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食堂に入ると、お父様が既に座席に座っており、
「おはようございます、お父様、お母様」
朝の挨拶をして着席する。
料理が皆の前に揃い、お父様の祈りの合図でお祈りし、朝食が始まる。
「──フィーリア、今日より侯爵家跡取りとして宜しく頼むぞ」
「はい、お父様。精進致しますわ」
「フィーリア、頑張ってね」
お母様からの励ましの言葉に、私は胸中で……ゴホン、ゴホン、おっと、胸中とはいえ、はしたないことを言いそうになってしまった。反省、反省。
「はい、励ましのお言葉、ありがとうございます、お母様」
「ところで、ゲイルから聞いたのだが、昨日、執事見習いとして隣のウィルが入ったそうだが姿が見えぬな」
「さあ? どうしたのでしょう?」
前世とは異なり、寝坊助のウィル。食堂にも、まだ来ておらず、当人には使用人の自覚があるのだろうか? こんな事を私が考えていると、──
──バタンッ!
勢いよく開かれる食堂の扉。会話で賑わっていた食堂は、シーンと静まり返り、ゼェゼェと息を切らすアホンダラに注視してしていた。
「……ゼェゼェ、す、すみません、遅くなりました……」
開けた扉に寄り掛かるウィルの服装はかなり乱れており、ネクタイは曲がっていたり、シャツの裾が出ていたり、髪もボサボサと、執事見習いとしはあるまじき出で立ちだった。
「──あっはっはっは。初日から寝坊とは、ウィルくん、三年も会わないうちに随分な大物になったものだね」
豪快に笑うお父様。けど、目はまったく笑っておらず、厭味が滲み出ている。
対して、ウィルは、
「……いやー、……あ、……め、滅相もありません。以後、気を付けますので、どうか、どうか、お目こぼしを!」
一瞬、ふざける気満々だったが、周囲の目に身なりを正してから、土下座で謝った。
その姿にお父様は一つ息を吐き、
「以後は気を付けなさい」
やれやれと、ウィルの事を許すのだった。
「ははー! ご主人様の寛大なる心遣い痛み入ります!」
ウィルは土下座したまま頭を床に擦り付けて、許しの言葉に返事をするのであった。
玄関先でお父様の登城のお見送りを済ませ、私はシャロルを連れて屋敷に入る。目的地は私の執務室。場所は私の自室の直ぐ隣で、ドアを開けて中にはいると、そこにはお父様の書斎のような立派な執務机が窓の近く、外からは机の上は見えない絶妙な配置に鎮座していた。
私が執務机の席に座ると、
──コンコンコン。
「どうぞ」
「失礼します」
私の入室の許可を待って、お父様の第二秘書のイサーラが王宮から持ち出し可な書類の束を持って入室してきた。
──案外、多いのね。
胸中でイサーラが執務机の上にドンと置いた書類の束に辟易しつつも、イサーラにサポートしてもらい仕事を始める。




