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翌日。バカンス四日目。今日は晴れ。
どうやら、この観光地の治安を任されていた憲兵らも、件のメグシャム男爵家の次男の横暴には頭を悩ませていたようだ。メグシャム男爵から、
「──実は正妻の実子故に、次男をおいそれとは放逐する訳にもいかぬ。なんとか、してくれぬか?」
と、頼まれていたそうな。そこへ、私たちからの相談で“渡りに船”と、こうして、私たちの作戦への協力を憲兵が惜しみなくしてくれた。
私は、この地域の憲兵隊長と一緒に、私が泊まっている部屋のベランダからオペラグラスでビーチを監視。横にはマジックアイテムの無線機の片方を完備。ちなみに、もう片方はビーチにいるウィルの側に置いてある。
さて、ビーチはというと、
「あはは♪」
「うふふ♪」
とリャーラさんたちが水着姿で戯れている。幻影の札で私に変装したウィルがビーチに広げたパラソルの下でデッキチェアで寛いでいた。
──さてさて、獲物は餌に掛かるかな?
「おや、来ましたよ」
憲兵隊長の言葉に見てみれば、確かに、チンピラがリャーラさんたちの方へ。そして、パルウムと取り巻きたちは忍び足で、私に幻術で変装したウィルの方へと進んでいた。
無線機からリャーラさんたちのやり取りが聞こえてきた。
「よおよお、ネェーちゃんたち、イイ体してるな♪」
「俺らとイイことしねぇーか?」
チンピラがリャーラさんたちに接触。
「なによ! あんたたち!」
「ここはアンタらのような輩が来る場所じゃないわよ!」
「そうよ、出ていきなさい!」
「そうだ! そうだ! あっちに行け!」
リャーラさんたちは、チンピラに不快な態度を示し、態と私に扮するウィルから意識を外す。
チンピラの対応にリャーラさんたちが集中していると見るや、パルウムたちが動き出す。抜き足、差し足、忍び足と、ウィルへと背後から近付く。そして、
「動くな!!」
パルウムの取り巻きが、私に扮したウィルを人質に取り、自分たちの勝利を確信していた。
「へへへ、お前らの雇い主は、ご覧の通り、俺らの手の内だ!」
「大人しく、投降しろ!」
チンピラに集中していたリャーラさんたちが振り返り、形勢が決したとパルウムたちはニヤリと醜悪な笑みを浮かべて思っている事だろう。
私はオペラグラスを離して、隣にいる憲兵隊長に首肯して合図。
憲兵隊長も首肯すると、信号旗を振って合図する。すると、ビーチのホテル側の茂みから、まるで蟻が砂糖菓子に群がるように憲兵たちが溢れ出た。ってか、過剰戦力だった!
「んなっ!? なんだ、貴様らは!?」
侯爵令嬢を人質に取り、得意満面だったパルウムたちは、突如、現れた憲兵に包囲されア然となる。
その隙を突いて、リャーラさんたちがチンピラを、
「マジ、お間抜けだね!」
「身の程知らずね!」
「女の敵!」
「クズには、容赦しない!」
瞬く間に制圧。さらに、
「──いつまで、触ってるんだ? ああ゛?!」
何故か、キレ気味のウィルが自分を捕まえたパルウムの取り巻きの一人をフルボッコにした。
そこへ、憲兵たちが包囲の輪を一気に狭めてパルウムとその一党を捕縛した。
こうして、パルウム・メグシャムは、メグシャム男爵家を追われて、取り巻きとチンピラたちも含めた全員が鉱山での強制労働行きと相成った。もっとも、これは後日談。




