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──バタン、と扉を閉める私。室内は既に明かりが点いており、中には見知った顔が得意満面な笑顔で立っていた。さて、これはなんの冗談か?
私は見間違いの可能性もあるかもしれないので、ドアをそっと開けると、
「おいおい、ここはフィーリアお嬢さまの部屋で間違いないぜ!」
ドアを開けて私を中へと引き込む男。実に馴れ馴れしい。私はペシッと、私の腕を掴んでいた男の手を払い除け、
「ウィル・イレビドゥスクピディタース、何故、貴方が私の部屋に?」
ピシャリと言った。
……まったく、前世の感覚で部屋に入られては堪ったものではない。
──そう、私──いや、この場合は僕とすべきか、は高二の冬に落命した。
僕の名前は小兎 誠。その日の朝は、いつものように目を覚ますと、隣の家の幼馴染みの大神 実が、僕の布団の上に跨がっていた。
「あ! おはよう、誠!」
「……何してんの?」
僕は目を逸らして、直視を避けながら、布団の上に跨がる実に問う。
なにしろ、実はその手にパン……──いや、下着を両手で拡げていた。
「──んっふっふっ、実はね、誠に私からプレゼ……──」
「……い、いらないよ!」
僕は実のセリフに喰い気味に拒否る。誰が……ゴホン、ゴホン、プレゼントなどいるものか!
僕は視線を逸らしたまま、器用にベッドから抜け出して、洗面所へ。
「──もう、何で私からのプレゼントを断るのよ!」
「……受け取る義務も、義理もないよ!」
あの後、僕は学校の制服に着替え、家を飛び出した。何故なら、顔を洗って、朝食を食べ、部屋に戻ると一悶着があり、気付くと走らにゃ間に合わない時間に。
それはまさに、冬の登校マラソン大会である。
そして、歩道橋に差し掛かったとき、
「ほら、誠、もっと早く走らないと……──」
昨日まで降っていた雪が踏み固められた場所で足を滑らせた実は見事にひっくり返り、僕を巻き込み歩道橋の階段を転げ落ちた。そうして、打ち所の悪かった僕は死んでしまった。
その結果、僕は──私、侯爵家の令嬢フィーリア・ミセリアレブス・レーグラに生まれ変わったのだ。
更にどうやら、彼女もその時に死んだようで、我が家の隣の下級貴族の三男坊ウィル・イレビドゥスクピディタースに生まれ変わり、物心がついたころに周囲に挨拶回りした時に、顔を合わせて気付いた。なにしろ、ウィルはその時に“ニホンゴ”で色々と感想を漏らしていた。本格的にウィルが彼女の生まれ変わりと分かったのは、ウィルが行儀見習いに我が家に来たとき。
──さて、この話の続きはまた今度に────




