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侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
2話 二章 海に行こう! Side:ウィル
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 体感時間で一時間。もっとも、実際に経過したのは約十分程度。

 漸く、傭兵が姿を現す。だが、その恰好は、

「──ビ、ビキニ鎧!──」

 ビヴィアが喚く通りのシロモノだった。ここは水辺などではない。なのに、ビキニとか公序良俗に反してないか? 前世の私でも流石に場所を弁えない恰好はしなかった。しかし、傭兵である彼女たちはその恰好のまま堂々としていた。

 だが、やはり公序良俗違反らしく、侯爵たちがビキニ鎧の傭兵たちの姿を目にして固まっていた。シャロルもまた呆気にとられ、棒立ち状態。

 誠が侯爵に代わって、傭兵に挨拶。と、同時に「服を着るように」と指摘。やっぱり、そうだよな。ところで、いったい誰が傭兵の彼女たちにビキニ鎧なんて物をすすめたのか?

 答えは直ぐそこにあった。シャロルの予備の服を着る傭兵の女性陣とは離れた場所にいる男──現在、誠が話をしている人物が元凶のようだ。場所が離れており会話の内容は分からないが、誠は大層ご立腹の模様。話は傭兵の女性陣が服を着終えたところで終わったようで、誠が戻ってきた。

「──……そろそろ出発しましょう」

 そして、誠のその号令で、皆、馬車や馬に乗り、改めて、出発である。



 旅一日目。

 王都の城門を出たところで奇抜な恰好の傭兵たちと遭遇。誠の取り計らいで、傭兵の彼女たちに服を着せて事無きを得る。

「あれ? ウィル、日記?」

「おい、勝手に見るな!」

 現在、オレとビヴィアは馬車の中で雑魚寝である。誠たちは町のホテルに宿泊。ちなみに、オレらが馬車の中で雑魚寝は見張りの意味もあるのだ。

 そうそう、誠はこの町に着いた時に傭兵の女性陣に、あのアタッシュケースに入ってたアクセサリーを「お近付きの証」と言ってプレゼントしていたな。んで、受け取ったアクセサリーを身に着けた傭兵の女性陣は、唐突に、

「あ、あの、衣服を買ってきますので、暫しお側を離れる許可を」

 と、曰い、町に服を買い出しに行ってしまった。いったい、彼女たちはどうしたのだろうか? まあ、帰ってきた傭兵の女性陣たちは確りした旅服に着替えており、シャロルから借りた服を丁寧に折り畳んだ状態で返してきたのだった。

「それ、多分、お嬢さまがプレゼントしたアクセサリーが原因ね」

「ッ! なんだよ! いきなり、人の思考に口を挟むな!」

「いや、だって口に出して喋ってたじゃん」

 ──んなっ!?

 考えが口に出ていた、とは!? 反省、反省。これからは気を付けないと。

「んで、誠──お嬢さまがプレゼントしたアクセサリーが関係してるって、どういう意味だよ?」

「詳しくは知らないけど、傭兵の中にいた男──確か、名前はタツヤっていうのが、魅了の魔眼持ちらしくて、其れの対策に、お嬢さまがアクセサリーをプレゼントしたらしいわ」

「そうか。ってか、“マガン”って、なんだ?」

「…………アンタね、この世界の中学で習ったでしょ。魔法使いよりも生まれる確率が極端に低い、眼に生まれ以ての魔法を宿した奴のことよ」

「へぇー、そうなのか。オレさ、魔法関連は、ちんぷんかんぷんでよ。お嬢さまが描く魔法陣も何が何だか分からん」

「確かに、お嬢さまの描く魔法陣は私にも理解できないし、お嬢さまにお付きの魔法使いたちも正しく理解出来てなかったわね。そういえば……」

 ま、詰まりは傭兵の中にいる唯一の男──タツヤの魔眼に魅了されていた傭兵の女性陣を、その魅了から守る為にアクセサリーをプレゼントしたってことのようだ。

 オレは日記を荷物に仕舞うと、座席に横になる。

「おや? もう寝るの?」

「当たり前だろ」

「折角、男女が密室で二人きりなのに……」

「抜かせ!」

 オレは素知らぬフリでビヴィアに背を向けて寝る。



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