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三人が乗った馬車が敷地から出ていくの見送り、私はシャロルと共に屋敷に入る。さて、
「ねえ、シャロル。ウィルはいったい、何処に行ったのかしら?」
朝食以降、とんと姿を見ていない執事見習いの居場所をシャロルに問う。
「お嬢さま、大変申し訳ありません。残念ながら、私も彼の動向は把握しておりません」
「……そう」
あのアホンダラ、いったい何処をほっつき歩いているのかしら?
私はやれやれと肩を竦め、自室に戻ろうとエントランスの階段を上り出したとき、玄関の扉が開いた。
「──やっほい! 帰りました!」
その声は朝食のとき以来に聞いた声。あっけらかんのその声に、私は階段の途中で立ち止まり、ギギギと首を玄関の扉の方に振り向けた。いた。いやがりました。コンチキショウが!
体が勝手に動くとはこの事だと私は実感した。私は、はしたなくも階段を飛び降りると、ダンと床を蹴り、ウィルの懐に飛び込み彼の襟首を掴んでグワングワンと揺らしながら、
「──貴方ね! 何が「帰りました!」よ! 自分の立場が分かってるの? え? 分かっているんですの?! 何とか、言いなさい!!」
「お、お嬢さま! ウィルが泡を吹いてます!」
シャロルに言われ、我に返ると確かにウィルは目を回して泡を吹いていた。私はウィルの襟首から手を離し、身なりを整える。
「……痛ってー、いきなり何すんだよ!」
直ぐに気が付いたウィルは自分の行いを省みずに吠えた。
私は佇まいを正し、
「ウィル、貴方、私の専属になった意味を分かっているのですか?」
彼を問い質す。
「……え? ……あー、うん、暇だし、街に出ても問題は無い的な?」
「……」
──ぐぬぬ、とトンチンカンな回答に、再び怒鳴りそうになる自分を自制し、私は、すーはーと、ひと息深呼吸。
「シャロル、この分からず屋に専属で主に仕える何たるかの教育をして下さい。空いた時間で構わないので」
「はい、畏まりました、お嬢さま。
では、早速。さあ、ウィル、行きましょう」
そう言うと、シャロルは頭に“?”を浮かべるウィルの襟首をムンズと掴み、奥へと消えていった。
私は溜まった息を、ハァーと吐きだして改めて自室に向かうため、エントランスの階段を上るのだった。




