表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
hmsstpy  作者: ゆりえ
前編 第5章 鋼の意志
60/117

第8話

歪んだ空間に吸い込まれた雄馬だったが、果たして次はどんな世界に辿り着いたのか?!

目を覚ますと、俺はまた床に横たわっていた。ぼんやりとしながらも目を開くと、そこは神菜の部屋


だった。そこにはもう一人の俺と神菜がいて、その二人が抱きしめ合っていた。そしてそのすぐ後に


、もう一人の俺は部屋から出て行った。


そして、その光景を目にした後に、前にもこんな光景を見たことがあるような気がしてきて思い返し


ていると、神菜の部屋にあったテレビで、たまたま放送していたチャンネルの番組で、今日の日付と


時間が表示されていた。それを見るとDSTDを使ってこの世界に来た日の日付と、俺が眠りにつく


数時間前の時間だった。つまり俺が今、目にしたのは、この世界に来る直前の俺と神菜の姿だったと


いうことになる。


そう思いながらも、神菜の視界に入るように、神菜の前に立ちはだかってみたが、やはり仲田の時と


同様に、神菜に俺の姿は見えていないようだった。そして部屋から出ようとしてドアノブに手をかけ


たが、すり抜けてしまい部屋から出ることができなかった。




俺は、ただ神菜の様子を伺うことしかできずにいたが、しばらく経っても神菜がその場から動かない


ので、神菜の様子をもっとよくうかがってみようと顔を覗き込むと、神菜は顔を赤らめて放心状態に


なっていた。俺はその表情が可愛く堪らなくて数秒間見惚れていたが、正気を取り戻して神菜を揺さ


ぶろうとしたものの、神菜に触れることができなかった。しかし、どう見ても神菜は放心状態で喋っ


ていないのに、神菜の身体にすり抜けながらも触れている間は、不思議と神菜の声が聞こえた。俺は


気になってもう一度神菜の身体に触れてみた。すると、神菜の声が俺の頭の中に流れ込むように聞こ


えてきた。



『急にあんなに真剣な表情で、あんなにきつく抱きしめたりして、雄馬さん、どうしちゃったんだろ


う?受験とかこれから頑張っていくことを改まって私に言ってきたり、、まだドキドキして止まらな


いよ。でもなんですぐに部屋から出ていっちゃったのかな?もしかして私の話の聞き方が悪かったと


か?それとも、、、抱きしめてみたら、なんか違った!恋愛対象じゃなかった!みたいに思ったから


とっさに逃げたくなっちゃったとか?ま、まさか、、うん、、それはなんか違うか、、、。もしかし


て、他に何か、私に話したいもっと重要な話があったんじゃないのかな?だとしたら、一体なんなん


だろう?そして、なんでそれを私に話してくれなかったんだろう?


雄馬さんはいつもそうだ。私が全く予測していなかったことを一人きりで考え込んで、溜め込んで溜


め込んでから、私や仲田さんに話してくる。科学者になりたいって公言するときも、三人で一緒に住


むってことも、何においてもいつも急なのはなんでだろう?もっと頼って欲しいし、堂々と私に相談


するなり、胸の内を見せて欲しいと私は思ってるのに、なんでいつも一人で抱え込んでるんだろう?


私は科学のことで、恋人としてではなくて、同じ夢を一緒に目指す仲間として、その夢に対する努力


の全てを見せて張り合っていたいって思ってるのに、雄馬さんはいつもそれを隠そうとする。どうし


て?』




俺はその神菜の声を聞き終えると、神菜の身体に触れている手を降ろした。そんな風に神菜に思われ


ていたことを俺は初めて知った。DSTDのことも、使えば寿命が縮むってことを知る前までは、そ


の内、気が向いたら話すんでいいかってくらいにしか思ってなかったし、俺にとっては、それが普通


の事だと思っていたから、どうしてそうなるかなんて、考えたこともなかった。


だけど、DSTDを使うと寿命が縮むことを知ってからは、恋人である神菜に話すことはしたくない


と思ってしまった。話せば神菜がどういう反応するかなんて目に見えてるし、神菜を悲しませたくな


かった。けれど、もしDSTDを使ったせいでとても早くに命を落とすことになってしまった時のこ


とを考えると、このまま黙っていることが果たして正しいのかどうかが分からなくなってしまって、


気が付いたら神菜のことを抱きしめていたが、そんな感情で、すがるように神菜を抱きしめるなんて


間違っているような気がして俺は逃げたんだ。


俺は仲田の様に、失恋や失敗を重ねてもDSTDなしでは現状を打破することも出来ず、神菜のよう


に胸の内を全てさらけ出して、協調することもできずに独走するばかり。


まるで全てが間違い過ぎているようで何をどう訂正していけばいいのか、分からない上に、なぜこん


などうしようもない自分がDSTDを手にすることになったのか、俺はまたそんなことばかりを考え


ていた。




しかしここにいても何も始まらないと思い、部屋から出ようとドアノブに手をかけてみると触れるこ


とが出来る様になっていた。そしてドアを開けると、俺はまた歪んだ空間に吸い込まれてしまい気を


失ったのだった。





またしても部屋のドアを開けると歪んだ空間に吸い込まれてしまった雄馬だったが、この世界は一体雄馬にとってどんな影響を与える世界なのか?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ