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さて、数日も経てばサイレンスのカラクリもバレるもので、
「──ちょっと、シャロル! この札は、何よ?!」
ビヴィアは自分の背中に貼られたサイレンスの魔法陣の札を手に取り、ビリビリに切り裂きゴミ箱に捨てた。……あー、その辺はしっかりしてるのね……。
ビヴィアの行動にウィルも気付いて自分の背中に貼られたサイレンスの魔法陣の札を手にすると、ビリビリと破り捨てた。
「シャロル、どういう魂胆だよ?」
──それ、材料費はかなりするんだけど、なー。後で、二人の給料から天引きしておこう。うん。
私は仕事中のペンを置き、シャロルに代わって答える。
「──あなたたちが、五月蝿いので私がシャロルに頼んで行ったのよ」
「え!?」
「な!?」
「それとね、その魔法陣の札、とっても高いのよ、あなたたちの給料から天引きで弁償してもらうから」
「はぁ?」
「いや、ちょっと待ってよ!」
私は見習い二人の抗議は無視して、
「それと、本当に仕事の邪魔だから、仕事中は一言も喋らないで! 分かったのなら、首肯なさい!」
ピシャリと言い放つ。ホントの本当にビヴィアとウィルのニホンゴでの会話はウザかった。
ウィルは分かったのか首を縦に振る。しかし、ビヴィアは、
「え? 無理無理、喋ってないと、私、死んじゃうし、ニシシ……」
冗談混じりにおちょくってきた。
──ハァー。
私はため息一つ。私の独断でビヴィアのことを処断はできないので、
「シャロル」
「はい」
「コレを──」
「はい、畏まりました」
シャロルにスリープの魔法陣の札を渡す。そして、音を立てないスッとした足取りでビヴィアの背後を取ると、スリープの魔法陣の札をビヴィアの背中に貼り付けた。
「──ん? 同じ手が何度も通用すると思っ……た……ら…………zzz……」
サイレンスの魔法陣の札と勘違いしたビヴィアは、スリープの魔法陣の札も取って破ろうとしたのか、背中に手を回した時点で眠ってしまった。
──さすがはスリープの魔法陣の札は効果覿面。それにシャロルの足運びもニンジャ形無しね。
くたりと床に倒れ、執務室の絨毯の上で眠りこけるビヴィア。
私はウィルに向けて、
「ウィル、この女を執務室の端に寄せといて! 邪魔だから!」
睨め付けながら命令。一瞬、ウィルはビクッとしたが、
「……あ、ああ」
眠ったビヴィアをコロコロと転がして執務室の端に追いやる。
そして、私は、
「ウィル、スリープの札、出しなさい。それと、そのスリープの札はもう使えないわよ」
ウィルはギクッとなり、おずおずと私の目を盗んで取ったと思っていたスリープの魔法陣の札を懐から取り出した。ちなみに、ウィルに言った「札は使えない」は実はウソ。スリープの魔法陣の札を悪用されない為に、隠蔽の魔法陣で、スリープの魔法陣は見えなくなっている。
「……ど、どうぞ」
そんな事などつゆ知らずなウィルはすごすごとスリープの魔法陣の札を私に返したのだった。
「ありがとう」
受け取ったスリープの魔法陣の札を仕舞う。
──コレで仕事に集中できる。
私は改めて執務机の椅子に座り直して、ペンを取り奔らせるのだった。




