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シャロルとウィル、ビヴィアに付けた監視役の侍女を伴い、私は先ずは近くの憲兵の詰め所に。
そこには、運良く顔見知りの憲兵がおり、簡易的な経緯の説明で、ビヴィア救出に三班──一班は班長と四人の憲兵からなる──を出してくれた。
場所は繁華街から路地を二本ほど入った場所。繁華街とは異なり、寂れた路地には潰れてしまった飲食店がズラリ。その中にある一軒のパブを指差す監視役の侍女。
憲兵たちは頷くと、一班が裏口に回り込み、残った二班が正面玄関に陣取る。裏口に回った班の一人が合図した。
その合図に正面玄関に陣取った憲兵たちが、潰れたパブの中へと突入する!
「──憲兵だ! 大人しくしろ!」
私たちは一先ず、外で待機し、潰れたパブの中から聞こえるドタバタ音が鎮まるまで待つ。
憲兵たちが突入より体感時間で約十分ほど。
「そろそろ、賊は捕まっている頃合いでしょう。お嬢さま、我々も行きましょう」
「ええ、そうね」
シャロルの言葉に肯き、私たちも行動を開始。
シャロルを先頭に私、ウィルと続いて、最後尾は監視役の侍女。
パブの中は予想通り、憲兵による制圧がほぼ完了して、捕縛された連中はグルグル巻きにされて一箇所に集められていた。しかし、二階部分、そこで睨み合いが続いていた。
「──テメーッらっ! 近付くなよ? 近付いたら、レーグラ家のお嬢様の顔に傷が付くぜ!」
私たちは音を立てないよう、ゆっくりと階段を上り、倒れたテーブルの陰に隠れる憲兵と合流。
「状況は?」
「見ての通り、我れらの班長が誘拐犯の親玉と対峙中です」
なる程。この憲兵の班長と別の憲兵が三人の計四人が、ビヴィアを盾にする誘拐犯の親玉と睨めっこ。
状況的には膠着状態。実際のところ、ビヴィアの事は当初は見捨てても構わないつもりであったが、現在の状況を鑑みるに以後もビヴィアは囮としては役に立ちそうなので、救出を試みる。
廃パブの二階に、ピーンと張り詰めた雰囲気。
私は倒れたテーブルの陰に隠れている憲兵に、話を持ち掛ける。
「こちらのシャロルが左側から回り込みますので、あなたは右側から回り込んでいただけますか?」
「……いいだろう。了解した」
どうやら、オーケーのもよう。ふと、親玉と対峙している班長さんらを見れば、他憲兵の一人が親玉に見えない位置で手指示。そういうことか。
シャロルも黙って肯き、音を立てずに移動を開始。
「……なあ、お嬢さま。オレは?」
「あなたは私とここで見てなさい。余計な事はしないの!」
ウィルが自分も役に立ちたいと志願してくるが、彼の感覚はまだまだ前世的。下手を打てないこの状況では、私と一緒に大人しくしているのがなによりの得策。
じりじりっと焦れったい時間が過ぎていく。そして、
「──……わかった。人質を解放するなら、貴様だけは見逃してやる」
班長さんは苦渋の決断を下す。それに対して、気を良くした誘拐犯の親玉は、
「へ、へへへ。分かってんじゃねーか! おい、貴様ら武器を捨てろ! 早く!」
人質に突き付けていた刃物を振り回して、憲兵たちに武器を捨てさせる。カランカラン……と、憲兵たちの武器が捨てられた、その刹那──、
「──んなっ!?」
「──きゃっ!?」
背後に回っていたシャロルが人質のビヴィアを救出し、隠れていた憲兵が親玉を床へと押さえ込む!
「て、テメーら、卑怯だぞ!」
「おや? それは、誉め言葉かい?」
班長さんは剣を拾って、押さえ込まれた誘拐犯の親玉に切っ先を突き付け、親玉の文句にニヒルに笑って応答する。
見事な、ミッションコンプリート。




