第16話
研究所に戻った航は、一体なにをしに戻ったのか?!
一研究所前一
航は研究所に着くと、インターホンを鳴らした。最初に出てきたのは由羅だった。
『航、、、!戻って来たのね?』
『お久しぶりです、由羅さん。またお会いできて嬉しいです。ですが、戻って来た訳ではないんです。皆さんにお聞きしたいことがあって、ここへ来たんです。』
『分かったわ。とりあえず、中に入って。』
一研究所内一
『航!お前どこ行ってたんだよ!?突然勝手にいなくなるなんて、ひでぇーじゃねーか!』
『すみません、突然いなくなったりして。大まかな話は由羅さんから聞いているかと思いますが、、
実は、ここを出てから飛鳥さんに会っていたんです。』
『飛鳥って、、前に会った、あの頭のイカレタ奴か?』
『イカレテいたかは分かりませんが、前にお会いした方です。実はその飛鳥さんですが、本当に時空移動ができる方法を知っていたんです。そして、僕も時空移動をして来ました。』
三人は驚いた表情を浮かべたが、航の話をじっと聞いていた。
『そこで僕が時空移動をしてきて分かったことは、あなた方、三人が出会う前の過去には行けないということです。飛鳥さんが言うには、行けない空間があるとすれば、それは、この世界に存在しない
空間だからと言うんです。僕はなんとか、あなた方三人が、、いえ、、由羅さんと暁さんが出会わないように仕向けられないかと、何度も何度も過去へ行こうとしました。でも行くことができませんでした。それで、、あなた達に直接お聞きすれば分かるかと、、、。』
暁と由羅はきょとんとした表情を浮かべ、不思議そうにしていた。すると、次の瞬間、雄馬が重たい口を開いた。
『航、、きっとそれは、佐伯さんと斉藤くんに聞いても分からないだろう。全て、僕から話そう。』
『先生、何のことですか?』
暁と由羅は、きょとんとした顔をして、二人同時に雄馬に問いかけた。
そして、雄馬は自分が異世界から来たこと、不思議なケータイのこと、そして自分が想像した世界に来れてしまうことや、この世界の始まりは、暁と由羅、雄馬の三人から始まったことを洗いざらい話した。
『そうでしたか、どおりで何度過去へ戻ろうとしても戻れないわけだ。わかりました、根源から変えることができないというのなら、今ここで、僕が全てを変えます。由羅さん、僕はロボットかもしれない。けれど、僕なら、そこにいる暁さんよりも、ずっと傍にいて生涯あなたに尽くし、あなたを幸せにする自信があります。だから、僕の傍にいて、ぼくのものになってくれませんか?』
『ごめん、、でも違うんだ、、。航がロボットだからとか、そういうんじゃなくて、私が航を想う気持ちの形と、航が私を想ってくれている気持ちの形が違ってて、私はここにいるみんなとこれかもずっとこのまま楽しい時間が続いて行けばいいのにって思ったのも事実だし、、、その形が崩れちゃうと何もなかったことになっちゃう気がしてて、、。』
『なかったことになんて僕はできない!由羅さんにとって、楽しかった時間が消えていくんじゃなくて、僕の存在が由羅さんの中から簡単に消せてしまう存在なんですよ。分かっています、由羅さんの気持ちが今誰にあるのかも。もういいです、よく分かりました。由羅さんが僕だけを見ることができないって言うのなら、これ以上話すことはありません。』
そういうと航は、持っていたナイフを取り出した。
『何をするつもりだ!航』
雄馬は声を張り上げた。すると航は狂気をはらんだ表情で口を開いた。
『決まってるじゃないですか、僕の手で全て終わらせるんですよ。』
『止めるんだ!お前には悪いことをしたと思ってる。ロボットだということを隠していたこと、それにそもそも、実験目的でお前を生み出してしまったこと、謝っても謝りきれない。だが、今はそれだけじゃない。お前と一緒に過ごしている内に本当に情が湧いてきて、、今では愛情を感じているのは
、嘘偽りのない事実だ。』
『だったらなんだっていうんですか。謝って貰ったところで、僕は人間にもなれず、欲しいものも手にいれられない。』
『お前は、本当にそれでいいのか?思い通りにならないものは全て排除して、誰かや何かのせいにしてそうやってずっと、その吹き込まれた自分の命を、時間を浪費していくのか?それでお前に何が残る?感情や知性を持っているとしたら、その意味がお前には分かるだろう?』
『先生、、先生にとって、僕は、想像上の人物なんですよね?それなら僕の気持ち分かってくれますよね?感情があるからこそ、どうにもならないこともあるって、感情があるせいで理性が二の次になって自分を甘やかしてズルくなってどうにもならないことを。その程度に個人差があるだけで、先生もそういうズルをしたことがあるでしょう?』
そう言うと航は不気味な笑みを浮かべた後、ナイフを持ったまま、由羅の方へと走りだした。
『やめろ!止めるんだ!』
雄馬は叫んだが、その言葉は、航には届かなかったが、、!
『いってぇなぁ航。何すんだよ。』
刺されたのは暁だった。暁はとっさに由羅をかばったのだった。その瞬間、由羅が叫び声をあげた!そして暁が、ナイフが刺さったまま、航に話始めた。
『航、お前さぁ、こいつの気持ちが欲しいのは分かるけどよー。男なら、こんなセコイことしないで
、男の俺に挑んで来いよ。』
その暁の言葉も虚しく、航には響かずに、航は暁を何度も何度も刺し続けた。
『もう限界だ!佐伯さん!あれを使う時が来た!さっきから探しているんだが、僕の装置が見当たらないんだ!佐伯さん、頼む、君のを使ってくれ!』
すると由羅は機能停止装置を探している様子だったが、どこか様子がおかしい。すると由羅が口を開いた。
『先生、私の装置もありません、、、。』
すると航が口を開いた。
『お手元にはないでしょうね、だって僕が持っているんだから。装置なら、ほら、ここに。』
航はポケットの中から三つの機能停止装置を取り出して見せたのだった。そして航は嬉しそうに不気味な笑みを浮かべながら話始めた。
『実はここへ来る前に、時空移動の力を使い、一度、研究室に忍び込んで、こっそりあなた達から、この装置を奪っておいたんです。さて、次は由羅さん、あなたの番ですよ。』
航は躊躇することなく由羅に刺しかかった。その後の航はまるで、獲物を捕獲した肉食動物の様だった。
俺はどうすることも出来ずただただ、その光景を目の当たりにし、声も出せなくなっていた。、気が付くと、あのケータイに手を伸ばしクリアボタンを押していた。
すると情景が吸い込まれていくかのように、その世界は消えていった。
気が付くと俺は、元の世界の自分の部屋のベッドに横になっていた。
その時、俺の瞳からは、大粒の涙が溢れ出てきたのだった。
どうすることもできなく現実世界に戻った雄馬は、、、。




