第5話
キャシーに会わせてもらえることとなったが、雄馬たちは一体どのように何も知らないキャシーと打ち解けていくのだろうか?!
その会話を終えると、俺たちは目隠しのようなものをされ、別の部屋に移動させられたのだった。その部屋に着いかたと思うと、俺たちは、横一列にそれぞれ椅子に座らされ手と足を拘束された。少しして目隠しを取られると、目の前にはキャシーがいつもの人間の姿で目の前に座っていた。
キャシーは一つ会釈すると話し始めた。
「初めまして、こんにちは。あなたたち、私を探していたって本当ですか?私はあなた達を知らないし会ったこともないのになぜ私を知っているのですか?それに、その方がどうして私のhmsringを持っていらっしゃるのでしょうか?」
俺が返答しようとすると、仲田が割り込むように話し始めた。
「その方ではなく、俺は仲田大輔といいます。大輔って呼んでください。あとこの二人は雄馬さんと神菜ちゃんです。」
なぜ仲田は自分だけフルネームで自己紹介をしたのか、なぜ俺が話そうとするのを割り込んでまでした最初の話題が名前の話だったのか、なんとなくその理由と仲田の心境は察しはしたが、微かにイラつきがあったものの、この危機的状況の最中、それだけではないだろうな?と思いながら仲田とキャシーの会話を黙って見守ってみることにした。
「そうでしたか、大変失礼いたしました。私もまだきちんと名乗っていなかったので、地球の言語に直してきちんと名乗ります。私の名は、キャシー・ローズ・ヴェインといいます。」
「素敵な名前ですね!キャシーという名前だけは知っていたけれど、フルネームでは聞いたことなかったから!」
「そうだったのですね。ところで大輔さん達は、なぜ私のことを知っているのですか?そしてなぜ、私のhmsringを大輔さんが持っていらっしゃるのですか?
」
「なぜ君のことを知っているのかは今は話せない。だけど一つだけキャシーさんと、そして水星のお偉いさん達と話さなければならないことがあります。それは
、hmsringがなぜ俺の腕にはめることができたかということです。俺たちは、ある人物から、hmsringのことを詳しく聞きました。この星の者ならば誰もがその腕に宿すもので、この星の者同士で生涯のパートナーとなる二人が近付くと光を放ち、そのringを交換することもでき、そのhmsringが示した二人の相性はとても良いと聞いています。だけどこの星の歴史上では、かつてhmsringが水星の外の星の者に反応することなど一度もなかったと話していました。しかしhmsringは全宇宙の調和のための小さな目印のようなものだとも聞きました。だから、地球人である俺の腕にこのhmsringがはまっていることは、とても大きな問題なのではないかと思ったのですが、どうお考えですか?水星のお偉いさん方。」
仲田がそう言うと、キャシーの父と名乗った人物が室内に入ってきてキャシーの隣にあった椅子に腰を掛け話し始めた。
「私がこの星の一番の権力者、グラジオラス・ローズ・ヴェインだ。」
俺達は耳を疑った。まさか一緒に研究をしていたキャシーがそんな育ちだったとは露知らず、とんでもない意表を突かれたと同時に、こちらに来る前にキャシーがみせた、何かまだ言いたいことを隠しているような表情の訳がたった今分ったのだった。しかしそれが分かっても、神菜も仲田も動じていない様子だったが、おそらく意表を突かれたのは俺と一緒だったのだろうが、俺と同じように動じないフリをしているのが、二人の表情をみてなんとなく分かって俺はそのまま仲田とキャシーの会話をじっと聞いていた。」
「そうですか。やっとこうしてお話しすることができて光栄です。」
「つまり君はキャシーの生涯のパートナーになるべき者であり、それが全宇宙の調和の一部になると思うのかね?」
「そうであって欲しいとは願います。だけど、俺は、そのある人物が嘘を俺たちに話したとは思いませんが
、本当にこの星の歴史やその話の内容が全てなのだろうか?とは思います。キャシーのお父さん、何か他に知っていることはありませんか?例えば、今までにも他の星の人にhmsringが反応したことがあったとか。
」
それを聞いていたキャシーは、少し照れている様子だった。しかし、そんなのろけモードのことよりも、キャシーと出会い、ただこの星からキャシーを連れ出そうとしか考えていないと思っていた仲田が、そんなことまで考えていたのは、俺にとってはキャシーの父さんがこの星一番の権力者ということよりも意表を突かれたことだった。そして更に驚きたいのを隠して、会話をじっと聞いていた。
「さぁ、そんなことがあっただろうか。」
「否定しないんですか?否定しないってことは何かを知ってるってことですよね?」
俺がそう言うと、キャシーもグラジオラスに不信感を抱き始めたのか問い詰め始めた。
「お父様、過去にそんなことがあったのですか?だとしたらこの方々がおしゃっていることって、本当で、目の前にいらっしゃる大輔さんは、私の生涯のパートナーになるべきお方なのですか?」
「それはならん!」
「なぜですか?これは全宇宙の調和の為のことではないのですか?それなのに、なぜいけないとおっしゃるのか、何を私に隠しておいでですか?」
「お前は黙っていなさい。これは、彼らと私の交渉、娘のお前が口を出すことではない。」
「しかし!」
「もうこの話は終わりだ!これ以上は危険だ!そこのお前たち彼らを元の部屋に戻しておくんだ!」
「は!かしこまりました!」
そうして俺達はグラジオラスの部下たちに連れられ、最初にいた真っ白な部屋へと戻されてしまった。
「一体なんだっていうんでしょうねぇ。」
真っ白な部屋に戻されて、グラジオラスの部下たちが部屋から出ていくと仲田がため息交じりにそう言った
。
「あれだけ怒らせたのに、命をとられなかっただけまだ良かったよ。」
「それもそうですね。でもグラジオラスさんのあの感じ、確実に何かを隠している様子でしたよ。」
「ああ、きっとあの反応を見る限り過去にもhmsringが他の星の人物に反応したことがあったんだろうな。だけど、そうだとして、なぜ今まで実の娘や部下たちにも知られることもなくここまで来れたんだ?」
「さぁ、なんででしょうね。」
俺と仲田がそう話してると、神菜が空気を変える為かのように言った。
「とにかく!分からないことを考えても仕方ないですし、少し眠りましょう!」
「それもそうだな!」
DSTDの力のせいか、全然疲れなどを身体に感じはしなかったが、眠って眠れないこともなさそうだったので、少しの間俺達は眠ることにした。
それからどのくらい眠ったのだろうか。目を覚ますと
、いつの間にか真っ白だった部屋の照明が薄暗くなっていた。
そしてそのうす暗い部屋の中に、仲田と神菜以外の誰かがいることに気が付いた。
「そこにいるのは誰だ!?」
俺は思わず叫んでしまった。
その人物も俺の叫ぶ声に驚いたのか、少しパニックした様子で話し始めた。
「いや!あの!その!けっ!決して危害を加えようとなどしておりませんで、その!落ち着いてください!大丈夫!大丈夫ですから!」
その人物は、パニック状態になりながら、俺の腰回りにしがみついて、パニックになっていた俺を抑えようとしたらしいが、明らかに俺以上にその人物の方が動揺していた。
「わかった!わかった!わかったからとりあえず放してくれないか?!」
「す、すいません!ちょっと驚いて動揺してしまいました!すいません!」
ちょっとどころではない、俺はそう思った。
「ところで、、あんた誰なんだ?」
「え、ええ、僕は、、、。」
薄暗い部屋の中、突然現れたとても挙動不審な人物。その人物の正体とは?!




