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hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第2章 消滅と共存
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第6話

薄暗闇からこっそり現れた人物の正体とは?!

「僕はグラジオラス様の側近のトニー・エヴァン・ドリーといいます。トニーと呼んで下さい。」


その人物は少し落ち着かない様子ながらもはっきりと名乗った。そして俺とトニーさんの大きな声でいつの間にか神菜と仲田も目を覚ましていた。


「それで、その側近の人が俺たちに何の用ですか?」


「グラジオラス様やキャシー様にはご報告せずに秘密であなたたちにお話したいことがあり、こうしてここに出向きました。グラジオラス様の奥様であり、キャシー様のお母様でもある、クレマチス・ローズ・ヴェイン様のことについてです。クレマチス様は地球人でした。御用があったため、僕たちが地球に出向いた際に、グラジオラス様とクレマチス様は運命的な出会いを果たしました。hmsringを持たない地球人のクレマチス様に、グラジオラス様のhmsringは不思議と反応しました。」


「それって、仲田とキャシーさんと一緒じゃないですか。」


「そうなんです。おそらくこの星の歴史上で、初めて水星人と地球人とが結ばれたのが、グラジオラス様とクレマチス様でした。」


「じゃあ、どうして仲田とキャシーさんが繋がることをグラジオラスさんはあんなに拒絶するんでしょうか?」


「クレマチス様が暗殺されたからです。」


「?!」


「クレマチス様はキャシー様をご出産されてすぐに亡くなられました。あの日、僕はクレマチス様に急用で御用があり、急いでお部屋に向かい、お部屋の扉をノックしてお返事がありませんでしたが扉を開けました。僕はてっきり、生まれたばかりのキャシー様とご一緒に眠っておられるものだと思い、扉を開きました。すると、クレマチス様は仮面の様なものを被った人物に襲われていました。僕の顔を見るなりその人物は逃げていきましたが、クレマチス様は床にうずくまりながら、幼いキャシー様を抱きかかえるようにして必死に守っていらっしゃいました。

僕にキャシー様を抱かせると、安心したのかその場に倒れこんでしまい、すぐに処置を施したもののクレマチス様はそのまま息を引き取られてしまいました。僕がもう少し早くお部屋にお伺いしていればお救いできたかもしれないのに、、あの日のことを思うと、未だに悔やんでも悔やみきれません。

キャシー様や公には病死と伝えてありますが、グラジオラス様と僕とその一件に関与した一部の者だけがそのことを知っています。そして暗殺を依頼した者の正体も既に分かっています

。」


「一体誰なんですか?」


「この星のかつての最高権力者であり、グラジオラス様のお父上にあたる、カルミア・ローズ・ヴェイン様でした。」


「実の父親なのにどうして!」


カルミア様はとても平穏を愛する御方でした。それなのに、グラジオラス様とクレマチス様がパートナー同士として共に生きていくことをカルミア様は反対していらしゃいました。その理由は「今までの歴史上になかった変化は平穏を乱す、異端だ」とおしゃっていましたが、グラジオラス様とクレマチス様が一緒に暮らすようになってからは、そのような感じは無くなりカルミア様は、グラジオラス様とクレマチス様とても仲良くされている様に見えました。ですが、それはカルミア様の演技だったようで、カルミア様はもとより、クレマチス様とまだ生まれて間もなかったキャシー様を自分ではない何者かの陰謀によって暗殺されたようにみせかける計画だったようです。異星人と共になることは、平穏を脅かす良くないことだとグラジオラス様に植えつける為にクレマチス様を暗殺させ、キャシー様も暗殺させるはずだったと後から聞きました。


「そんなの平穏って言えないですよ!誰も幸せになってないじゃないですか!そのカルミアって奴、今どこでどうしてるんですか?」


「昨年他界されました。死の直前に、ご自身のされたことを悔いてグラジオラス様にそのことを話し、赦しを請うように謝罪されていましたが、それを聞いたグラジオラス様は決してカルミア様をお赦しになられることは、亡くなられた時も今でも一日たりともありませんでした。」


「死人に対してこう言ってしまうのはちょっと酷いかもしれませんが、それって自業自得ですよね。」


「しかし、それで終わりではありませんでした。その後カルミア様の手によって、グラジオラス様に植えつけられてしまった「変化は平穏を乱す」という考えは、グラジオラス様の中で生き続けてしまいました

大切なパートナーが、大切に思って敬っていた父親によって命を奪われていたことを知り、大きな喪失感を埋めるあてもなく、平穏への執着心を植えつけられてしまったグラジオラス様は、その矛先をキャシー様を始めとして、この星の全ての住人達に向けている気がしてならないのです。」


「どうしてそう思うんですか?」


「カルミア様がお亡くなりになられてからは、この星をグラジオラス様が治めるようになりました。それからというもの、以前にも増してかなりキャシー様に対する干渉が酷くなったように思えました。グラジオラス様は、キャシー様が少しお出かけになる時、食事の時、入浴時、就寝なさる時も必ず護衛の者を付けるようにし、更にはそういった干渉は実の娘のキャシー様だけに留まらず、この星の住民達にも影響を及ぼすようになっていったように思えました。他の星との交流があるものの、水星に異星人が訪れたのを見つけた際には、すぐに捕らえて拘束することが絶対とされています。何も話さずに、すぐに捕らえて拘束するなんておかしいと思いませんか?そして、僕があなた達にこうして話さなければならないと思ったきっかけになったことが、キャシー様と仲田様のことです。

グラジオラス様はご自分がお父上のことで苦しい思いをしたのにも関わらず、実の娘にも同じようなことをして、キャシー様は今までのこととその上、hmsringが示すパートナーとのことすらもグラジオラス様に否定されてしまい、それらが積み重った為か、とても苦しんでおられます。

これでは、グラジオラス様もキャシー様も報われる日が来ません。どうか僕と一緒にお二人を救う方法を考えて助けて頂けないでしょうか?仲田様がキャシー様のhmsringが示したパートナーになられる御方と信じてお願いしたいです。」


「わかりました。助けになれるかはわかりませんが、協力します。」


「そうですか!ありがとうございます!ではまずこの星の仕組みや、僕たちの普段の暮らしについて少しだけ知っていただきたいのですが、この星の住人達は、皆地下で暮らしています。

というのも、この星は夜はとても寒くなり、昼はとても暑くなる性質があります。地上で夜の内に生成された氷を、完全に日が昇るとても暑い時間帯を避けて、極端な気温から身を守る為の衣を全身にまとって

、日が昇りきる少し前の短い時間を使って回収し、その氷を溶かしたものを生活水にして僕達は暮らしています。あなたたちがこの星に来た際に地上で僕達と出くわしたのは、きっと、その氷の運搬作業中のことでしょう。実はあの中に僕もいたんですよ。それにしても、あなたたちは何も身にまとっておらず地上を普通に歩いていらしゃったので驚きましたが。

それから僕たちは食事や排泄もしますが、地球人とは少し違った方法でします。

この星に住む生物から得られるもの、地球や他の星に行った際に入手した食料を小さく凝縮された液状のものと、先ほどお話しした水を飲みます。そして排泄は全て液体状ですが、それが僕たちの通常で健康な状態です。

。あとは体が健康であれば何も体に接種することなく、地球人の寿命とあまり変わらない年数を生きていくことが可能です。

なぜこのような話をしているかと言いますと、キャシー様のパートナーとなられる仲田様を始め、周囲の方々にもキャシー様のことをよく知っていて欲しいからです。hmsringが示したお相手といえど、キャシー様の、そして僕達水星人の体のつくりを知っておいて頂いたほうが、後々理解できることも多いかと思いました。それに、クレマチス様もこの星に移住されてから、公にはお話になられませんでしたが、グラジオラス様はもちろんのこと、僕や一部の部下達には地球人のあらゆることを教えてくださいました。今となっては、地球人の姿でいることや話すことは自然にこの星に浸透していますが、グラジオラス様がクレマチス様を愛し地球人の姿や言語がお好きで、よく地球人の姿になられたり、お話されたりしていたためにこの星の住人達も真似をするようになっていきました。なので、キャシー様はクレマチス様が地球人であったことも知らないのです。グラジオラス様が隠しておきたいとの意向もあり、それがキャシー様が未だに知らない理由でもありますが。クレマチス様は水星に来てとても苦労されているようでしたが、決して周囲に弱音を吐くこともなくいつも明るくとても聡明な御方でした。ですが、、僕はそんなクレマチス様をお守りすることができなかった。だからせめてもの償いにはそれでも決してなりませんが、グラジオラス様やキャシー様には幸せに生きていて欲しいんです。すいません、また感傷的になってしまって

、、、。」


「お話はわかりました。ではどうやって理解してもらいましょうか?」


「そうですね。どうにかしたい気持ちは山ほどあるのですが、さっぱりいい方法が浮かばず、、それであなた達に助けを求めたわけです。」


「俺に良い考えがあります。」


雲を掴むような中、仲田は何かを閃いたようだった。

仲田が閃いた、グラジオラスとクレマチスを幸せにする方法とは?!

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