頑張って欲しい
「いや、私はね」とユリちゃん。「別に女の子同士で付き合ってる人たちがいても全然いいと思うんだけど。女子高とか多いらしいじゃん。よくわかんないけど」
「「そうだよね」」とササキさんとハルノさん。
そんな事ないと思うけど…
「マンガとかラノベとかでよくあるじゃん」とユリちゃん。
うんうんうなずくササキさんとハルノさん。
「でもさ、もちょっとジュンちゃんにも頑張って欲しいんだよね」
ユリちゃんの言葉に、頑張る?と思う?私が頑張るの?
なぜかそれにも、うんうん、とうなずくササキさんとハルノさん。
「私じゃなくて?」とアキラ。「ジュンが頑張るの?」
「いや、イマイさんにも頑張っては欲しいけど、もっとこう、」と説明をするユリちゃん。「言っちゃうとあれだけど、ぶっちゃけジュンちゃんにはもっと天然キャラでいて欲しかったというか、それでウエダとイマイさんをもっと翻弄して欲しいっていうか、それかジュンちゃんが水本を本気で好きで、それをウエダとイマイさんがどうにか振り向かそうと頑張る感じ?…いろいろ考えたけど、それがタケノシタだとなんか今一つキャラが弱いっていうか…ねぇ?」
ササキさんとハルノさんに同意を求めるユリちゃん。二人はうんうん、とまたうなずく。
「イケダさんて面白いね」とアキラが言う。「最近ジュンと仲良いから、私イケダさんにも嫉妬してたんだけど、面白いのがわかったから許せる」
「ありがとう」とユリちゃん。「私に嫉妬してたのか~~。しそうだよね~~。なんかちょっと嬉しいかも。なんかイマイさん、カッコいいな」
意味がわからん。
「私、」とカリヤさん。「ジュンちゃんはイマイさんと付き合っちゃえばいいんじゃないかな、って思うな。とりあえず」
カリヤさん、アキラ押しだな…
それはやっぱり自分がウエダの事好きだからだよね…ていうか、アキラは女子なのにね。それには本気で全くなんの違和感ももたないんだな?ここのメンツは。
…これ、よその部屋でやってる恋バナとは違ってるよね?
「なんか水本もいい感じなんだよね。ジュンちゃんへの絡み方とか」ササキさんが言い出した。「先生×生徒モノでなんか書けそうなくらい」
「え?」と食いつくユリちゃん。「やっぱササキさんてそういうの書きそう!」
絡み方、とか言わないで欲しいな。
「でも水本先生はちょっと本気な感じでジュンちゃんの事好きなんじゃないの?禁断!みたいな感じで」カリヤさんが言う。「だからジュンちゃん、わざわざウエダ君相手にしなくてもいいと思う。だってモテモテだもん」
そんな事ないでしょ?
カリヤさんが上目遣いで私に聞く。「ジュンちゃんはウエダ君の事、好きなわけじゃないんでしょ?」
ドキ…
「水本は気持ち悪いと思う」とアキラが吐き捨てるように言う。「教師のくせに。犯罪だよね。淫行じゃん」
いや、まだ何もされてないけど。それに絶対これからも何もされないけどね。
ウエダと水本の関係はウエダが黙っててくれって言ったから、ここで水本が私に絡んでくるわけを話すのは避けたい。でも言わないと水本と私が疑われてしまうけど…
「私ね」とアキラが急にニコニコしながら話し始めた。
…なんかすごく嫌な予感する…
「ジュンに私の事だけ見て欲しいんだ」
「きゃ~~~」とユリちゃん。
ササキさんとハルノさんも前のめりになってるんだけど。
「アキラ…」私は力無くそれを止めようと頑張ってみる。「あの…ありがたいし、アキラがそんな風な事言っても友達だと思ってるし引いたりしないけど、他の人は引いちゃうと思うんだよね。私、アキラがみんなに誤解されるのは嫌だから、もうそんな事言わないでよ」
「「そんな事ないよ!」」ササキさんとハルノさんが力強く即座に否定したので私が引く。
「そういう事言っていくのはすごくいいよイマイさん」とササキさん。「まぁこの部屋の中だけにしといた方がいいとは思うけど。今ここでならいくらでも言っていいよ!」
「そう?」許しが出たと思ったのかアキラが話し始める。「私実はジュンと一緒に帰って家に寄ってもらってね…」
「アキラっ!!」慌てて止める私。「止めて!」
「ジュンがあんまり無防備に気のない振りするから…ちょっと押し倒しちゃったんだよね」
「「「「マジで!?」」」」4人が声を合わせた。
ニッコリとそれに答えるアキラ。
最悪。
「ジュンちゃん…」と怒った口調のカリヤさん。「イマイさんにそんな事されてるのにウエダ君にも思われようとか、ちょっとってかだいぶ許せないんだけど」
「あ~~~」とユリちゃんがわざとらしく残念そうな声を出す。「今ここにウエダがいたらな…面白い事になったのに」
「ジュンちゃん最低」とカリヤさん。
いや、私が最低なんじゃないじゃん!
「「それで?」」とアキラに先を促すササキさんとハルノさん。
「もうおしまい!」と私。「別に何ともなかったもん。ちょっと倒されただけで私にそんな気なかったからアキラもそれでわかってくれたし」
「ひどいな~」とユリちゃん。
なにが!?
「イマイさんが本気でジュンちゃんの事好きなのわかっていながら、このみんなが聞いてるとこで『そんな気ない』とか。本気の思いも受け流して友達友達って。ねぇイマイさん?」
「…うんまぁね」とさばさばと答えるアキラ。「でも困った事にそんなとこも好きなんだけどね」
そこへトントン、と部屋をノックする音だ。
「はい!」とユリちゃんが代表で返事をしながらドアを開ける。
「みんなちゃんと部屋にいるかぁ?」
水本の点呼だ。中の6人を確認する。
「みんな真面目に部屋にいるねぇ」と水本。「うちのクラスは真面目だなみんな。良い子ばっかだな。先生は嬉しいよ。他のクラスとか男子部屋に行く女子や、女子を呼び出す男子とか結構いたみたいなんだけど…。ちょっと合宿つったらすぐ告白大会みたいに思ってるヤツいるからね~。ウエダのとこに他のクラスの女子何人か来てたし」
「え、やだ~~~~」と悲鳴を上げるカリヤさん。「ちょっと私も行って来よう」
「ハハハ」と水本が笑う。「ダメだって。でも大丈夫だからジュン」
「へ?」
何言い出してんだ水本。余計な事言わないで欲しい…




