第2話
元の世界に返還された雄馬だったが、、、。
元の世界に返還された俺は、いつも通り自分のベッドの上に寝ていた。目覚めてすぐに、体を勢いよく起こすと、まだ聞きたいことが沢山あったのに、無理矢理返還されて、感情が抑えきれず、思わず叫んでしまった。
『ちきしょう!また一方的に返還しやがって!今度会ったら、絶対全部聞き出してやる!』
そう叫ぶと、部屋のドアが勢いよく開いた。
『どうしたの?!なにかあったの?!』
そう言って部屋に入って来たのはおふくろだった。
『な、なんでもないよ!ただいま!』
『ただいまって、、あんた、ずっと部屋にいたじゃない。大丈夫?熱でもあるんじゃないの?』
『いや、ちょっと寝ぼけてただけだから心配しないで!』
そう言っても心配そうにするおふくろをなんとか、なだめながら、やんわりと部屋から追い出した後
、マキシムへの苛立ちは残るものの、おふくろの元気そうな顔を久しぶりに見ることができて、ホッとしたのは確かだった。
だが、DSTDのことを全て知ったわけではなかったので、まだ、引っかかることで頭がいっぱいだった。向こうの世界に行っている間、こちらの世界で、俺の身体は一体どうなっているのか、どういうシステムで時間が進んでいるのかなどが、もの凄く気になっていた。
そして、ようやくこちらの世界での生活のことを思い出した俺は、自分のケータイ電話で今日の日付と時間を確認した。すると、あちらの世界に行った日から、またしても、日数は経っていなかったが
、時間は数時間経っていたのと、神菜から着信があったのを確認した。そして、バイトのシフトを確認すると、夜10時からシフトが入っていた。現在は午後4時頃。バイトの時間まで、まだ余裕があったので、神菜に電話の折り返しをすることにした。しかし、DSTDで異世界に行く前に、神菜に酷いことを言ってしまったのを思い出し、折り返しの電話をするのが、少し心苦しく思えたが、逃げたくはなかったから、きちんと謝る覚悟をしてから、神菜に電話をかけた。
『もしもし。』
『もしもし、電話くれてたね、、、昨日はその、、ごめん。』
『いいえ、私の方が、あんな感情的になって、、食事もせずに突然帰ってしまって、すみませんでした。今度、食事代お返ししますね。』
『俺の方こそ、本当に悪かった。でもさ、、その、、食事代は返さなくていいから、二つだけお願いがあるんだ。』
『なんですか?』
『まず一つ目は、俺に敬語を使わないで欲しい。二つ目は、下の名前で呼び合えればいいなっていうことと、また、俺と一緒にご飯に行ってくれる?』
『それじゃ、二つじゃないじゃないですか。』
『ホントだ、、、言うのに必死で、二つってこと忘れてた!!』
『いいですよ、、、その、、良いよ!また一緒にご飯行こうね、雄馬さん!』
『ほ、ホントに良いの?』
『うん、誘ってくれてありがとう。』
『ぜ、絶対だからな!』
『うん、そしたら、また連絡するね!』
『ああ、うん!』
そう約束して電話を切った後、俺は歓喜のあまり、ガッツポーズをした後、ベッドに飛び込み、枕に顔をうずくめると雄叫びをあげた。
するとドアの向こう側から、また、おふくろが心配をして声をかけてきたが、俺はすぐに感情を整えドアの方に向かい、おふくろに大丈夫なことを伝えたが、それでも、おふくろは俺を心配する表情を浮かべていて、余計な心配をかけてしまったと思い、少し反省したのだった。
それから、数時間後、職場に着いた俺は、神菜と会った。
神菜は俺とは入れ違いの時間帯で勤務しており、軽く挨拶をすると、早々と帰ってしまったのだった。俺にとっては久しぶりに会ったという感覚だったので、もう少し神菜の顔を見ていたかったと思いながら、帰っていく神菜の背中を見つめていた。すると、その俺を見ていた仲田が、俺に話しをかけてきた。
『いやぁ、有村さん、今日も可愛いっすね~。』
『お前ってやつは、、、今日から、お前、有村さんのことを見るの禁止な!』
『なんでっすか?!』
『お前の発言と発想と顔がヒワイだから。』
『そりゃないっすよ~、俺、そんなにヒワイな顔してますか?』
『ああ。』
俺はなんだか、仲田が神菜を見る目線が嫌になって、はっきりと真顔で衝動的にそう言ってしまった。そうすると、仲田は少し落ち込んだのか、立てかけてあった鏡をまじまじと見つめていた。がしかし、、そう思ったのも束の間、次の瞬間また新たな話題を持ちかけてきた。
『そういえば、さっき有村さんと話してたんですけど、有村さんって、大学で、宇宙とかに関する学科をとってるじゃないですか。それで、なんでその学科をとってるのかを聞いたんですけど、その話聞いてたら、俺もなんだか宇宙が好きになってきちゃって、、というか元々好きだったのを思い出してきちゃって。それで、俺、既に留年しちゃってるけど、学科を変えて、宇宙のことを学ぼうかなぁって考えたんですよ。』
『あ、、うん、、そっか、、ん?待て、それだけの理由で?お前正気か?』
『俺はいつだって正気ですよ。俺、なんとなく、とりあえず、大学卒業できれば良いかな?って思ってたんすけど、最近なんだか引っかかってて、そしたら、有村さんの話を聞いてて、好きなことなら頑張れると思って、有村さんに学科変えることを話したら、『夢を持っている人って、素敵ですよね!応援してるんで頑張ってください!』って言われちゃって!俺はもう、やるしかない!と思ったんですよね。』
『お前、、単純だな、、、。羨ましいくらいだよ。』
『何をするんでも、情熱が大切じゃないですか!』
『あ、そう、じゃ頑張って。』
俺は、仲田が馬鹿なくらいに単純なことに対して、クールに交わしてみせたものの、内心はどこかで、得体のしれない苛立ちを覚えていた。
朝になって仕事を終えた俺は、ケータイを見た。すると、神菜からLINEが一件来ていた。
内容を確認すると、次の俺の休みの日に、ご飯に行かないかという話だった。もちろんのこと俺は誘いを受け、数日後、前回、食事に行った同じ店、『月の和膳』で待ち合わせることとなった。
雄馬が仲田に感じた得体のしれない苛立ちは一体なんだったのか、、、その正体を無意識に知りたがる自分に気が付かない雄馬は、、、。




