4
食事を終えた私は一旦、自室に戻りひと息吐く。
「……はぁー。明日からは猛勉強か……」
椅子に腰掛け、明日からのビッチリした予定に頭を痛める。実質、部屋に缶詰めな予定に早くも息が詰まりそうだ。
それでも、午後は楽しみだ。我が家が土地の代わりに特権として持っている商会から、代表取り締まりの後継ぎである娘──クリスティーナと、元は我が家の商会でマジックアイテム開発の主任をしていたが第一線を退き今はマジックアイテム開発には欠かせないアドバイザーの老魔法使いのナルタス、私のマジックアイテム開発のサポート兼将来は開発を任せたいと思っている若い魔法使いのサミラーナが来る。
正直、私以外に家の後継者がいたなら、私は商会のマジックアイテム開発部門に入り浸っていた事だろう。
「さて、そろそろ、お風呂に入りましょう。
シャロル、行きましょう」
「はい」
使用人用の扉を開き返事をするシャロル。
我が家の、お風呂は大きく分けて大勢入れる大浴場と幾つかの個人用バスタブがある。
私とシャロルは大浴場を使っている。
「──うっひょー♪ 大浴場、独り占めだぜ♪ おっし、独り占めだし全裸でもいいよな♪」
私とシャロルがボーッと大浴場のお風呂に入っていると誰か──いや、声からしてウィルが入ってきたようだ。我が家の大浴場は湯浴み着着用が必須なので混浴である。
……そういえば、先程、何か変な事を言っていたが、なんだったのか? ボーッとして、思い出せないまま、湯けむりを通り抜けてウィルが現れた。
「──ファ!?」
「──ニャ!?」
「──あ゛?!」
湯けむりを通り抜けできたウィルは、なんと湯浴み着を着用していなかった!?
………………。
──ザパァーン!
シャロルが湯船から素早く立ち上がり、
「お嬢さま、不浄なものをお見せして申し訳ありません。直ぐに“綺麗にします”ので、暫し、お待ちを」
そう言うと、棒立ちなっていたウィルの耳を掴み、引き摺って行く。
「……分かっているのですか! 貴方は! 我らがレーグラ家に仕えるのであれば、ルールはしっかりと守りなさい!」
「……え? ちょっと、なんで、マコ……──フィーリアとシャロルが入って……」
「気安く、お嬢さまの名前を口にしない!」
──ゴチン!
湯けむりで見えないが、何か起きてるのか想像できてしまうシャロルとウィルのやり取りに、はしたないが、私はつい失笑してしまった。
さて、夜が明けて翌日。
今日から午前中はお父様の仕事の真似事──いや、細やかな手伝いといった方が正しいか。お父様の第二秘書のイサーラが先生となり指導とサポートをしてくる。仕事の内容は、お父様が受け持つ書類の重要ではない決済などのチェックを任されている。
私はベッドから起き上がり、
「ありがとう」
サッと無言で水の入ったボウルが置かれた台を差し出したシャロルに礼を言って顔を洗う。次にクローゼットに向かい寝間着から普段着へ着替えて、ヘアなどをセット。私の専属はシャロルと、今は何処にも姿が見えない昨日付けで私の専属の執事見習いになったウィルだが、ヘアセットなどにはヘルプが入る。まあ、着替えの時点で異性は退室になるので、ウィルがいなくとも問題は無いが。
シャロルと三人がかりで私のメイクまで終わり、
「ありがとう、皆。それじゃ、朝食に参りましょう」
「「「はい」」」
シャロルを含めた侍女たちと自室を出て、食堂に向かう。




