表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第2章 消滅と共存
75/117

第9話

再び雄馬たちの前に現れたグラジオラス。こちらの情報を全て曝け出せば、用済みとなり命を狙われるだけとなってしまうことを恐れていた雄馬達だったが、再び目の前に現れたグラジオラスを前に、雄馬達は一体どう立ち向かっていくのだろうか。

「わかりました、お話しします。」


「ちょっと雄馬!なんの考えも無しに、こっちの情報を曝け出すのは危険よ!」


俺がグラジオラスさんの知りたいこと全てを話そうとすると、神菜がそれを止めようとしてきた。


「大丈夫だ、心配するな。俺にだって、なんの考えもないわけではない。」


「わかった、、、あなたを信じるわ。」


神菜がそう言って俺を信じてくれたのと、何も言わなかったが俺の目を見て頷いてくれた仲田の姿がそこにはあった。


「ありがとう。ではグラジオラスさん、これから僕たちの知りうることで話せることは全てあなたにお話しします。その代わり、俺以外のこの二人には何があっても危害を加えないでくださいね。」


「わかりました、約束しましょう。」


それを聞いて、もの言いたげにした神菜を仲田が俺の背後で必死で抑えていてくれているのが、振り向かなくとも俺にはわかった。


「あなたが知りたいのは俺たちが何者かですよね?俺たちは紛れもなく地球人です。どうやってこの星に来たかというと、このDSTDというものを使ってこの星にきました。」


「それは一体どういったものなのですか?」


「DSTDはDifferent space transfer device、異空間移転装置の略称です。文字通り、異空間に移転する装置なのですが、このDSTDを使っていく内に発明した人物ですら知らなかった様々な機能があることを発見していきました。そしてこの水星には、DSTDの新たな機能を証明する為の実験をしに来ました。そして、もう一つ目的があって俺達はこの星に来ました。」


「もう一つの目的とは?」


「キャシーさんを連れて帰ることです。」


「何を言っているんだ?!雄馬くんといったかね。この少しの監禁生活で気でも触れたかね?」


「いえ、俺は正気ですし、本気です。」


「それが本気だったとして、監禁された君達にどうやってキャシーを連れ去ることができるんだ?!」


「それが、このDSTDを用いれば割と簡単にできてしまうんです。しかしそれでは、こちらが一方的に連れ去る形になってしまうと思ったので俺達はそうしません。」


「結果的にはキャシーを連れ去ることに変わりはない。それなのになぜ君達はそうしないのだ?」


「一番の理由は、キャシーさんとグラジオラスさん、あなた達の親子関係をどうにか修復していただいて、キャシーさんにもグラジオラスさん、あなたにもちゃんと納得して貰った上で、キャシーさんとこの星を出たいからです。」


「なぜ娘なんだ?他の誰かではダメなのか?」


「あなたは自分の奥さんが地球人だった為に、実の親に奥さんの命を奪われたと聞きました。でもあなたは無意識かもしれませんが、我が子にも、ご自分の親があなたにしたことと同じことをしようとしている。危険という言葉を盾にして、本当はたった一人の大切な家族をまた失うのではないかという不安と、自分の思い描いたようにキャシーさんがいて欲しいという気持ちからくる不安のあまり、ご自分がその不安から逃れるためにキャシーさんを操り人形にしてしまっているんです。キャシーさんは人形じゃないんです。彼女にも意思がある。その意思をあなたは親である以上、子供を育てる者として彼女を尊重し、彼女の言い分を聞く義務がある。一度でも彼女の言い分をお聞きになったことはありますか?それができないというのならば、あなたはただ、お人形を自分の思い通りに動かして遊んでいたい子供と全く一緒です

。」


「なぜ、君にそんな説教を私がされなくてはならないんだ。それになぜ君が妻のことを知っているんだ?


「俺たちがキャシーさんのことを知っているのは、少し先の未来でキャシーさんと会ってきたからです。だから、グラジオラスさんやhmsringについて知っていてもおかしくはないでしょう?」


「そうか、、まぁそんなことはどうでもいい。キャシーは私の子供だ。親子のことに君が介入する権利なんてあるのか?大体君には子供はいるのかね?」


「いないです。」


「ならば、親であることの苦しみなんて君には分からないだろう!親にもなったことがない癖に、口を出さないでくれないか。」


「俺があなたにどう言われようとも思われようとも構いませんが、親なら、自分が親であることの苦しみを語る前に、子供が何かで不自由な思いをしていないか、まず、そこに目を向けてください。」


「私はキャシーのことを一番そばで誰よりも長い時間見てきたつもりだ。だから、キャシーと会ってたかが数年そこらの君たちにキャシーの何がわかるというんだ!未来で会って、hmsringがそこにいる仲田くんに反応したからなんだっていうんだ!私の方がよっぽど、キャシーを知っているし理解しているんだ。


グラジオラスさんが興奮して大声をあげて話し終わった瞬間に部屋の扉が開いて、そこからキャシーが姿を現した。


「キャシー、お前ここで何をやっているんだ?危険だから部屋に戻っていなさい。」


「わかってないよ、、、。」


「何か言ったか?キャシー。何でもいいから、とりあえず部屋に戻っていなさい。」


「わかってない、、、お父様は私のなんにもわかってない!」


「何を言うんだキャシー、お前の欲しいものは何もかも与えてきただろう。お前が危険な目に遭わないように、お父さんはずっと守ってきてやったじゃないか!それなのにお前のなにを分かってないというんだ

!」


「じゃあ、お父様に今の私の気持ちがわかりますか?」


「彼らのような珍しい生命体を目にして好奇心でここに見に来ているといったところだろう。」


「違うわ。私はその人達について行きたいと思ってます。」


「何を言っているんだ?!こんな得体のしれない奴らについていくなど、私は絶対に許さんぞ!」


「許されなくたっていい!お父様の操り人形になるのはもううんざりなのよ!!この人達の方が、お父様より私のことよっぽど理解してくれようとしてる。お母様の話は聞いたわ。でも、その過去に縛られて、ずっと動けなくなって前に進めないのは、お爺様のせいでも、お母様が亡くなられたせいでもなく、お父様が臆病者なだけよ!」


「なんだと!キャシー!いつから私にそのような口をきけるようになったのだ!さてはそこにいる者たちの入り知恵だな!けしからん!その者達は我が娘に悪しき入り知恵をしたとし、今この場で処刑とする!そこにいるお前たち!やれ!」

キャシーは着ていた衣類に忍ばせていたものを取り出した。それはピストルのような形をしたもので、それをグラジオラスさんの方に向けてキャシーは大声を上げた。


「その人達を殺したいなら殺せば良いい!その代わり、その瞬間、私がお父様を撃って、その後、私も死ぬから!」


「よさぬかキャシー!お前はそんなことする子じゃないだろう?それを今すぐ床に置きなさい。」


グラジオラスさんがそう言ってキャシーさんに一歩近づいた瞬間に、キャシーはグラジオラスさんに向か

って一発発砲し、それはグラジオラスさんの頬を少しかすめた。


「私は本気よお父様!大輔さん達から早くその人達を離れさせて!」


「わかった。お前たち、一旦下がりなさい。」


グラジオラスさんがそう言うと部下達は俺たちから離れて、部屋から出ていった。


「わかったよ、わかったからキャシー、その手に持っている物を下しなさい。」


グラジオラスさんがそう言うとキャシーさんはゆっくりと手を下ろし、床にへたり込んだ。


「もうお前の好きにしなさい。これからはお前の自由に生きなさい。その代わり、もうお前は私の娘でもなんでもない、二度と私の前に姿を現すんじゃないぞ。」


そう言って、グラジオラスさんが部屋を出ようとしたその時、仲田が口を開いた。


「ちょっと待って下さい!そんなのあんまりじゃないですか!どうして、本音を言ったら、もう親子じゃなくなるんですか!むしろやっとここから本物の親子になっていけるんじゃないんですか?」


そう言った仲田の問いに答えないまま、グラジオラスさんは背を向けたまま部屋を出て行った。沈黙に包まれた室内では仲田のその問いかけをまるで無かったかのように掻き消したようだった。


グラジオラスと敵対せずに、キャシーを連れ帰る方向に話を進められたものの、グラジオラスとキャシーの親子関係の溝をより一層深めてしまったような話し合いとなってしまった。後味がとても悪い別れとなってしまったが、果たしてどのような未来を彼らは迎えるのだろうか?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ