↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
2話 四章 回りだす小さな歯車
PR
55/56

55


 しかし、────バンッ!


「──なに、逃げようとしてるのよ?!」

 駆け出したウィルを捕まえたのはなんと、ビヴィアだった。

 彼女は怒気に顔を染めて、華麗に決まった一本背負いで床に倒れたウィルの襟首を掴み、

「アンタね! 自分が言ったんでしょ! 「この世界は、フラグなんかに管理されてない」って!!」

 ビヴィアの声の一部はノイズになって聞き取れない。おそらくニホンゴが混じっているのだろうが、彼女の言いたいことはなんとなく理解できた。

 ウィルに感情的に説教を垂れるビヴィア。私は、

「シャロル、リャーラ、少しの間、廊下に出ていてもらえるかしら?」

 前世を覚えている転生者のみの話し合いの場をもつため、シャロルたちには退席を願いでる。

「はい、承知しました」

「ああ、わかった」

「うん、わかったわ」

 シャロルたちが廊下に出て扉を閉めるのを確認して、

「ビヴィア、そのくらいにしなさい。

 ウィル、話があります」

 私は怒りに任せて説教を垂れるビヴィアを宥め、床に倒れたままのウィルにそう言う。


 ウィルを部屋のソファに座らせ、私は対面のソファに座る。そして、ビヴィアはもしものウィルの逃亡に備える。

「──さて、ウィル。このまま、とっちつかずの態度のままなら、来月の末に私が独り言で言った通りにあなたを解雇するわ」

 ──ガタンッ。

 私の言葉にソファから立ち上がって逃げようとするウィル。しかし、

「逃げるな!」

 ビヴィアに両肩を押さえられ、ソファに逆戻り。

 私は話を続ける。

「──そこで、あなたに一ヶ月の猶予を与えます。これから先、ウィル・イレビドゥスクピディタースとして生きるのか、大神 実の続きを生きるのか? 何方かを選びなさい。但し、あなたが大神 実の続きを選んでも、私はあなたの恋心に応えることはないと肝に銘じなさい。それと、何方も選ばなかったら、本当に解雇します。重々心得て、答えをだしなさい。以上です」

 そう締めて、私はソファから立ち上がると、扉を開けてシャロルたちを部屋へと入れる。




 ──無言で沈黙したままソファに沈むウィル。これから先、彼がいずれの道を辿るにせよ、ここが彼にとっての最初の分水嶺となろう。

 私はシャロルたちと楽しく談笑しながら、視線は独り悩むウィルのことを無意識的に気にするのだった────





            2話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。