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四日目。旅は順調で、盗賊や魔物には遭遇していない。それと、エターナル・フェニックスの女性団員たち──リーダーのリャーラ、副リーダーのエミリー、槍使いのネイア、弓使いのシューリスは、一日目に宿泊した町でディスペルの魔法陣が刻まれたアクセサリー──王都から遠くに出るので、自分や家族たちの為、念の為に用意していた──をプレゼントしたら、これが効果覿面! ディスペルの魔法陣が魔眼にも効果を打ち消す事に、私は満足。
そして、どうやらエターナル・フェニックスの女性団員たちのタツヤへの好感度はせいぜいが“好きかも”止まり。正気に戻った彼女たちは、直ぐ様に町へ服とちゃんとした防具を買いに行き、あの恥ずかしい装備から着替えたのだった。
海のリゾート地までは後半分。
二台目の馬車の中では、私、シャロル、ウィル、ビヴィアの四人はカードゲーム──トランプと同じもの──に興じていた。内容は、七並べ。
「……おいおい、誰だ? ハートの六を止めてる奴は?」
「ウィル、お嬢さまの手前ですよ。言葉を慎みなさい!」
「いいわよ、シャロル。そんな、目くじら立てなくても」
和気あいあいと道行く馬車の中で寛ぐ。
「……あー、もう、なんで、これといったイベントが起きないのよ! 初日のあれはなんだったのよ!」
ビヴィアがニホンゴで何やら喚いているが、無視よ、無視。大方の内容は、把握している。ウィルによれば、ビヴィアは“この世界を乙女ゲー世界と勘違い”しているのだとか。私はニホンゴの口語はもう無理だが筆談は可能。故に、ウィルからビヴィアの情報を得ていた。
そうして、五日目、六日目ともに順調。遂に七日目。今日の夕方には、目的地のサネイラ・ビーチに到着予定。サネイラ・ビーチは裕福層や貴族向けに整備された観光地。その分、物価は高いが最高のもてなしを約束している。
昼食を取った町を出ると、次は目的地のサネイラ。馬車は同じく、サネイラへと向かう他馬車と共に道を行く。
暫く進むと、前方から、
「──盗賊だー!!」
まさか、ここにきての盗賊の襲撃! だが、馬車が密集している分、護衛の数もそれなりに膨れており、盗賊たちが襲撃してきても、対処は可能。
「よっしゃー! 遂に、きたきた! 盗賊の襲撃よ!」
「マジか!?」
まったく、ビヴィアはハイテンションだ。ウィルは私とは反対の窓に顔を押し付け、私も馬車の窓から外を覗き見る。
残念ながら、盗賊が襲撃しているのはかなり前方の方で、ここいらには……、
──ヒュッ、トス!
それは、矢だった。その矢は、隣にいた馬車の外壁に刺さると、街道の横合いから盗賊たちが染みのように溢れ出た!
「皆さんは馬車から出ないように!」
リャーラからの指示に、私は馬車の窓から離れる。
「ねえねえ、お嬢さま! 観戦、しようよ!」
「ビヴィア、あなたね、なに言ってるのよ?」
どこまでも、お気楽なビヴィアに、私は釘を刺す!
「盗賊の対処はリャーラたちに任せて、私たちは大人しくしてるのよ!」
やはり、念の為の用意はしておくもの。私は、私たちとお父様たちが乗る馬車にマジックアイテムの防御結界の魔法陣を描いた札を貼っている。効果はちゃんと出ているようで、飛び交う矢などが馬車に刺さらず、弾き返されていた。
体感時間で三十分後。
──コンコンコン。
「盗賊は無事に撃退したわ。我々の被害は運良く無しよ!」
リャーラからの報告を馬車のドア越しに受ける。
「そう、ありがとう」
私は彼女たちを労う。そして、暫くすると、馬車は再び、走り出すのだった。
「チェ。折角の戦闘イベなのに、馬車の中で待機とか、マジ無いわ……」
ビヴィアのニホンゴによるボヤキに、意味は分からなくとも私は息を吐いた。
──本当、危機感がまるで無いのね……。
私たちの馬車が進む中、途中で追い越した幾つもの馬車では少なからず被害があったようで、馬車に矢が刺さったり、中には窓を割られていた馬車もあった。
「うっへー、マジかよ……」
ウィルはそれらを見て、認識を改めているようだった。




