第7話
キャシーとグラジオラスの親子関係をどうにか良い方向に変えたいと必死に願うグラジオラスの側近ト二
ーだったが何もできず苦しんだ末、トニーにとっては異星人ありしかも拘留中の雄馬たちにをも助けを求める結果至った。助けを求められ、仲田だけが何か良い方法を考えついたようだが、その考えとはどのようなものなのか?
「どんな考えだ?」
「俺たちが、直接何かをするというわけでは無いんですけど、親子の問題だから、他人が口挟むだけで改善されるならとっくの前に改善されてると思うんですよ。」
「そうだろうけど、誰も何もしなかったらこのまま状況は何も変わらないんじゃないか?だから、こうしてトニーさんが俺達に頼んできてるんじゃないか。」
「だから言ってるじゃないですか。直接何かをするわけじゃないって。間接的にはできることがあるかもしれないってことですよ。初めはグラジオラスさんとキャシーがこの星の偉い立場にあるってことばっかりに目がいってしまいましたが、それ以前にただの親子だということに気が付いたんです。そう考えた時にグラジオラスさんは娘に対して、少し過保護なのかもしれないけど、見捨てたわけでも、愛がないわけでもないと思うんです。だからこそ、どうにもならないこともあるかもしれないし、どうにかできるんじ
ゃないかとも思ったんです。」
「なんでそんな風に思うんだ?」
「親が子供を想う気持ちと、子供が親を想う気持ちっていうのは、親子だからといって必ず一致しているとは思えないんです。親子だからという理由で、お互いがただの一人の人間であるということを忘れてよく話をせずにお互いの考えや意思を聞かずに独りよがりに行動してしまうと、お互いに後味が悪いような結果を招いてしまうことが多いと思うんです。」
仲田のその話を聞いている内に、数年前に自分の親が病気で倒れたことを思い出していた。
前に、自分自身のもう一つの未来をDSTDを使ってみてきた事があったが、そこには両親のことや色々なこ
とで独りよがりに突っ走って今より沢山の後悔をした未来の自分の姿があった。
けれどそれもあったからこそ今の俺があって、もう一つの未来よりずっと元気に健康に親父も母さんもい
てくれる。何よりも、仮の未来の俺であるマキシムがその過去をどうにかやり直したい、DSTDを使ってど
うにかしたいと思ったから未来は変わって、そう思った動機は、もしかすると、この世界のことを救いた
いという気持ちからというよりも、大切な家族をどういう形にせよ、できるだけ納得いく形で救いたいと
いう気持ちからだったのかもしれないと、不意に、思えてしまった。
しかし、仲田は俺とは育った境遇などが全く違うはずなのに、なぜ俺と同じような考えなのかを知りたく
なって聞いてしまった。
「俺もそう思う。なんでそう思ったんだ?」
「雄馬さんこそ、なんでそう思うんですか?」
「お前は質問を質問で返すのか。別に話したくないならそれはそれでいいんだが。」
「話します話します!そんなつもりはなくて、自分が聞かれてることよりも、雄馬さんのそう思った理由が気になってしまって!」
「いや、そこは普通に質問に答えるか、答えたくないなら答えないのかを先に返答してくれよ。べっ、別になんでもいいんだけどさ!それで、仲田がそう思った理由は?」
「はい、、ホント、どうしようもないことなんですけどね。俺、大学生の頃、留年したじゃないですか。留年が決まった時、両親は何も言わずに、黙って留年させてくれたんです。普通の親だったら怒ったり、何か言ったりするのに何も言われなかったんです。その時の俺は、やりたいこととか、将来の夢とか本当になんにもなくて。でも俺、神菜ちゃんと雄馬さんと一緒の夢を持てるようになって生まれて初めて、
ちゃんと人生生きてるなぁって気持ちになったんです。こんなに嬉しいことを両親に報告したら、きっと、物凄く喜んでくれると思ってた。でも両親はこう言ったんです。「反対はしないけど、どうせお前には無理だろう、まぁやってみなさい。」って。ルームシェアを始める時も、「すぐに嫌になって帰ってくるだろうけど、まぁやってみなさい」って。俺はその時、もの凄く悔しかったんです。生まれて初めて、何かにこんなに本気になれたのに、両親には、それが全く伝わってなくて俺がダメな人間であることを両親は望んでるんだとすら思いました。それが悔しくて悔しくて仕様がなかった。だからこそその悔しさをバネに頑張れて今があると思っているので、今では感謝していますよ。」
「それで今は連絡は取りあってるのか?」
「たまに連絡してます。俺の両親、結構高齢で俺を授かったようで、生まれたときはそれはそれは可愛が
ったし、一人っ子だから尚更あまり家から出させたくなかったし、息子の身に何かあったらっていつも心配だったって、最近になって笑いながら話していました。」
「そうか、、良かったな。」
「ま!そうですね!結果的には良かったです!それで、、、雄馬さんがそう思った理由はどうしてなんですか?」
「いや、俺は答える気はない。」
「なんですか~それ~!人にばっか、話させてずるいですよ~!」
「俺は無理に話せとは言ってないぞ。」
「そうですけど~。ま!いっか!」
「それはそうと、かなり本題から話が逸れたな。で、お前が考えついた、キャシー一家を救える方法ってなんだ?」
「簡単ですよ。グラジオラスさんとキャシーにきちんと親子の対話をしてもらうってだけですよ。」
「は?!仲田、お前それ、マジでいってんのか?」
「もしそれが上手くいけば、俺たちの拘束も解かれるだろうし、キャシーと俺はもうムフフ!っていう感じですし!一石二鳥です!」
「お前、それ完全に私情はいってない?」
「いや、気のせいですよ、きっと!」
「ああ、そう。で、トニーさん、そういうわけなんですが、俺たちは拘束されてる身ですし、トニーさん、どうにかグラジオラスさんとキャシーさんの仲裁になって頑張ってみてくれませんかね?」
「いやぁ、と言われましても、、、」
そんな煮え切らないやり取りをしていると、今度は神菜が口を開いた。
「だったら、トニーさん!私だけ、ここから出して下さい!そして、私がキャシーさんとグラジオラスさんの仲裁役を代わりにします!」
「ですが、もしそんなことをすれば、話し合いどころか、まず僕が反逆罪となり、あなた達はもっと身を危険に晒すことになるでしょう。」
「じゃあどうするのよ!」
「すいません、僕もどうすればいいのかわかりません。」
「トニーさん、この星で一番偉い人の側近なんですよね?!もっとシャキッとしてくださいよ!シャキッと!」
「は、はい!」
俺は神菜が誰かにこんな風に説教をするのを初めて見た為に少し動揺して、説教されているトニーさんが少し羨ましくも、はっきりと言われ過ぎて不憫にも思えた。そんな時だった。うす暗い部屋の中に、また誰かが入って来た。俺たち四人は息を呑んだ。
部屋に入って来たのはキャシーだった。
「こんにちは!来てしまいました!」
キャシーで安心したとは思いきれなかったが、グラジオラスさんや部下じゃなくて本当に良かったと思った。
「キャシー様!こんなところで何をされているのですか?」
「あら、トニーこそこんな薄暗い部屋でこそこそと、拘留中の異星人の方達と何を話していたのかしら?
」
「そ、それは、、、どうか、このことは、グラジオラス様には内密に、、、。」
「奇遇ね!私もここに来たこと、秘密にしておいて欲しいの!これでお互い様ね!」
「ありがとうございます!キャシー様!」
「それで、なんの話をしていたのですか?私とお父様を話し合わせてっていうのは、少し聞こえたのですが、私とお父様を話し合わせて、どうするつもりですか?」
すると、仲田が口を開いた。
「君の助けになりたいんだ。」
「助けって、私のなんの助けになりたいの?あなたが私の何を知ってるっていうの?」
キャシーとグラジオラスの親子関係をどうにか変えようと必死に考える四人だったが、突然姿を現したキャシーに良かれと思って、仲田が言った言葉がキャシーの癇に障ってしまったようだった。しかし、キャシーは何のために雄馬達のいる部屋に来たのだろうか・・?!




