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陽が水平線に掛かる頃。
「うおーっ! マジか? マジなのか! どんだけ、豪華なんだよ!」
それはビヴィアが上げた雄叫び。理由は到着したサネイラ・ビーチのまん前に建つ豪奢なホテル。成金趣味なギラギラした外観で、エントランスの飾りも趣味としては悪い。
「ようこそ、いらっしゃいました!」
馬車を降りた私たちは慇懃なホテルマンに導かれ、ホテルの中へ。
お父様の侍従がカウンターで手続きを済ませて、戻ってくる。
「お待たせしました、旦那様。こちらが部屋の鍵になります」
侍従は部屋の鍵を、お父様、私と手渡し、残った二つの内の一つをシャロルに手渡す。
ちなみに護衛のリャーラたちは、このホテルから少し行ったところにある宿に泊まるのだとか。
「さて、では部屋に行くとするか」
お父様のその言葉に私たちは肯く。
ホテルの部屋に入ると豪華絢爛であった。さすがは、成金趣味といったところか。ちなみに、シャロルたちは、この部屋と内ドアで繋がった部屋に宿泊。
私は早速、トランクケースを開けて、ここで着用するドレスを出す。ま、一応、水着も出しておくか。
コンコンコン。
「はーい、待ってて」
私は取り出した水着をソファーの背の上に放り投げ、ガチャリと内ドアを開けて、シャロルとビヴィアを招き入れる。
「うっひょー! なに、この超豪華さ! 私たちの部屋とは雲泥の差じゃん!」
入ってきたビヴィアは早速、文句を垂れた。私はシャロルたちが泊まっている部屋を見ていないので分からないが、ビヴィアの反応から相当に差があるようだ。
「お嬢さま、衣服の方は私たちがクローゼットに移しておきます」
「ありがとう、シャロル」
さて、シャロルが私が出したドレスなどをクローゼットへと収納している間、ビヴィアは、
「うっはー! なにこのソファーのクッション、柔らか過ぎっしょ!」
子どものように私の宿泊部屋ではしゃぎ回っていた。更に、
「うっわー、お嬢さま一人でスイート独占とか、贅沢三昧ですなー♪」
ベッドルームに入ってベッドの上で跳ね回るビヴィア。職務を放棄して、いったい彼女は何しに来たのか……。
窓の外が夜闇に覆われた頃合い。
──コンコンコン。
「フィーリア、ディナーに行きましょう」
お母様がドア越しに呼び掛けてきた。馬車に乗ってたときとは異なるドレスに着替えた私は、
「はーい、今行きます!」
お母様への応答をする。
「え? ディナー! 私も行くー!」
どうやら、ビヴィアにも、お母様のドア越しの声が届いたようで、今まで飛び跳ねていたベッドから降りてきた。
「……本当に来るの?」
「なに言ってるのよ、お嬢さま。モチのロンよ♪」
私はビヴィアに確認する。すると、二つ返事で返ってきた。はてさて、ビヴィアは分かっているのだろうか? まあ、分かっていなくて泣きを見るのはビヴィアなので、私は何かを言いたそうなシャロルを手で制して、
「では、ディナーに行ってくるわ。留守番はよろしくね、シャロル」
「はい、かしこまりました。いってらっしゃいませ」
かくして、ビヴィアは自分が直ぐにディナーが食べられず、立ちっぱなしになることに意気消沈したのだった。




