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ジュンが好きだから

 「なんかこういうのいいな!」とユリちゃんが満面の笑みを浮かべながら言う。「みんなで恋バナ。なかなか教室で、こんなにはっきりといろいろ聞けないもんね。でも絶対他の部屋もやってるよね~。合宿ならでは!みたいな。私ほんとにその中学の時のシャーペンの子ぐらいしか好きだなって思った子いなくて、で、なんか知らないけどあんまみんないろいろ好きな人の話とかしてくれないから、合宿の時には絶対こういう話みんなから聞かして欲しいって思ってたんだよね」

「じゃあさ、」と勢い込んだカリヤさん。「ウエダ君のどこがどんな風に好きか聞いて欲しいな」

テヘっという感じでカリヤさんが言う。

「う~~ん」とユリちゃん。「話してもいいけどさ、もう私たちがめんどくさいなって思ったら、話さえぎってもいい?」

「え~~~」とカリヤさん。「今聞かして欲しいって言ったばっかじゃ~~ん」

 いや、私も心の中で「え~~」って言ったけど。ひどいなユリちゃん。面白いけど。

「だって」と言い訳をするユリちゃん。「ウエダをいいなって思ってる女子多そうだから意外性なくて面白くないんだもん」

 え~~~。



 「ウエダ君はね」とめげずにさっそく話始めるカリヤさんだ。

カリヤさんメンタル強いな本当に。

「まず見た目!」

 …そっか…正直だなカリヤさん。潔いな。

 …まぁそれもありかもね。

「まぁそれもありかもね」とユリちゃんが実際に口に出して言う。「よそのクラスでウエダ君の事いいなって言ってる子なんて、ほぼ100パー見た目で判断してると思うし」

「でもそれで~~、モテてんのにチャラチャラしてないとこが好き!」

ぱぁぁぁっと顔を輝かせて言い放つカリヤさん。

「どっちかっていうと冷たい感じじゃない?」とやっと口を挟むハルノさんだ。

「そんな事ないよ~」とカリヤさん。「みんなが下手にその気にならないようにわざと優しさであんな感じなんだと思うんだ~~」

「はぁぁ~~~っ、」とそこでアキラのわざとらしいため息。

 アキラは中学の頃のウエダの話も知っているから…。

 私にはウエダの中学の頃の事を言ったけれど、ここでみんなに言わないところがアキラのカッコいいところだ。ついアキラを見てニッコリしてしまう。

 でもそうなのかな…カリヤさんの言う通りなのかもしれない。カリヤさんはよくウエダの事を見ているから。



「イマイさん、中学ウエダと一緒なんでしょ?」とカリヤさん。「前からいろいろ聞きたかったんだウエダ君の事。やっぱ…モテてた?」

「私、ほとんど接点なかったから全然!わかんない。どうっでもいいしあんなヤツ」

きっぱりと嘘の混ざった発言をするアキラ。

「でもさ、」とユリちゃん。「ウエダ君もまぁ見た目カッコいいかもだけど、イマイさんもほんと綺麗だよね~~」

「…」無言でみんなの視線を避けるアキラ。

「だからね、」とカリヤさんが結論を言う。「ウエダ君は女子にモテてても全然っチャラチャラしてなくて、誰が告ってきてもなびかない感じがメッチャかっこいい!」

 私の頭に、最後の別れ際手を振ったウエダの姿が浮かぶ。

 …なんであそこで手を振ったんだろう。全然キャラに合わないのに。アレは私だけが見た幻だったりして…



 「そんなウエダ君に」とカリヤさん。「私だけすごく大事にされたいんだ」

 うわ~~~~っ…。

 心の中でどよめきながら、暗闇で私の手を掴んできてくれたウエダの手の感触をまた思い出した。

「例えば」とカリヤさん。「みんなにわかんないように私にだけそっと手をつないでくれたりとか、逆に絶対にそんな事しなさそうなのにみんなの前で手を振ってくれたりとか」

 ドキっっ!



  ササキさんとハルノさんがビミョーな面持ち。

 ササキさんもそんな風に思ってるのかな…ウエダの事好きだって言ってたもんね。

 あれ?カリヤさんがメチャクチャ私を睨んでるんだけど…

「まぁわかってるんだけどね」とカリヤさん。「ウエダ君、ジュンちゃんの事好きだし」

「私、」とアキラが言った。「今夜、ジュンと同じ布団で寝ていいかな」

 アキラをマジで凝視。私だけじゃない残りの4人も凝視だ。

 なんでこの話の流れでそんな事ブチ込んで来んの?

「んん~~」とユリちゃん。「私は別に良いと思うけど…でも…ねぇ?」

ユリちゃんはどういうわけかササキさんとハルノさんに聞く。

 うんうん、とうなずく二人。

「そういうのは、」とササキさんが言った。「ウエダ君が見てるとこでもっと言って欲しいんだよね」

 はぁ!?



「ウエダとか全然関係ないから」とアキラ。「私はジュンを好きだけど。あんなヤツと別に張り合う気はないから。ウエダの何万倍も私はジュンが好きだから。こんな機会めったにないし。今夜だけでもジュンを抱き締めて寝たいんだけど」

 みんな本気でビックリした顔をしている。

 もちろんだよね。そりゃビックリするよ。

「…ちょっ…あの、アキラ…」力無くアキラを止める私。「そんな事言ったらみんなに…」

さすがに引かれるよアキラ。この部屋で明日の夜も過ごさなきゃいけないのに。こんな序盤からそんな問題発言してどうする!?



 私の怪訝な顔を見てちょっと笑ったアキラが言う。

「私、黙ってても出来たんだよ?ジュンが寝てるうちにジュンの布団にもぐりこむとか。夜中にチュウもしようと思ってたし。でも敢えて、みんなに了解取っといた方が、ジュンが目が覚めた時とかに騒いでも、みんな賛成しててくれてたら問題にもならないだろうし」

いや、問題だと思うけど私。私が俄然引いて来た。

 …ていうかこのアキラの発言で、最初ビックリしてたササキさんとハルノさんが、なんでちょっとうっとりしたような顔してんの?

「やだなんか…」とユリちゃん。「聞いてるだけでドキドキする~~」

「ジュンちゃん、イマイさんにすごい思われてるんだね」とカリヤさん。「なんか羨ましいくらい…もう二人付き合っちゃえばいいのに」

 はぁ!?


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