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翌日。
雨。
部屋の中で日がな一日を過ごす私は、シャロルに、
「シャロル、リャーラさんたちに連絡を取ってもらえる?」
「はい、例の男爵家の次男たちの件ですね」
「ええ。お願いね」
「はい、行ってまいります」
リャーラさんたちに繋ぎを取ってもらう。彼女たちには王都への帰りでも護衛を依頼しているが、バカンス中はフリー。ならば、ここで雇っておくのが得策というもの。
シャロルが出掛け、私はホテルの部屋の安楽椅子に腰掛け本を広げる。
「なあ、マコ──お嬢さま、なんか楽しいことしないか? ってか、シャロルは何処に行ったんだ?」
本を読みつつ私は答える。
「シャロルは傭兵団エターナル・フェニックスの人たちに護衛の依頼に行ったのよ。ほら、昨日、ビーチを大威張りで占拠していた男爵の次男がいたでしょう。アレの逆恨み対策に、ね」
「ふーん、そっか……。
でさ、お嬢さま、なにか楽しいことしようぜ!」
視線は本に向けたまま私は、
「楽しいことって? 下らない事は止してよね……」
ウィルに釘を刺しておく。彼の前世の実のときから、“楽しいこと”が私──前世の僕──にとっては骨が折れる疲れごとであったのは言うまでもない。
「大丈夫! 単にホテルを隅から隅まで探索するだけだからさ!」
──うん、下らない事、決定。
「あら、ソレは面白そうね♪」
ビヴィアがウィルの意見に同意を示す。が、
「あなたたち、迷惑って言葉、知ってる?」
私は本に栞を挟んで閉じると、安楽椅子から立ち上がり、バカを言う二人の背後に立って、
──ゴン!
「いてっ!」
──ゴン!
「ひぎゃっ!? 角で叩かないでよ……」
本の背表紙でチョップ。
「まったく、あなたたちは、大人しくしてなさい!」
昼になり、ルームサービスで注文して、部屋で昼食を取っていると、──
──コンコンコン。
「お嬢さま、リャーラ様たちをお連れしました」
「どうぞ、入ってもらって」
「はい、失礼します」
ドアを開けて入ってくるシャロルとリャーラさんたち。やはり、貴族のホテルは物珍しいようで、リャーラさんたちは視線を様々な方向へと向いていた。
「こんちには、リャーラさん。先ずは、お昼、ご一緒しません?」




