第7話
指名を受けた新規の客、アヤメに思いきりダメだし?をされてしまった雄馬だったが、その数日後、何気に行ったパチンコ屋で、、
数日後、俺は休日に、パチンコ屋にいた。どの台を打とうかと吟味して、悩んでいると、数日前、俺を指名をしたもののすぐに帰ってしまったアヤメがパチンコをしているのを見つけた。俺は彼女に近づいて、後ろから声を掛けた。
『へ~、パチンコやるんだ~。』
突然、俺が声を掛けると、彼女は少し驚いたそぶり見せたが、すぐに姿勢を整えて、答えた。
『たまにね、ちょっと暇だったから。』
俺は、声を掛けても、てっきり無視をされると思っていたので、何事もなかったかの様に返答が返ってきたことが、表情には出さなかったが、少し嬉しかった。そして、俺はそのまま話をし続けた。
『暇なんだー、じゃあ、ちょっと付き合ってよ。』
『付き合うってどこに?』
『ま、いいから、ちょっとだけ!パチンコもあまり勝ってなさそうだし!良いだろ?』
『勝ってないのは確かだけど、なんのメリットがあって、私があんたに付き合わなきゃならないの
?』
『メリットがあるかないかなんて、行ってみなきゃ分からないだろ?君に見せたいものがあるんだ
。』
『分かった。その代わり私が、なんのメリットもないって思ったらすぐ帰るわ。それと、、それ以降は、二度と私に話かけて来ないで。』
『分かったよ、じゃあ、行こうか!』
そう言って、俺と彼女はパチンコ屋を出て、歩き始めた。
しかし、俺から連れ出したものの、大した話題が思い浮かばず、しばらく無言のまま歩いていたが、俺はようやく話題を見つけて話した。
『あのさ、君の名前、なんて呼んだらいい?』
『今日で二度と会わなくなる相手に、呼び方なんて聞いてどうすんの?』
『いいんだ、それでも。なんて呼べばいい?』
『そう、普通にアヤメでいいよ。』
『ありがとう、じゃあ早速。アヤメは、前に店に来た時、俺に、なんでホストになろうと思ったか聞いたけど、アヤメはなんで、ホステスになろうと思ったの?』
『なんでって、お金の為に決まってるじゃない。』
『そっか、、確かにお金がないと生活していけないしな。親は?アヤメがホステスやってることに対してなんて言ってるんだ?』
『親ね、、、最初は高校卒業してすぐに、親に何も言わずに、ホステスとして働いていたんだけど、何週間か、深夜に家に帰ってたことに気が付かれなくて、親にバレた時には、少し叱られたけど、辞めなさいとは言われなかったかな。それから少しして、家が親のつくった借金で、追い込まれてしまって、いよいよ家に住めない状況になってね。それで、一人で部屋を借りて、家を出たってわけ、、って、なんでこんなこと、あんたに話してるんだろ。』
『もっと話してよ。実はさ、俺もそんな感じで実家出たんだ。』
『うん、そっか、なんか、そんな気がしてた。』
『そうなの?なんでそう思ったの?』
『なんとなく、、勘かな。』
『勘、、で分かるものなの?ま、、それはそうと、、、アヤメにもう一つ聞いていい?』
『なに?』
『アヤメはさぁ、将来の夢とか、なんかやりたいこととかある?』
『夢か、、、考えたことなかったなぁ。ゆめ、、か、、、。これと言って、夢っていう夢はないんだけど、、、』
『けど、、?なに?』
『言ったら、あんたに絶対笑われる。』
『笑わないよ、絶対笑わないから教えて。』
『分かった。その代わり笑ったら、即行、帰るから。』
『分かったよ、でも、俺、絶対笑わないから。』
『分かった。』
『それで、アヤメの夢は何?』
『笑顔が絶えない家庭をつくることかな。』
『良いじゃん!すごい立派な夢だと思う!』
『そんな風に思ってないくせに。』
『思ってるよ、むしろそれを聞いてますます、本当は、アヤメっていい奴だなって思えた!』
『待って。『本当は』って何よ。『本当は』って。』
『まぁその辺の細かいことは気にしないで!ところで、着いたよ!アヤメに見せたいものがある場所。』
気が付くと、丁度、辺りは暗くなっていた。
そして雄馬とアヤメの目の前に広がるのは、街の灯かりが無数に広がる夜景だった。
『俺、落ち込んだり、もやもやしたことがあると、いっつも一人でここに来るんだ。なんでか、アヤメにもこの景色、見て欲しくなってさ。綺麗だろ?』
俺がそう聞くと、アヤメからの返事がなかったので、顔を覗き込むと、、アヤメの瞳から、大粒の涙が滲み出ていた。
『見ないで!ホント泣くつもりとか、本当に無かったのに、、勝手に涙が流れてくるだけで、、』
『沢山泣けよ!アヤメの抱えてること、俺が聞くことで、少しでも楽になるなら、いくらでも聞くよ。』
『抱えてることなんて別になにもない!、、、久しぶりに綺麗な景色を見て、ちょっと涙が出てきちゃっただけ、、、!』
『嘘つくなよ。俺は、アヤメとは本音で話したいんだ。』
するとアヤメは涙を浮かべながらも、俺のその言葉に言葉を返した。
『私は、、、この世界中の誰のことも、もう信じないって決めて、実家を出てきたのに、あんたといると、その決意が揺らぐよ。』
『多分それは、俺が両方を知っていて、俺は、信じて救われる方に、賭けたいから、それがもしかしたら、同じ状況下に置かれている君といると、表に出ちゃうのかもしれないな。』
『両方を知ってるって、どういうこと?』
『あ、いや、その、、それは気にしないで!それよりも、、僕を信じることに賭けてみないか?』
『え?』
『俺も、親に裏切られてしまった。けれどこうして生きているのは確かで、最初は俺も、心の中で親を責めた。今だって、、、けれど、この先、ずっと続いて行く人生の中で、いつまで人のせいにして
、一人きりで、生まれた環境のせいにして生きていけるかを考えた時に、この先の未来で起こることは、自分次第で、誰のせいにしても、自分で作り上げた結果にしかならないと思ったんだ。
そんな時、君が現れて。君と一緒なら、なんだかよく分からない自信が湧いてきて、俺は何でも出来るような気がしたんだ。』
『そんなこと、、あんたに言われなくたって分かってる!でも、何度かしか顔を合わたことがない私のことが、見ず知らずのあんたにどれだけ分かるっていうのよ?知ったかぶるのも大概にして!もう二度と私の前に現れないで。さようなら。』
そう言うと、アヤメは俺に背を向けて、走り去ってしまった。
俺はそう言った彼女を追いかけることができずに、遠ざかっていく彼女の背中をただ、見ていることしかできなかった。
別の世界で恋愛をして、恋愛を少しは学んだはずの雄馬だったが、去っていくアヤメを追いかけることができず、更に状況は、、、!




