。グラジオラスさんはこちらを見るなり話しかけてきた。


「お久しぶりだね。」


「おひさしぶりです、というかここで何をしているんですか?」


「何をって、これから私達水星人が地球に住み共存する話し合いをする為に、こうして地球の偉い方々と話をしに来たんだよ。」


「地球に住むってまさか、、、地球に住んで共存をする話を持ち掛けた宇宙人って、グラジオラスさんってことですか?」


「まぁ、そういうことになるね。今日は具体的な時期について話を伺いに来たところだ。そんなことよりキャシー、元気そうだな。」


キャシーは少し警戒してはいたものの、しっかりとグラジオラスさんと話をし始めた。


「お父様こそお元気そうで。ですが、私達の顔をここで目にしても驚かないのはなぜですか?まるで、私たちがここへ来ることを知っていたかのような素振りですね。」


「ああ、もちろん知っていたとも。ここにいるお偉いさん方も、お前が私の娘だということを知っていたさ。だからこそ、出生の謎がお前にあるにも関わらず、こうしてお前はこの星の一流の科学者としての存在が許されているんだよ。お前が、地球に来ることは地球人と一緒だったのだから、地球を調べてどこにいるかはすぐに分かったよ。」


「もしかして、科学者として名を挙げられたのもお父様の力だったということですか?」


「それは違う。あくまで、お前がこの星に正式な形で身をおけるように、私はこの方々に頼んだだけで、あとはお前とそこにいる雄馬さん達の実力だ。」


「そうでしたか。わざわざ余計なことをして下さったのですね。ですがなぜ、地球に来て地球人と共存しようとお考えになったのですか?」


「それはなキャシー、地球は私が愛した人が生まれ育った星だから、私のこの生涯において、どうにか我が手中に収めておきたかったんだ。」


「お父様それは大変結構なことですが、その時期が早いせいでこの先、沢山の血が流れ、命が奪れるんです。だから、私達の受け入れ体制が整うまで、その時期を待ってはいただけないでしょうか?」


「それはできん。これでも十分に待ったのだ。約束は約束だ、このまま一ヶ月後には、地球に住むと申し出ているものから、どんどん地球に送り込む予定だ。皆、とてもそれを楽しみにしているのだ。」


「でもその時期が早いせいで、沢山の水星人の命も地球人の命も奪われるのですよ?時期を遅めていただくだけで良いんです。どうしても聞き入れてくださいませんか?」


「変化に犠牲は付きものだ。遅めたところで、反対する者はずっと反対し続けるだろう。」


「やっぱり、お父様は何も変わっていませんね。それによって、一人でも救われる人がいるのならばと、私は、雄馬さんたちと走ってきました。でもお父様はその一人の命さえ尊く思えないのですね。やはりあなたは数年前と何一つ変わっていません。この星から、、、母の生まれたこの地球から今すぐ立ち去ってください。」


「私はなんと言われようともこの星を約束していた日に手に収めに来る。どうしても私を止めたいのであれば、それ相応の条件を用意することだな。」


「もう良いです。あなたにお話ししたのは間違いだったようですね。」


そうして俺たちは何もできないまま事は運んでいってしまい、予定通り、その五日後にまだ大きさの足りない宇宙船を政府に引き渡し、その一ヶ月後に水星人が地球に訪れる日と宇宙船が飛び立つ日が訪れてしまったのだった。

地球に共存したいと申し出てきた宇宙人は、水星人でキャシーの父親でもあるグラジオラスだった。それを知ったキャシーはグラジオラスに地球に来る時期を遅らせて欲しいと話してみるが、聞き入れてもらえず運命の日がやってきてしまう。このままではDSTDを使い、雄馬にとっては半永久的に身を削りながら人類を救う道しかなくなってしまうが、このギリギリな状況下でDSTDを果たして双方が、全員が救われる道を雄馬達は見つけ出すことができるのだろうか?!


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