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侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
2話 三章 バカンス
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「──プッハー! あー食べた食べた、ご馳走さま。んで、シャロルからは道すがら話は聞いてるが、逆恨みしたボンクラからの護衛で、いいのかい?」

「ええ、確りと報酬も払うわ」

「よし、きた! その護衛依頼、受けようじゃないか!」

 リャーラさん以下、エミリー、ネイア、シューリスのエターナル・フェニックスの女性陣は私の泊まっている部屋でルームサービスで注文した昼食を取り終え、依頼の話を切り出した直後にリャーラさんが二つ返事で了承。

「あら? あの男性は?」

 私はふと、エターナル・フェニックスの影の首魁だったタツヤがいないことに疑問が口に出る。

「ああ、アイツは私らの宿屋で荷物番さ」

 リャーラさんが代表して答えた。

「ふーん、そう」

 私自身も差して気にしているわけでもないので、それで済まし話を進める。

「さて、依頼の詳細についてだけど────」



 バカンス三日目。今日も雨。

 今日からはリャーラさんたち四人も、私の泊まっている部屋を寝泊まりに使ってもらっている。

「……なあ、お嬢さま。例のボンクラだが、締めちまうってのはなしかい?」

 リャーラさんからの提案に私は、

「……そうね、禍根を残すよりは、その方がよさそうね」

 リャーラさんの意見に乗る。

「よし! じゃあ、作戦会議といこうぜ!」

「あは♪ なにそれ、面白そうね♪」

「へぇー、で、具体的にはどうするつもりなんだ?」

 拳をパンと自分の手にぶつけるリャーラさんの言葉に、ビヴィアとウィルが反応。

「なーに、様はそのボンクラが社会的な地位が剥奪されるような罪を犯す状況を作ってやれば、後はどうとでもなるさ!」

「……な!? まさか、お嬢さまを──!?」

「そいつは半分正解で半分外れだ。おいおい、そんな目くじら立てるなよ、少年。お嬢さまに扮した囮を使うのさ!」

「…………そうか……」

 リャーラさんの言った作戦に、ウィルが何かを想像した直後の一瞬、殺気を放つが、彼女の続く言葉に怒りの矛を抑えた。前世の実だったら、即乱闘だったわね。リャーラさんのいまの言葉は。

「聞くに、ボンクラの様な輩の傾向として、次にお嬢さまの前に現れるときは、おそらくだがチンピラを雇って、こちらの隙を突いてくる可能性がある。勿論、雇わずに取り巻き連中がチンピラの代わりになる可能性もある。しかし、だ。いずれにしても、奴等はお嬢さまを狙ってくる」

 話を続けるリャーラさん。この場にいる全員が耳を傾け、続きを待つ。

「後は囮役にそのボンクラが手を出した瞬間に憲兵に捕まえさせる。っていうのは、どうだい?」

 そう締めたリャーラさん。しかし、不確定、要素がある。先ずは、ビーチの監視。私たちが先日に文句を言ったので、これからは監視が厳重になるだろう。次に囮役だが、状況的に今度は前回の誘拐事件のように、またビヴィアを使うのは得策ではない。

「うーん、ビーチの監視は一昨日に私らがホテル側に報告したから、そもそもとして無理じゃね? 他にあのクソガキが襲ってきそうなシチュエーションは無さそうだし……」

「それなら、ホテル側に言って、敢えて監視を解いてもらえば、いいわ」

 ビヴィアの指摘にエターナル・フェニックスの副リーダーのエミリーがそう言う。

「じゃあ、お嬢さまに変装した囮役はどうする?」

 確かに、ウィルの言った通り、そこが問題だ。ビーチの監視を敢えて解いて誘い出しても、掴まった囮役が女では私自身がなったにも等しい。かと言って、ウィルでは体格差があり過ぎるし……。

「それね、“幻影(イリュージョン)”が使える魔法使いがいたなら、即問題解決なのだけどね」

 ネイアが無い物ねだりに、そう言った。

 ……“幻影”を使える魔法使い……ね。…………ッ!

 私はあることを思い出して、椅子から立ち上がると即座に行動にでる。それは、私のトランクケースの中にあるのだ。

「……ちょっと、急にどうした?」

 リャーラさんの疑問には取り合わず、私はクローゼットの中に置いてあるトランクケースを開けて中をゴソゴソ。

「……あった! あったわ! これよ、これ!」

 私はトランクケースから取り出した物を手に皆のところへ戻る。

「なにかしら?」

 シューリスが興味津々に覗いてきたので、私はソレを手に取り説明する。

「これはね、幻影(イリュージョン)と同じ効果をえられる魔法陣が描かれたマジックアイテムの札よ!」

「なんだと!?」

 リャーラさんは度肝を抜かれたのか、ガタンと椅子を蹴って立ち上がり大声を上げた。

「うわっ、出た。お嬢さま、お得意のお札だ!」

 ビヴィアは普段はスリープの魔法陣の札で眠らされているので、どこか及び腰。

「へえー、イリュージョンの札か。どう使うんだ?」

 ウィルはどこかワクワクしている。なので、

「先ずは、幻影(イリュージョン)で見せたいモノをイメージしながら、魔力を込め……──」

「え? ちょっと待って!」

 私がウィルの期待に満ちた視線に応えようと、早速、幻影(イリュージョン)の札の使い方の説明途中で、ネイアから待ったがかかる。私は何ごとかと、

「どうかしましたか?」

「いやいや、「どうかしましたか?」じゃないですよ! 物に魔力を込めるって、そんなの魔法使いしかできないよ!」

「…………はひ?」

 私の目が点になる。いったい、ネイアは何を言っているのだろうか? 

 私はシャロル、ウィル、ビヴィアを見やり、

「魔法使いって、呪文を唱える人の事よね?」

 三人にそう問う。対して、三人はその問いに、それぞれ、

「……えーと、確か、魔力を操れる者からが現在では魔法使いと呼ばれるそうです」

 シャロルは知識を思い出して、ネイアの発言を肯定。

「……え? そうなの?」

 な顔のウィル。

「へぇー、そうだったんだ」

 ビヴィアは右に同じく。

 ──結果、どうやら私は、

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