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翌日。
ホテルをチェックアウトし、馬車に乗り王都へと続く街道を行く。
帰りも七日の旅路。
馬車の中には微妙な空気が漂っていた。まあ、理由はウィルだ。アレからまだ引き摺ってるようで空気がどんよりと重い。
「なあ、ウィル。アンタさ、ブーメランって言葉知ってる?」
「……ん? あんだよ? ブーメランくらい……──」
「──自分が言った事が“自分に突き刺さる”って意味の方だよ」
ビヴィアがニホンゴでウィルに話し掛けていた。内容は分からないので、何を話しているかは分からないが、状況的に察しがついた。
「アンタさ、私に言ったよね“この世界はフラグで管理された世界じゃない”とかなんとか。ってさ。確かに、そうだったね。私が間違ってた。でも、アンタも似たような事を考えてたんでしょ?」
「…………何が言いたいのよ?」
「“前世からの恋心”、粉々に砕かれちゃったね」
ウィルの眉間に皺がより、場の空気が剣呑なものへ。
「…………ッ」
一瞬、ウィルは握った手を振り上げようとして、止める。
なんとも、ギスギスな雰囲気が増したなー……。
私はそんな事を思いながら、馬車の外に目をやると、過ぎゆく木の陰に盗賊の姿を散見するも、私たちの馬車を襲う気は無いようだ。おそらく、ビーチでのひと騒動が効いているのだろう。“憲兵隊を顎で動かせる侯爵家”の噂話は、私の耳にも入っていた。実際に、アレは憲兵隊が過剰戦力を投入しただけなのだが……。
ま、その結果、帰りの七日間は何事も無く王都へと帰れたワケなのだが。
──王都へ到着した夕刻。
城門をくぐり抜け、直ぐの広場で一旦、馬車を止める。私は馬車から降りて、同じく馬から降りたリャーラさんと面向かい、
「行き帰りの護衛、お疲れ様でした。此方はバカンス中の依頼の報酬になります」
私はバカンス中にリャーラさんたちに頼んだ護衛依頼の報酬を手渡す。
「いやいや、こちらこそ色々と世話になった」
「いえいえ、それ程のことなどしてませんよ。では、行き帰りの護衛の依頼料は傭兵ギルドの方から受け取ってくださいね。それでは」
「ああ。またな!」
「はい、リャーラさんたちも、お達者で!」
リャーラさんたちと別れの挨拶を交わす。そして、私が馬車の中に戻ると、馬車は屋敷へと向けて発車した。




