↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
2話 三章 バカンス
PR
47/56

47


 …………。

 ……………………。

 …………………………………………。


 沈黙。潮騒と遠くの観光客の声がやけに響く空間。

 ウィルはよほど緊張しているのか、ウロチョロを止めない。

 それから、どれくらいの時が流れたか、体感時間で数時間後。漸く、立ち止まったウィルは私の正面に立ち、

「……こ、コレ! 昨日、看病してくれた、お、お礼だ!」

 そう言って、ウィルは紙袋を差し出してきた。私は、彼の緊張による汗で湿ってしまった紙袋を素直に受け取り、

「開けてみても?」

 そう問いかける。しかし、ウィルは、

「ダ、ダメだ! 袋を開けるのは、その、部屋に戻って……からで……」

 何故か言葉が尻すぼみになりながら、そう答える。まあ、そう言うのであれば、部屋に戻ってから開けるとしよう。

 それよりも、

「──ねえ、ウィル。横に座って。話があるから。ほら、早く!」

 しかし、ウィルは、私の前に立ったまま。

「なら、そのまま、聞きなさい」

 私はウィルの瞳を見詰め、

「ねえ、ウィル。あなたは、もうそろそろ、“大神 実であること”を辞(・)め(・)よ(・)う(・)よ」

 そう告げる。いつまでも、前世の柵(しがら)みに縋るのは間違いだと私は思っている。前世は前世と割り切らなければ、今世の意味はどうなる?

「……で、できるワケないだろう……。そ、そんことをしたら、わ、私のマコトへの恋心は、どうなるのよ!!」

 それは、大神 実としての悲痛な叫びなのだろう。しかし、残念ながら、私はソレには応えられない。例え、自分が前世だったとしてもだ。

「そうね……。そんモ(・)ノ(・)は棄てるか、その恋心には蓋を閉めてあげなさい。私に向けられても迷惑なだけだから」

 酷な言い方だけれども、これが一番だろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。