第8話
キャシーに、助けたいという意思を真っすぐに伝えた仲田だったが、少々冷たく突っぱねられてしまった。
果たして雄馬達にキャシーやグラジオラスの心を救うことができるのか?!
「なにも知らないよ。でも君の助けになりたいんだ!」
「じゃあ、私をこの星から連れ出して。」
「ああ、初めからそのつもりだ。」
「あら、そうなの?じゃあ今すぐこの星を出ましょう。」
「でもその前に、君にはこの星でやらなければならないことがある。」
「なによ?」
「お父さんと話をするんだ。」
「何を言ってるの?そんなことをしても無駄なのよ。私が何を言ったところで何も変わらないし、私の言うことなんてお父様は聞いてくれるはずがないわ。あなただって、さっきの私とお父様のやり取りを見ていたでしょ?!」
「ああ、見ていたよ。」
「それなら、分かるでしょ?」
「分からないよ、君と君のお父さんの関係なんて、今日初めて聞かされただけだし、その一場面を見ただけだ。君はさっき俺に、自分の何を知っているのかを俺に聞いたくせに、都合の良いことは、まるで俺がなんでも知っているかのように言うんだね。」
「そうだったわね。一体何が言いたいの?もうあなた達には頼まないわ。」
そういいながら、キャシーは俺たちに背を向けながらも、その場に留まっていた。仲田はその様子を見て話しを続けた。
「君は、本気でお父さんとぶつかったことがあるのかい?」
「私はいつだって本気よ!どうしてそんな風に私の家族のことを詮索するの?あなたには関係ないじゃない!そんな風にあなた達が必死になっているのは、ここから早く解放されたいからなんでしょう?それなら、早くここから逃げるといいわ。私がここからあなた達を逃がしてあげる。」
「聞いてくれキャシー、それじゃあダメなんだ。俺は君とは状況は違うけれど、俺も両親との関係で悩んだことがあったんだ。それが理由で何年間か両親とは会わないことがあったんだ。
そのおかげで、親に反発心が生まれて、今こうして俺はここにいるって思ったんだけど、時々、俺は間違っていたんじゃないかって思う時があるんだ。それは、どんな形であれ、俺なりのやり方で、もっと早くに両親と本気で向き合う勇気と覚悟を持っていれば、両親とすれ違った時間を過ごすことなく、その時間にもっと沢山の思い出をつくることができたかもしれないし、もっと沢山の愛情を注げたかもしれないのにって思うんだ。君にはそんな後悔をして欲しくないんだ。」
「私に一体どうしろっていうのよ。あなただって失敗をして、そこから学んだんでしょ?それなら、私だってそれでいいじゃない。それにあなたは、他人事だからそんな簡単に言うのよ。
あなたは、私のこともお父様のことも何も分かってない!」
「どうしてそうなるんだ!じゃあいいよ、君だって俺のことを何も分かってないじゃないか。俺の過去の苦しみは君の中ではとても簡単で、軽いものだって思ってるんだろ?」
「そんなこと、一言も言ってないじゃない!」
「いいや、君はそう思っているよ。僕より、よっぽど自分の方が苦しかったし、自分が一番苦しんでると思ってる。僕が楽をして生きてきて、なにとも闘わなかったし努力してこなかったって君はそう思ってるんだ。だから俺の話に君は耳を貸さない。
そうやって、君は自分のことしか見えてないから前に進めないし、昔の俺と同じことをしようとしている。俺は、時間はかかったけれど、運よく両親と向き合えるチャンスに恵まれ、そして自分が向き合えなかったことに向き合って闘うことがことができた。でも、それでも後悔しているよ、もっと何かできたんじゃないかって。それにもしかしたら、運が悪ければ、手遅れになって両親を亡くしてしまって、一生向き合えないままだったかもしれない。だけど、俺は神様じゃないから、君の未来がこの先どうなるかなんて分からない。だからって明日どうなっているかも分からない。明日、自分が死ぬか、お父さんを亡くすことになっても、それでも君は本気でお父さんと向き合えていたって、言い切れるのかい?」
「そんなこと、なってないんだから分からないわ!大体どうしてあなたにそんなことを言われなくちゃならないの?一体何様のつもり?あなた達なんかもう、知らないわ!一生この場所で捕らわれていればいいのよ!」
そう言ってキャシーは部屋から出ていってしまい、そんなキャシーを追いかけて、トニーも部屋から出ていってしまった。
「おい仲田、今のはちょっと言い過ぎだろ。」
「そうですよ、仲田さん。彼女が、仲田さんのことどう思ってるかなんて、それは彼女もまだ心の整理がつかなくて話をよく聞けなかっただけじゃないんすか?」
「分かってます、言い過ぎだってこと。雄馬さんと神菜ちゃんにはそう言われると思ったし、自分でも言い過ぎてるって思いながらも、止まりませんでした。なんか、彼女には嘘つきたく
なくて、何が何でも後悔して生きて欲しくないと思ったら止まりませんでした。」
「仲田さぁ、それって昔のお前の親が、お前にしたことと同じことしてるんじゃないか?」
「どうしてですか?」
「形は違えど、お前が一方的に考え方を押し付けてたように見えてさ。」
「そうかもしれませんね。俺、自分がやられて嫌だったこと、知らない間にキャシーにしてたなんて、最低ですね。」
「でもさ、きっと俺も、自分にとって大切な人が辛そうにしてたら、相手にどう思われるかよりも、どうにかその人がいい方向に迎っていけるように助けたいって思って突っ走るタイプだから、お前のしたこと、分からなくもないよ。言い過ぎたかもしんないけどさ!きっとキャシーさんなら、、、運命の相手だとしたら、きっとお前のこと分かってくれるって!」
「そうでしょうか、、、。それに、これから俺達どうなってしまうんでしょう?俺が感情的になったばっかりに、唯一の脱出方法も失ってしまいましたし、、、。」
「心配すんなって!きっとどうにかなるって!それに、キャシーさんの言う通り、ここから抜け出して、この星からキャシーと逃げ出したとしても、地球人の俺たちがさらったってことは、すぐにバレただろうし、そうなったら、グラジオラスさんは地球、いや、宇宙の果てまで俺たちを探しに来るだろうよ。そう考えたら、未来のキャシーさんは、よく見つからずに俺たちと一緒にいられたよな。」
「誰がさらったとかそういう情報が一切なかったから、かえって見つけにくいのかもしれませんね。」
「それもそうだな。」
「しかし、どうしましょう、、、。」
「まぁ、こうしてても何もできないし、何かが起こるまでまた寝てるか!」
「また寝るんすか?!」
「確かに、、雄馬、また寝るの?!私は目が冴えてしまってもう寝れないよ。」
「神菜ちゃん、俺も同感。」
そんな話をしていると、部屋の明かりがついて、扉からまた誰かが入ってきた。今度はグラジオラスさんとその部下達だった。
「さぁ、皆さんゆっくり休めたでしょうから、これからたっぷりお話を聞いていくとしましょうか。」
「話ってなんの話ですか?」
「もちろん、あなた達が何者か、どうやってこの星に来たのか、などについてですよ。キャシーに会わせたのだから、少しくらいこちらの質問にもお答え頂きたい。」
俺はてっきり、タイミング的にも、キャシーが部屋を出てすぐにグラジオラスさんが入ってきたため、キャシーから何かを聞いて、グラジオラスさんがこの部屋に入ってきたのだと思ってしまったが、グラジオラスさんの様子を見る限りそうではなかったようで、キャシーさんに対する罪悪感と自分への嫌悪感が一気に襲ってきたが、表に出すのはグッと堪えて、冷静にグラジオラスさんと話しを始めた。
キャシーとは入れ替わるかのようなタイミングで突然部屋へと入ってきたグラジオラス。
グラジオラスの質問に何一つ答えてなかった雄馬達だが、グラジオラスとは一体どのような交渉を進めていくのだろうか?!




