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待つこと暫し、屋敷の玄関の扉が開き、門番とゲイルさんが出てきた。
敷地の境の門扉まできたゲイルさんは、
「お疲れ様、引き続きお願いします」
呼びに来た門番に謝礼を述べると、次に俺を見据え、
「取り敢えず、ここで立ち話も何ですし、中に入って下さい」
そう告げて門番が通った扉を全開にしたのだった。えー、こっちのデカい門は開かないのか……?
俺は、ゲイルさんの執務室に通され、ゲイルさんが話を聞いてくれた。ちなみに何で俺が通された場所がゲイルさんの執務室と知っていたのは行儀見習いで世話になったからだ。
「……成る程。就職の面接は悉く全滅、その上、三男坊で実家からの助成金もなし。しかも、そのままではいずれは餓死まっしぐらの浮浪者ですか。……そうですね……」
グサグサとゲイルさんの言葉が俺のハートを何度も貫く。
「……でしたら、お嬢さま付きの執事見習い、なんてのはどうでしょう?」
だが、俺に一条の光明を与えてくれた。おお、神よ! なんつって。
「やるやる、誠──フィーリアの執事見習い……──」
──ペシンッ!
「──痛っ!?」
「お嬢さま、ですよ、ウィルくん」
何処から取り出しのか分からない扇子を手に持ったゲイルさん。そして、その閉じた扇子で頭を叩かれた。一先ず、合わせた方がよさそうだ。
「……あ、はい、お嬢さま付きの執事見習い、やらせて頂きます」
「──では、ウィルくん。必要な物を実家から持ってきて下さい。残して置いても、棄てられちゃいますからね」
「は、はい」
俺はゲイルさんに敬礼し、早速──、
「それと、実家から荷物を取ってきたら、使用人用の門扉から我が屋敷に入ってきて下さい」
「サー、イエッサー!」
俺は再度、ゲイルさんに敬礼し、今の誠の家──侯爵家から飛び出すのだった。
さて、執事見習いになって早くも数時間。
俺は待たされていた。何故って? 話せば長くなるが、実家から必要な荷物を持って侯爵家に舞い戻った俺は、ゲイルさんに連れられて、
「此処が今日からキミの部屋です」
と案内されたのは、今や使う者もいない屋敷裏手にある物置小屋。
「中にある物は好きに使って構いません。但し、侯爵家の使用人として、身嗜み、態度、行いは確りするように」
「あ、はい。分かりました」
ってなワケで、物置小屋に放り込まれた俺だが、案外、使ってない物置小屋でも中はホコリも無い綺麗なものだった。んで、早速、支給された執事の服に袖を通したまではよいものの、何をしてよいか分からず、取りま荷物を整理したのだが直ぐに終わってしまい、暇だった。
で、だ。思い付いたのが俺は、もう執事だ。詰まりは、主の部屋にて待機。ってな経緯で誠の部屋にスタンバったまではいいが、
「──遅い!」
誠が帰ってこない。俺と同い年ゆえ、同じく今日は卒業式なわけで昼前には学校を出ている筈なのに。
「マジ遅い! 誠のヤツ、いったい何処で遊んでるのやら……」
待ち惚けである。




