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──結局、私はクリスティーナたちと相談した結果、やはり早期に貴族への販売は已む無しとなり、生産ラインを急遽『貴族向け照明』に確保しなくてはならなくなってしまった。
「──ハァ……」
「お嬢さま、どうかされましたか?」
クリスティーナたちが帰った後、自室にて私は溜め息が止まらない。その結果、シャロルにも心配をかけてしまう。
「……いえ、別に……」
一瞬、シャロルに愚痴でも零そうかと思ったが、止める。このような躓きで泣き言を言っていたら、この先やっていけないと思い直して、私は次なるマジックアイテムの魔法陣の作成に取り掛かる。
人生、前のめり。でいかないと!
さて、私の周りの人の人員が増えたことは小さな変化を生み出した。
自室にいるときは部屋の中に、これまではシャロルとビヴィアとウィルだけだったのが、今やその三人に加えてリャーラたちの中から二人──交代制で親衛隊として勤めているので──という、私以外に五人の人間がいる状況に。特にこれまではウィルだけがお喋り相手だったビヴィアが、リャーラたちに話し掛けるようになり、賑やか倍増である。
私としては静かにしてほしいのだが、私が仕事中でないのでビヴィアをスリープの札で眠らせるというワケにもいかない。
なので、
「ビヴィア、もう少し静かに」
と、注意する。対して、ビヴィアは、
「分かってますよ、お嬢さま」
と言うも、静かにする気はとんと見えない。
私はふとベッドで仰向けになると、
「そういえば、翌月からは税収期か……」
独り言をごちる。一応、お父様の仕事を手伝う身だ。翌月は、トンデモない繁忙期だから、王宮に連れて行かれる可能性があるかも……。
「……やだなー……」
「ん? お嬢さま、どうかされましたか?」
「なんでもないわ……」
私の独り言に反応したシャロルに「なんでもない」と手を振る。
まあ、こちらは愚痴を言ってもどうにでもなるものではない話だし。
──さて、それはそうと、ウィルは大丈夫かしらね? チラッと彼を盗み見れば、普段の元気は何処へなウィル。余程、バカンスの時の私の言葉が効いたのだろう。
バカンスより間もなく一週間が経とうというのに、ウィルは塞ぎ込んでいた。話し掛けても生返事だし。それに、仕事も見るからに杜撰になり、人前に出すも憚れるようなていたらく。
「このままじゃ、解雇も已む無しね……」
まがりなりにも、我が家は侯爵家。いつまでも穀潰しを雇っているとなっては家名の恥になる。それに、ゲイルの思惑がどこにあるのかは不明だが、このような状態のウィルを“そのまま放置”はどのみち得策ではない。後でゲイルに相談するとしよう。
前世からの柵を鑑みると酷な話だが、これは今世を生きようとしないウィルが悪い、という結論になる。これもまた人生だ。
そんな事を思っていると、私の独り言が聞こえたのか唐突にウィルが部屋を出ようと駆け出した。




