48
座った私と、立ったままのウィル。冷静な私と、今にも爆発しそうな“大神 実”。無言の見詰め合いが、暫く続く。
そして、徐にウィルの手が私の首に伸びてくる。
「──お嬢さま! バーベキューの食材、予約してきたよー♪」
そこへ、ホテル側から戻ってきたビヴィア。ウィルの手は私の首を絞めるか絞めないかの瀬戸際で止まっていた。
「……あれ? もしかして、修羅場?」
「違うわよ。ちょっとした、冗談」
私は自分の首に伸びたウィルの手を払い、波打ち際から立ち上がると、ビヴィアの方へと移動する。
「それで、どんな食材を予約できたの?」
「あ! それね、聞いてよ♪ カニ・エビ・大きな貝に、他海鮮いろいろと、特級の牛肉に、同じく特級の豚肉に、ソーセージ! それと、野菜も盛り沢山なんだから!」
「そう。それは楽しみね♪」
日が沈みだした頃、ホテルに戻ると、ちょうどシャロルも戻り、
「エターナル・フェニックスの皆さん、侯爵様たちからも快い返事を頂きました」
「そう。ありがとう、シャロル」
「いえ、どう致しまして」
報告を受ける。そして、
「……お嬢さま、何か……、あ、いえ、なんでもありません。失礼しました」
どうやら、シャロルも気付いたようで、私とウィルの距離感を無言で感じ取ったようだ。
バカンス最終日の七日目。
今日も晴天なり。
ビーチには私たち、お父様たち、エターナル・フェニックスのフルメンバー全員が揃い、炭火の上のグリルの上で焼かれる様々な具材が刺さった串を見やる。
「うっひょー、BBQか! オレ、この七日間、ロクなモノ食わしてもらってなかったからな♪
なあ、お嬢さん、これ、目一杯食っても?」
「ええ、材料はたんとありますから、どうぞ」
どうやら、タツヤはリャーラさんたちからは不遇な扱いを受けていたようで、既に涎を垂らしていた。ってか、タツヤの処遇は自業自得だよね?
「くうぅぅ……、フィーリアが、このような食事会を自ら進んで催してくれるとは……」
「もう、お父様ったら……」
お父様は何故か感動して泣き出す始末。いったい、バーベキューを開くことの何処に泣く要素があるのだろうか?
「まあまあ、美味しそうな薫りが漂いだしましたわ」
お母様はいつも通りのおっとり通常運転。
「さあ、私らも沢山、食うぞ!」
「美味しそう♪」
「食欲をそそるぅ♪」
「タツヤにはやらん!」
エターナル・フェニックスの女性陣も待ち遠しい模様。
──さて、そろそろ頃合いかしらね。
「シャロル、ビヴィア、焼き具合いはどうかしら?」
「はい、そろそろ、よろしいかと」
「うん! 焼き加減、バッチリ♪」
二人の色よい返事に、私は、
「では、バーベキュー・パーティーをはじめましょう!」




