第10話
ヒロイン達が反社会的な思考を持った青年に出会います。
数日後、航が特定した人物に会う約束をし、今日がその日だった。
『ついにこの日が来たんだな。なんかウズウズしてきたぜ!』
その人物に会う待ち合わせ場所で、そう声を上げたのは暁だった。その言葉に対し、由羅は皮肉を吐いた。
『あら、初めはこの方法自体を反対していた人が一番楽しみそうね。』
『うるせー!と言いたいところだが、今回は俺の非を認めるよ。航、悪かったな、可能性を縮めるようなことを言っちまって。』
そういうと航は言葉を返した。
『気にしないで下さい。何よりも、今こうして、研究を一緒にして下さっていることが、僕にとっては、とても嬉しいことです。』
『ありがとう、航。』
そのやりとりを聞いていた由羅は俺に、こそこそと話をしてきた。
『先生、、斉藤君、どこかに頭をぶつけたのでしょうか?なんだか様子がおかしいと思いませんか
?』
俺はその質問に割と真面目に答えた。
『いや、多分、そうじゃなくて、、彼は彼なりに
、研究を通して成長したんだよ。可能性を潰すことよりも、その先をみる事に興味が湧いたんだろう。今の斉藤くん、キラキラしていて魅力的だと思わないか?』
そういうと由羅は少し顔を赤らめて答えた。
『そ、、そうでしょうか?』
その時だった、そう言った由羅の顔を、航が横目で見ていて、どこか切なそうな表情を浮かべて見ているように思えたのだった。
そんな会話をしていると、一人の青年が俺たちに近づいて来た。
『すみません、僕、飛鳥と申します、間違っていたら、申し訳ないですが、、会うお約束をしていた、研究員の方々でしょうか?』
会う約束をしていた相手の名前は飛鳥という名前の人物で間違いがなかったので、俺が前に出て話をしようとすると、一足先に航が前へ出た。
『はい、そうです、初めまして。今日は来ていただいて、ありがとうございます。』
『こちらこそ宜しくお願いします。』
『立ち話もなんですし、何処か、場所を決めてお話ししましょう。』
航がそう切り出すと、適当な店に場所を決めて、そこで話をすることとなった。
店に着くと、席に着いて、飲み物を頼み、俺は早
々と飛鳥に質問をした。
『さて、早速だが、率直に言う。君が時空の移動をした時の話や、それをどのように行ったのかを聞かせて欲しいのだが、話してくれるかな?』
『‥‥‥。』
飛鳥は一瞬下を向いたまま沈黙していた。
『少し率直過ぎたかな?』
『いえ、、違うんです。黙ってしまってすいません。実は僕、今日、あなた達にお会いしたら、どうしても、先に聞いておきたいことがあったもので、、、。』
『なんだい?なんでも答えるよ。』
『ありがとうございます。では早速、、あなた達は時空の移動が可能なことを知った今、何を思い、それをどう使いたいと思われますか?』
俺は飛鳥から情報を引き出す為に必要なら、どんな質問にも答えようと思い、しっかりと答えた。
『何を思うか、、複雑な質問をするね。それは僕の限りない探求心から始まったのは、否めないが
、それが人々にとって大きな新しい一歩になり、それが僕ら人類の生活の豊かさにも繋がっていけば良いと思う。そして、僕らは今、宇宙空間と時空移動の関連性があると仮説をたてて研究をしている、そして君のその力を、その謎を解くカギとして使いたいと思っている。』
そう話すと、急に飛鳥の様子が急におかしくなった。
『フフフ、、ハハハ、、ハハハ!人々にとって?謎を解く?本気で言っているんですか?では、もう一度、お聞きしますが、何の為の誰にとっての研究で、誰にとっての豊かさですか?今の地球は確実に、人類に進化が進む程に朽ち、衰退が進み続けているんですよ?
自分達が、良ければ地球はどうなったって良いのでしょうか?』
俺が飛鳥の発言に一瞬怯んでいると、航が口を開いた。
『会話に割り込むようで申し訳ないのですが、言わせて下さい。あなたもまたこの地球に生存している人間の一人です。そして、自覚がないだけで
、あなたもまた地球上の生物の寿命を脅やかし続けている人間の一人です。それを知った上での発言ですか?』
『そんなことは百も承知だ!結局、人間がやることは全て破壊にしか繋がらないんだ!
人々にとってとか、解き明かしたいなんて、どうせ、いつか全部なくなるなら、無駄なんだよ!』
そう言い放った、飛鳥に暁は激怒した。
『てめー!、黙って聞いてりゃ、めちゃくちゃ言いやがって!』
『殴る気か?殴りたきゃなぐれよ!ほら!』
『この野郎!』
俺は、飛鳥に殴りかかろうとした暁を全力で止めた。すると、暁は、止める俺を払いのけようとしながら、叫んだ!
『離して下さいよ、先生!こいつみたいにいかれた奴は1発殴ったって足りないくらいですよ!』
すると、暁を挑発するかの様に、飛鳥はまた
言葉を吐いた。
『フフ、本当にいかれているのはお前らだろ
!まっ、その乏しい頭脳じゃ、一生その意味も理解出来ないだろうけど。』
次の瞬間、俺はとっさに暁に叫ぶように言った。
『斉藤くん、よせ!こんな人間の為に君の手
を汚す必要はないよ!』
すると暁の体の力がフッと抜けたようになった。すると飛鳥は少しばつが悪そうにした後にまた言葉を吐いた。
『時空移動できるなんて、全部嘘に決まってんだろ!ざまぁみろ!』
その言葉を聞いた俺は言葉を返した。
『わかったよ。君が話していることの意味が分からないわけではないが、航も言っていたように、君自身も人間であることを再認識した方が良いと思うよ。時空移動の件、嘘だったなら、これ以上君と話す理由はないな。では。』
そう言って、俺達は席を立ち、飛鳥に背を向けた瞬間、飛鳥は叫んだ。
『せいぜい、死ぬまで無駄な研究やってろよな!
』
俺たちは返す言葉もなく、店を後にした。
今後の研究の行方は一体どこへ向かうのか!?




