第6話
神菜を失って、雄馬は絶望したが、その絶望の中、希望の兆しが!!
その報せは俺が務めている店の店長に聞かされたのだった。
俺は仕事が終わると、真っ先に仲田が勤める研究所に向かった。研究所に着き、仲田のを見つけるなり、胸ぐらに掴みかかって、仲田に向かって大声で叫んだ。
『なんでだよ!お前が付いてて、なんで神菜がこんなことになるんだよ!』
『分かりませんよ!神菜がなんで自殺したのかなんて、、、そんな素振り全然見せなかったし、、俺だって、悔やんでも悔やみきれません!』
仲田はそういうと、その場に膝をついて泣き崩れた。そして俺も、仲田と一緒に膝をついて、その場で泣き崩れ、やり場のない胸中を吐き出してしまったのだった。
『なんで、、、なんでなんだよ神菜、、なんで、、、。』
そんな風に仲田と二人で泣いていると、仲田が、ある話をしだした。
『前に、神菜が研究室で研究をしている時に話してたんですが、もしも、この研究室に矢中さんもいたら、どんなに楽しいだろうかって。あいつがなんでそんな事言ってたのか、何年も矢中さんとまともに会話すらしてないのに、矢中さんの話ばかりが出てきて、俺は、あいつに、矢中さんの話なんかして欲しくなくて、その度に喧嘩をしていたんです。本当は、神菜が、俺じゃなくて、矢中さんのことを好きだったんじゃないかって思ってて、いいえ、きっと、ずっと、あいつは俺と付き合う前から
、矢中さんのことが好きだったんです。けど、俺は、その気持ちを無視して、神菜の気持ちを押し潰して、縛りつけただけだったんです。だから、神菜を追い詰めたのは俺なんです。』
『いや、、、もしそれが本当だとしたら、神菜が死んだのは、全部俺のせいだ。』
俺は仲田にそう一言いうと、放心状態で研究所を後にしたのだった。
俺は歩きながら、今まで自分が考えていたこと思い出していた。俺はこの四年間、神菜が俺の事を想い続けていたなんて、微塵も考えなかった。むしろ、俺に気があるフリをして、その気にさせたものの、神菜は仲田のことが好きになったから、俺にアプローチしてこなかったとか、自分が神菜を傷つけておきながら、そんな風に都合よく解釈していた。そう解釈しておけば俺が楽だったから。俺はまた自分だけを守ったんだ。そうして、もうどうにもならないことを考え、抜け殻の様になって歩いていると、DSTDのコール音が鳴り響いた。ぼーっとしながらコールをとると、いつもの調子でマキシムが喋り始めた。
『やぁ!雄馬くん!』
『なんだよ、マッキー。どーせ全部知ってんだろ。それなら、ほっといてくれよ。全部俺が悪いんだよ。』
『本当に、全部君が悪いと思っているのかい?』
『当たり前だろ!俺のせいで、人が一人死んだんだぞ!』
『ふーん、でも、君が彼女を殺した訳ではないだろ。それにこうは思わないか?第三者から見れば、君のことを好きだと伝えられずに、何もせずにただ時間を無駄に過ごし、命を無駄に落としていった愚かな人間だとは思わないか?それとも君は、同情からくる、何気ない人助けの感覚で、彼女を救えるとでも?だとすれば、とんだ勘違いだ。同情で誰かを救えるなんて、君は本気で思っているのか?
』
『そんな風に俺は、、!神菜に対する気持ちは同情なんかじゃねぇ、、。俺が、神菜に自分の気持ちを伝えたいと、、伝えたかったと思ったんだ。だから、同情なんかじゃない。だけど、そんな気持ちに気が付いたって、後悔したって、もう神菜は戻って来ないが。』
『そうか。君はそんなに彼女を強く想っていたのなら、なぜ行動にしなかったんだろうな?』
『恐かったんだ、、でも、俺はまた自分だけを守ってそうやって、大切なものを失った。航のいたあの世界の時みたいに、、、。』
『確かに今の君は愚かだ。しかし、今の君のように生きる人間の方が、圧倒的に多いのも事実なんだろうな。だが、実は、君にはまだ、その後悔を取り戻すチャンスがある。』
『チャンスって、、なんだよ、、?』
『ここは、異世界であっても、確かに実在する世界だ。しかし、君の創造した、君が行く可能性のあった未来の中の一つでしかないんだよ。その意味が分かるか?と言っても、DSTDで来た世界も、無下にはできないが、、。』
『そ、そうか、、!!!神菜は元の世界に還れば、まだ生きてるんだ!』
『ようやく気が付いたようだね。』
『ああ。マッキー、俺を元の世界に戻してくれ。今度は絶対にしくじらない!』
『あい、分かった。では返還するぞ。思い切り生きてこい!』
そうして、マッキーに背中を押されながらも、俺は元の世界に返還されたのだった。
元の世界に返還された雄馬は、一体どのように生きるのか?!そして雄馬は、後悔の中で、もう一つ、自分の中に生まれた、感情と、やりたかったことに気が付いたのであったが、それは一体?!




