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さてさて、またしてもリャーラさんたちの話を纏めると、新たな傭兵団を旗揚げしようとした矢先のこと、とある噂話を耳にしたのだと。その内容は、『“マジックアイテム開発の新星”をスーバニュ商会から“どう引き抜く”か?』というもの。
その噂話の中には、強引な方法での“引き抜き”な話もあり、ソレを耳にしたリャーラさんたちは、私の事を心配して、こうして私の私兵──親衛隊になろうと、我が屋敷へと来た次第なのだとか。
──やはり、サミラーナじゃ、スケープゴートとしては業界では無理があったか……。
なにしろ、その噂話を聞いて傭兵のリャーラさんたちが我が屋敷へと来たのが、なによりの証左。
さてと、
「ゲイル、我が家に彼女たちを雇う余裕はあるのかしら?」
親衛隊──私兵も使用人にあたるので、裁量権を持つスチュワードのゲイルに問いかける。
「はい、現在の商会からの収入を鑑みて“あり”になります」
「そう」
ゲイルの回答に私は少し逡巡してから、
「リャーラさん、先ずは試験的にあなたたちを雇いましょう」
そう私は答える。
理由は、今のところ噂話レベルである事が第一にあがる。早い話が、リャーラさんたちがタツヤと袂を別ったので同じ傭兵では顔を合わせる事もあるから、気不味いなどの心理で噂話を利用している可能性も拭えないので。
対して、リャーラさんたちは頭を下げ、
「あ、ありがとうございます。お嬢さまの身の安全は我々が必ずお護りします! それと、これからは私のことはリャーラと呼び捨てにしてください。私一人だけ“さん”付けは恥ずかしいので」
そう返事を返した。そんな、リャーラさんの言葉に、
「そうですか、分かりました、リャーラ。これから宜しくお願いします」
と、私は返したのだった。
──さて、リャーラたちが、ゲイルの執務室から出ていくのを見送った後。
「おや? お嬢さま、まだ何か?」
いけしゃあしゃあとお惚けするゲイル。そんな彼に私は目くじらを立て、
「ゲイル、あなたね、“よかれ”と思って屋敷中の照明を空気中の魔力で光るものに変更したみたいだけど──」
「はい、流石はお嬢さまがご考案された新式の照明です。これまで魔石の高騰で照明の維持費に懸かっていたコストが初期投資のみでゼロですよ! 本当に素晴らしい!」
「──あのね、この新式の照明の貴族への普及は、早くても来年を予定しいたのよ! それを屋敷に使っちゃって、お母様の客人の口コミで貴族中に拡散したら、商会でも売らなきゃならないの! これは、もう商会としては、失策中の失策なのよ!」
得意顔のゲイルに向かって捲し立てる! 私の剣幕にゲイルは「あー、それは失念していました」という顔になると、
「あ! 私、急ぎの仕事がありますので、これにて失礼致します」
そう言って、執務室を脱兎の如く出ていってしまった。
──……もうっ!




