第8話
アヤメに突き放された雄馬だったが、それでも街でアヤメに似た人物を見かける度に、そちらに視線を奪われてしまう、、そんな生活を送っていたある日!
数ヶ月後、雄馬はお金も貯まり、涼雅の部屋を出て、自分の部屋を借りた。しかし、雄馬はホストの
仕事は辞めずに続けていた。
給料がそこそこ高く、好きな酒を飲めて、昼と夜逆転のそんな生活にすっかり馴染んでいた。
そんなある日、いつも通り雄馬が店で勤務をしていると、アヤメが来店した。数ヶ月前、二度と雄馬
の前に姿を現すなと言ったアヤメがだ。
アヤメの席には涼雅がつくことになった。二人は何やら楽しそうに話していた。雄馬は二人の様子が
気になって気になって仕様がなかった。それから少しして、アヤメはすぐに店を後にした。
雄馬はアヤメが帰った後、すぐさま、涼雅に声をかけた。
『涼雅、お疲れ!でさ、、さっきの子、前についたことあるんだけどさ、最近ずっと顔見ないからど
うしてるのかな?と思ってさ。なんか変わりあったとか話してたか?』
『そうだったんだ。特に、、これから出勤で、その前にちょっと飲みたくて来た、、とかそんな話だ
ったかな?、、あ、でも、あの子、キャバクラ辞めて風俗で働くって言ってたな。なんかお金に相当
困ってるみたいで、クレジットきろうとしてたけど、きれなくて、何とか手持ちのお金で払ってたか
な。よくある話だよ、この業界にいると。でも、俺らは這い上がっていこうな。』
『………。』
『おい、雄馬、聞いてるか?』
『あ、、ああ、あのさ、あの子、今、どこの店で働いてるか知ってるか?』
『え?ああ、分かるけど、どうした?』
『今からその店に行ってくる。』
『まさか、、お前、あの子のこと、、』
『そうだ、俺があの子に一方的に惚れてんだ。』
『にしても、お前ちょっと無謀じゃねーか?いきなり店に乗り込むとか。別に今、今日じゃなくて
も、、』
『ダメだ、今じゃないと。俺は自分が傷つくことばっか考えて、自分の身ばっかり案じて生きてき
た。でもあいつの事になると、あいつがそんな風になるって聞いて、他人みたいに通りすがれない自
分が今ここにいるんだよ。だから俺は今行く。』
『分かったよ。行って来いよ、お前がそんなむきになるの初めてみたよ。店には、俺から上手く話し
ておくからさ!頑張れよ!』
そして俺は親友の涼雅に見送られながら、アヤメの店へと向かった。
アヤメの店に入ると黒服が入口にいたが、それを割いて俺は店の中へと入っていき、アヤメの姿を探
した。するとアヤメが客に愛らしい笑顔を浮かべて会話をしていた。
俺はそれを見て尚、ずかずかと店の中へ入っていき、周りのざわつきを気にせず、一直線にアヤメの
方へと向い、俺は強引にアヤメの手を引き、店を出て走り出した。
しばらく走ってから、アヤメは俺の手を振り払った。
『ちょっと、待って!手ぇ痛いし、もう走れない!いきなりどうしたのよ?!』
『ごめん、俺、お前が、風俗で働くって聞いてさ。』
『だから何?あんたには関係ないでしょ。』
『俺、、堪らなくなったんだ、、』
『な、なんでよ、、?あんたと私は赤の他人、関係ないでしょ!ほっといてよ!』
『関係、、関係あったんだ!』
『意味わかんない。私は生活していく為に、お金が必要なの。どんな稼ぎ方をしようと他人のあんた
には何の関係もない!』
『俺はお前が、、アヤメが好きなんだ!』
『またそんな冗談言って、私をからかうのも大概にしてよ。』
『冗談じゃない、、、冗談で俺はアヤメにそんなこと言わないよ。俺は本気だ。アヤメは俺が守って
いく。』
そう言った後、俺はどうしようもなくなって、アヤメを力強く抱きしめていた。
アヤメは振り払うことなく、静かに音も無く、その瞳から涙を流していた。
アヤメの涙の訳とは一体?!




