第1話
元の世界に戻った雄馬は、、?!
気がつくと、俺は自分のベッドで横になっていた
。全部夢だったのか、、と思おうとしたその時、俺はあの不思議なケータイをしっかりと手に握りしめていた。
そして、時間を確認しようと、自分の本当のケータイで日付と時間を確認して、俺は愕然とした。
アニメの世界に行った日から、時間は数時間進んでいるものの、日付は変わっていなかったのだ。バイトから帰って来て朝方に眠り、現在は夕方5時になっていた。
俺は状況がうまく飲み込めないまま、とりあえず起き上がると、妙に冷静になって、バイトのシフトを確認した。バイトは夜10時からだった。
俺は少し頭を冷やすべく、散歩をしてから、バイトに行くことにした。
それから、着替えをして、外に出て、ボーッとしながら歩いていると、同じバイト先の有村さんが向こうから歩いてくるのが見えた。
この有村神菜さんは、超エリート大学の女子大生。宇宙に関することに興味があるらしく、その類の学科を受けているらしい。家があまり裕福ではないらしく、親に無理を言って大学に入ったのもあり、少しでも助けになろうとバイトをしていると聞いている。
有村さんは俺の姿を見つけると、話をかけてきた。
『矢中さん!こんにちは!今日は出勤ですか?』
『うん、出勤だよ。有村さんは?』
『私はこれからバイトに行く所です!』
『そっかぁ、じゃあ、また後でな。』
『はい!』
そう返事をすると、有村さんは歩いていってしまった。
彼女は可愛い。年は俺の3つ年下だが、しっかりしていて、頑張り屋で非の打ち所がない。きっと
有村さんが彼女だったらなぁと思う男も少なくないだろう。
そんなことを考えながら、ぶらぶらと散歩を終えた俺は、自宅に着くと身支度を済ませてバイトへと向かった。
バイト先に着くと、有村さんと仲田がいた。
この仲田大輔は、俺より2つ年下の大学生で三年制の大学を一年留年していた
。パチスロが好きで、その手の話はよく合う。だがこいつより俺は、パチスロ中毒者ではない事は確かだ。
出勤するなり、仲田は調子よく喋りかけてきた。
『矢中さーん!最近、調子はどうっすか?俺は最近、のまれっぱなしっす。昨日なんて、3万負けたんすよ!しがない大学生から3万奪うなんて、エグいですよね?!』
『どーせお前の事だから、またあつくなって望みもなさそうな台に全部注ぎ込んだんだろ?』
『なんで分かるんすか?矢中さんには敵いませんね。だって、3万も突っ込めば、デカイ当たりが来ると思ったんすよー。』
『あ、そう。』
俺はよく喋る奴だなぁと思いながら、そっけなく返事をしたが、仲田はその後も、長々と喋り続けた。
その様子を見ていた有村さんは、俺とは時間帯が入れ替わりだったので、苦笑いを浮かべながら、挨拶をして帰ってしまった。
その直後、仲田は話をコロっと変えた。
『有村さんって可愛いっすよね〜!』
仲田はデレデレした様子で言ったので、何となく反射的に俺は言わさってしまった。
『可愛いけど、お前の彼女とかには、ぜってぇならねーから、心配するな。』
『分かんないじゃないっすか〜。もしかしたら、もう既に有村さんの気持ちは俺にあるかもしれないですよ、、、。』
その後も仲田は何か喋っていたが、あまりよく覚えていないのと、次々とお客が入ってきて、店は忙しくなった。
すると、俺のレジの最後尾に、飼い犬を抱っこしたあのおっさんがいた。おっさんの番になると、俺は即座にレジを止め、話をした。
『お客様、以前も店内にペットを連れてきてはいけないとお話ししたと思うのですが。』
『そんなこったぁ知らん!いいから早くレジをしてくれ!』
『分かりました、お会計はしますが、その後店の外へ出て、少し、お話ししましょう。』
『なんだ、俺は話なんてないぞ!』
そう言いながらもおっさんは、会計が済むと、店の外へ出てから、怒り狂い、興奮こそしていが、足は店の前で止めていた。
俺は冷静に考えを巡らせ、おっさんの興奮がおさまるまで、反論をせず、ただ話を聞いていた。その間、俺はアニメの世界に行っていたことを思い出していた。
自分本位で相手に言葉を投げかけるだけでは何一つ伝わらなかったこと、相手に歩み寄り、相手の考えを知ることから始めようとしなければ、上手くいくはずなんてないこと、それには踏み出す勇気が、必要なこと。そして、視野の狭かった自分をあの世界が恋愛という形で教えてくれたような気がしたのだった。
俺はその考えを踏まえ、口を開いた。
『ワンちゃん、可愛いですよね。俺も犬、大好きなんです。一時も話したくない気持ちは分かります。』
おっさんは意表を突かれたような表情を浮かべて、少し間をおくと、話し始めた。
『そうだろう?あんたもそう思うか?』
『はい、可愛いです。』
『そうかそうか!少し触ってみるか?』
『ありがとうございます。でも今、仕事中なので、また今度触らせて下さいね。それから可愛いのは、よく分かるんです。けれど、お店の決まりで、どうしてもワンちゃんの入店は出来ないんです。本当に心苦しいのですが協力をして頂けないでしょうか?』
『、、ああ、分かったよ。迷惑をかけてすまなかったね。』
『ありがとうございます!』
『それで、また、この子(飼い犬)の話を聞いてくれるか?』
『はい!喜んで!』
そういうと、おっさんはニコニコして、帰って行った。
もしかしたら、失敗したかもしれない。
けれど、自分で考えて、自分から行動した結果が報われた時、こんなにも気持ちの良いこととは、あの世界に行くまで、俺は、知らなかった。
今まで現実世界では味わったことのない喜びを感じた雄馬だったが、それでも何かを追い求め、、




