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侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
1話 三章 五月病と新たな火種
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 ──次に私が目を覚ましたのは翌日の昼だった。商会の三人も基本的に来るのは週一だし、暇だ。

 ……体は……、今日も怠くて動けそうにない。

 …………そういえば、あの後、ウィルはどうなったのだろうか?

「……シャロル。」

「はい、お嬢さま」

 シャロルは側に控えていたようで、直ぐに応答があった。

「……昨日、ウィルはあの後、どうなったの?」

「はい、ウィルは暫く錯乱して暴れた後、現在は自室の物置小屋で大人しく謹慎しています」

「……そう。それじゃ、私はもう少し寝るわ……」

 ま、これでウィルも少しはこの世界に馴染めるだろう。私はそう思い、二度寝するので──、

「お嬢さま、眠る前に、少しでも食べ物を口にしてください」

 カラカラとカートをベッドの横に押してくるシャロル。そのカートの上には胃に優しそうな料理が載っていたが、私は構わず眠ろうとした。が、鼻腔をくすぐる食事の匂いに、グーとお腹が反応してしまう。

「……分かったわ」

 眠ろうとしていた私はよっこいしょと上半身を起こす。

 カートに載るは、お粥風のパエリア料理だった。その匂いは嗅ぐだけでも食欲をそそる。

「では、失礼します。ふーふー、はい、どうぞ」

「あーん。もぐもぐ、ゴックン。美味しい♪」

 シャロルは私のベッドに腰掛けると、お粥風のパエリアを食べさせてくれた。うーん、空きっ腹に染みる。

 私はシャロルに、あーんをして貰い、お粥風のパエリアを完食するのであった。



 ──数日後。

 謹慎を解かれたウィルが復帰したが、先日のような動揺はなく、普段通りであった。



 ──そして、私が五月病にかかって約一ヶ月が過ぎて、ジメジメした季節。この世界にも梅雨があるようで、そんな季節。

 私は漸く鬱が抜けて、五月病より快復したのだった。

「──うーん、よし!」

 シャロルがやってくるより早く起き、ベッドから抜け出した私は自らカーテンを開ける。そして、窓を開けると、まだ、顔を出したばかりの朝日が優しく私を照らす。

「すーはー、あー、空気が美味しいです」

 梅雨の合間の晴れの日。さて、今日からはしっかりと、お父様のお手伝いもしないと。もっとも、書類の量は半分未満にしてもらわないと。

 私はシャロルたちがくるより前に普段着のドレスに着替える。流石にヘアのセットやメイクは侍女たちがこないと無理なので、一先ず、サイドテーブルに置かれたボウルの水で顔を洗い、水挿しからコップに水を注いで呷る。

「おはようございます、お嬢さま。って、お嬢さま、もう、よろしいので?」

 使用人用の扉を開き入ってきたシャロルは、既に普段着のドレスに着替えた私を見て、目を間開く。

「ええ、ご覧の通り。全快しましたわ!」

 私は自然に微笑み、シャロルにそう返す。

「ああ、お嬢さま、よかったです、全快されて」

 少しオーバー気味なリアクションではあるがシャロルは私の全快を喜び、

「さっそく、侯爵様たちにお伝いせねば……──」

「待って、シャロル」

「あ、はい、何でしょうか?」

「私のヘアセットとメイクをお願い。流石にこの頭ではお父様たちに失礼だわ」

「はい! 畏まりました!」

 勢い勇んで私の部屋を出るより先に、私のヘアセットとメイクを頼む。


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