表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
hmsstpy  作者: ゆりえ
後編 第4章 闘い
101/117

第13話

単独行動をし、政府に不信感を持たれしまった雄馬達は、政府に研究所の者や家族を隔離されてしまい

、帰りの宇宙船の中で立てた計画は水の泡となってしまった。

雄馬の報告を受け、政府は一体どんな判断を下すのだろうか?!

「俺たちはこの数日間、俺たちの独断で金星に行っていました。そこで、金星の住人の方にお会いし

、どんな歴史を金星の人達が歩んできたのかを聞くことができました。そして、金星の最高権力者ミュゲルさんとの交渉に成功しましたが、その直後にあなた方からの襲撃があり、俺たちは拘束されてしまいましたが、なんとか城から脱出し、こうして地球に戻ってきました。」


「それならなぜ、金星にいた時にその報告をしていただけなかったのでしょうか?」


「しようとしましたが、話を聞いて貰えず、ただ拘束されてしまったんです。」


「そうでしたか。それでミュゲルさんは今どちらに?」


「これからする報告に対して、そちらがどうお考えなのか、それを聞くまではその質問には答えられません。」


「そうですか。どちらにせよ、あなた方は私達に何の報告もせずに単独行動をしました。その処罰は与えなくてはなりません。まずはミュゲルさんの居場所を吐き出すまでこれからあなた達を幽閉することとします。その後の処罰はその後に考えたいと思います。」


「お待ち下さい!」


そう声をあげ、部屋に入ってきたのはキャシーの父、グラジオラスだった。


「彼らが単独行動したとはいえ、目的は私達と同じ星と星の友好関係を築くため。それがそんなに悪いことなのでしょうか?」


「グラジオラスさん、あなたはこの方達側につきたいとおっしゃるのですか?」


「側につくなどということではなく、ただ、事実を申し上げているのです。」


「そうですか。まぁ、、、娘さんの身を守りたいのも分かりますが、先程もお話ししたように、あなたが個人的な事情で動かれるのであれば、こちらにも考えがありますよと。」


「そちらがその気なら私にも考えがあります。」


「グラジオラスさん、あなたは今、ご自分が何をおっしゃっているのかお分かりですか?」


「分かっていますとも。」


グラジオラスさんがそう言い切った直後にキャシーが口を開いた。


「お父様!もう良いんです!これは私が、、私達が決めたことです。こうなってしまったからには自分の運命をしっかりと受け入れます。」


「いいんだ!これは私の意志でしていること。キャシーは黙っていなさい。」


「そういうのがウザイって言ってんのよ!これは私の問題、お父様は口を出さないで!」


「だがキャシー、、、私は、、、。」


キャシーとグラジオラスさんのやり取りを聞きながら、俺はある作戦を考えていた。金星で、ザックルさんの秘密基地を出発する際に、護身用にとあるものを受け取っていた。それは煙幕だった。その煙幕を使って敵の目を遮ぎり、神菜達だけでも逃がす作戦だった。

そして、キャシーとグラジオラスさんの話が拗れそうになった時に俺は煙幕を投げた。部屋中に煙が広がる中、神菜達の腕や服を掴み出口へ誘導しようとしたが、三人とも一歩も動こうとしなかった。俺はそんな三人に思わず叫んでしまった。


「なんで逃げないんだよ!後は俺がなんとかするから、お前たちでも逃げてくれ!!」


「嫌です。」


そう答えたのは、仲田だった。


「なんでだよ?!早くしないと捕まっちまうだろ!早く行けって!」


俺はより強い口調で言った。


しかし、三人がその場から動かないまま煙は散ってしまった。


「お前ら、、なんでだよ、、、。」


「だって、おかしいじゃないですか。危なくなったら俺たちだけ逃げるって話してたけど、こんな状況目の当たりにして逃げるなんて、、俺達にはできません。」


仲田がそう言うと、神菜とキャシーも深く頷いた。


「俺は、、せめて俺じゃなくても、お前たちが生き延びてくれさえすれば、それが俺にとっての希望になったんだ!それなのに、どうしてだよ!どうして分かってくれないんだ!」


「雄馬、もうそういうのはやめたんじゃなかったの?一人で突っ走って、自分だけしょい込めば良いって考え、やめるんじゃなかった?」


「でも今回は状況が違うだろ?!」


「何も違わないよ!私達がそれで良い、、、それが良いって言ってるんだから、今回も何も違わないわ。」


「みんな、、、すまん。」


俺がそう言い終わると、政府の人が口を開いた。


「どうやら脱走に失敗したようですね。ではこのままあなた達を連れて行き、幽閉した後たっぷりとお話を伺うとします。」





「その必要はありません。」


突然そんな声が聞こえてきたのでそちらに目線をやると、煙幕を使った際のどさくさに紛れて部屋の中に入って来たのか、部屋の扉の前にフード付きのローブを身にまとった人物が立っていた。その人物はゆっくりとフードを上げた。そのローブを身にまとった人物はなんと、ミュゲルさんだった。


「遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。私は愚かでした。大事な友人達が、自分の星での居場所は愚か、その全てを無くしてしまう程の危機的状況でありながら、私は自分の身の危険を回避したいという理由だけで、あなた達に全てを背負わせてしまっていました。きっとあなた達は、私の愚かさに気が付きながらも、あなた達ができることを全力で何も言わずにただただ必死に行動してくださったのですね。私が直接出向くことが一番早いということを知りながら、あなた達はただただその人生をかけて必死にやってくれました。

雄馬さん、神菜さん、仲田さん、キャシーさん、あなた達の勇気に敬意を表します。そして、あなた達を助けに来るのがこんなに遅くなってしまって、本当に申し訳ありません。」


「ミュゲルさん、そんなこと、、、どうして来てしまったんですか?あなたの身に何かがあれば金星は一体誰が守っていくんですか?」


「守っていきますよ。私はまずあなた達を守って、そして必ず金星も守っていきます。」



「大事な再開の一時を邪魔して申し訳ないのですが、、これはこれは、、、探していた方がそちらから出向いて下さるとは有難い。では早速お話を伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」


政府の人がミュゲルさんにそう投げかけた。


「もちろんですとも。そのつもりで私はここにやってきました。」


「あなたは地球や水星と友好関係を築く気持ちはないのでしょうか?」


「まずは、以前地球に通信し、全世界に私が地球や水星と友好関係を築くことを強く否定し、公言したことを深くお詫び申し上げます。ですが現在は友好関係を築く意思があることをお伝えしたく参りました。」


「なぜ考えがお変わりになられたのでしょうか?」


「それは、雄馬さん達のおかげです。彼らと話をしたことで、私は閉ざしていた心を開くことができました。そして彼らが住む地球という星ともきちんと向き合いたいと思ったからです。」


「話を少ししたくらいで気が変わるのならば、この先もあなたはまた何かある度にすぐに意見を変え、また星と星の縁を切りたいとおっしゃるのでは?」


「それはないと思います。彼らから友情と人を愛することの幸せを再び教わり、私は失っていた心を取り戻しました。だからこそ彼らの幸せを願い、私の為にその人生を、命をかけてくれた彼らの為に

、今度は私が命をかけて今ここにいることがその証です。だからこそ彼らの人生を奪う星の方達とは仲良くできないというのが今の私の意思です。先程から全てお話を聞かせていただいていましたが、それでも彼らに処罰を与えるなどとおっしゃいますか?」


「よく分かりわかりました。この場でミュゲルさんから直接その話を聞くことができ、本当に良かったです。こちらも行き過ぎたことをしてしまい、大変申し訳ありませんでした。

直ちに金星に送り込んだ兵たちをすぐに呼び戻し、帰還させます。そしてこの研究所の者や彼らの家族の拘束も直ちに解き、今回、彼ら四人が行った単独行動に関しては、一ヶ月間休暇の処罰とします

。」


「それは、、、処罰というより、、つまり、、その、、分かって頂けたということでしょうか?」


「はい。話もよく聞かず、ことを進めてしまい大変申し訳ありませんでした。今後とも是非宜しくお願い致します。」


「こちらこそ、宜しくお願い致します。」


政府の人とミュゲルさんはそう言いながら固い握手を交わした。


そうして俺たちは今回の功績を称えられ、処罰ではなく、一ヶ月間の休暇と高額な報酬を得た。研究所の人達や家族も解放され、危機的状況ではあったものの、なんとか大きな一つの仕事を終え、家族との再会を果たした。そしてこんな形で巻き添えにしてしまった研究所の人達と家族に俺たち四人は深く詫びた。しかし怒ることもせずに、逆に俺たちのしたことを称えてくれたのだった。

しかし子供たちは違った。寂しい思いをさせてしまった為か、最初はゆなもデイシーも俺たちと目を合わせてもくれなかったが、しばらく話をかけている内に泣きながら両親である俺たちに抱きついた

。何日も会えなかった上に、色々あったことの不安を全て俺たちにぶつけるかのように、ゆなとデイシーは両親である俺たちにしっかり抱きついて、火が付いたようにしばらく泣いていた。俺たちは我が子を撫でながらきつくきつく抱きしめた。

しばらくして子供たちが泣きやむと、俺は子供たちと約束していた旅行の話を持ち掛けた。


「なぁ、約束してた旅行だけど、ゆなとデイシーはどこに行きたい?」


「えーと、んーーと、ゆなはねぇー、海がいーっぱいあるところで遊びたい!だから水星に行ってみたい!」


「えーと、ゆな、水星はね、水の星って書いて水星っていうんだけど、海はいっぱいないんだよ。海がいっぱいあって遊べるところは地球の中だけなんだ。」


「じゃあ、地球の海がいっぱいあるところが良い!!」


「わかったよ~!じゃあ海がいっぱいある所に沢山行こう!」」


「えー!!デイシーは宇宙が良い!まだ行ったことがない、パパたちがいっつも行ってるところがどんなところなのか行って見てみたい!!」


「わかった、デイシー!パパたちがいっつもどんな所に行ってるのか、見せてやる!」


「わー!楽しみ!!」


「おう!楽しみにしとけよー!じゃあ行き先は決まりだな!早速明日出発だ!!一ヶ月くらい休暇があることだし、思う存分旅行してこようか!」


そうして俺たちは約一ヶ月、色々な所に旅行をしに行った。


金星に行く時、もう帰って来られないかもしれないと思った。金星に行ってミュゲルさんの城に行った時、脱出する時、地球に帰って来た時、今までも何度も、もうダメかもしれないと思った。

愛する人の、愛する人達のもとに帰る約束なんて、心の底からは一生できないと何度も思った。

いつも今回みたいに、今日までに偶然みたいに助け舟が現れて助けられる保証もどこにもない。

でもだからこそ、自分が本当に成し遂げたい何かがあるのなら、泣いても良い、弱音を吐いても良い

、愚痴を言っても良い、自分と向き合える自分になっていく為に、そして愛する人達の為に、その為の約束をすることを恐れないで生きてゆくことが、今もきっとこれから先も、俺がしたい、


                                      「闘い」だ。




危機一髪ではあったものの、なんとか大きな仕事を成功させ、約束通り家族で旅行に行く雄馬達だった。


この先、雄馬達を待ち受けるものとは一体?!


後編 第5章へ続く~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ