第2話
元の世界に戻った雄馬が、未来を変える為に、何ができるのだろうか?
元の世界に戻った俺は、受験の日を迎え、数日後、合格通知を受け取り、晴れて大学に入学をした。それから大学を卒業した俺は、その後、DSTDを使って行った世界と同じような運命を辿りつつあった。ただ違ったのは俺自身だった。
就職活動をして就職が決まった頃に、親父が倒れたという連絡が入った。俺はその連絡を受け、父が運ばれた病院へと向かった。病院に着くと、母さんが俺の姿を見るなり、駆け寄り泣き崩れたのだった。母さんの話をしばらく聞いた後に、親父の傍に行き、顔を見ると、何かを言いたそうにしているが、話せない様子だった。だが、何を言いたいのかは、すぐに分かった。俺が実家を出る時に、反対していた素振りを見せていたのに、今までずっと俺の為に貯めてくれていたであろう貯金通帳をこっそり俺の荷物に詰めてくれる親父のことだ。
どうせ、俺のことを想って、『早く帰れ!』とでも言ってるんだろう。俺は父のその姿を見て、やはり、号泣してしまうのだった。
それから少しの時間が経ち、母の様子も落ち着いた所で、俺は、母と今後の話しをした。
『母さん、今後はどうしたい?』
『どうしたいって、、、?』
『俺、実家に帰るよ。』
『そうね、、、今はこんなことがあったばかりだから、不安がないと言えば嘘になるし、雄馬に帰ってきて欲しいって気持ちが全くないって言うと、それは嘘になるし、とても助かるわ。けどね、父さんと母さんは、何よりも雄馬には雄馬が本当にやりたいことを全力でやって欲しいって思ってるし、その足かせに、父さんや母さんはなりたくないっていうことも本心よ。』
『うん、分かったよ、母さん。でもね、このタイミングで言うべきことじゃないとは思ったんだけど、今、きちんと話さなきゃいけないと思ったから言うね。俺、帰るって言ったけど、今は実家に帰れない。親不孝で本当にごめん。どうしても叶えたい夢があるんだ。だけど、一つだけ約束させて欲しいことがある。』
『うん、何?』
『何があっても週に一回、俺が家に帰るってことを約束させて欲しいんだ。』
『どうして?』
『それが今、親父と母さんに俺ができる精一杯のことだと思うんだ。毎週その日だけは、母さんにしっかり休んでもらいたい。』
『雄馬、父さんと母さんの為に精一杯考えてくれたのね。ありがとう。でも、良い。母さん、弱気になって帰ってきて欲しいなんて言ったけど、やっぱり、息子である雄馬の幸せが一番だもの。帰って来なくていい。』
『なんでだよ?俺は、それが良いんだ。俺が実家を出て今までやってきたことも、家族のことを支えたいってことも、全部俺のやりたいことで、生きてゆく上での幸せだから。そうしたいんだ。』
『うん、それでも、いいの。』
『でも!』
『良いって言ってるでしょ!』
『分かった、俺、母さんや親父に来るなって言われても行くから。』
そう話したものの、母さんはその後病院で何度話しても、俺が家に帰ることを拒否し続けた。それでも俺は、その次の週から、新しく決まった就職先の研究所で働いて科学の勉強をし続けながらも、休日になると、週に一回は必ずお見舞いに行き、親父が退院してからは実家に帰り、通い続けた。母さんに、かなり罵声を浴びせられたが、それでも俺は通い続けた。
それから数ヶ月後、親父は会社がクビになってしまったものの、会話や食事や歩行が、動作が遅いながらも、全てを自分で行えるようになっていた。徐々にではあるが動作のスピードも上がっていき、一年後にはパート従業員として会社勤めをし始めていた。そのくらいの時期に、親父と母さんが、もう俺の手助けはなくても当分はやっていけると言った。それからは俺が実家に毎週通わなくても、親父が倒れる前と近い状態な程に、親父と母さんは、二人で暮らせる様になった。とはいえ、生活も苦しかった為、貯金を崩したり、出来るだけ俺の稼ぎの中で助けられる分は両親を助けた。それは決して裕福とは言えない生活だったが、親父も母さんもどこか幸せそうで、俺も幸せだった。
それから、俺が大学を出て三年後、ついに神菜と仲田と共に研究所を設立する日がやってきた。今度は一度も三人が離れることなく、初めから神菜と仲田と共に研究をしていくことができると思うと、夢と希望と期待でとても胸が膨らんだ。そんな時、またDSTDが鳴り響いた。
未来の自分であるマキシムからよく、電話がかかってきていたDSTD。マキシムが消滅した今、一体誰からの着信なのか?!




