↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
侯爵令嬢は商会に引きこもりたい!  作者: 白月 仄
1話 三章 五月病と新たな火種
PR
14/56

14

 暫くすると、お父様は王宮に仕事をしに戻り、お母様もお茶会に出掛けた。

 時間は既に午後。

 私は何もする気が起きないので、ボーッと寝ている。

 ──コンコンコン。

「──お嬢さま、クリスティーナ様たちが、お見舞いに来られました」

「……入って、もらって……」

「はい、失礼します」

 私の部屋の扉を開け中へと入ってくる三人。シャロルは扉の横で控え、全員が入ると扉をパタンと閉める。

「おや? 今朝、倒れられたと聞いたが、案外と元気そうじゃな」

「はい、三人の顔を見たら、元気が出てきました」

 ベッドの横にきたナルタス様とクリスティーナ、そして、サミラーナの顔を見て何故か、それまで出なかった元気が出てきた。

 私は上半身を起こして、

「クリスティーナ、新しい魔導灯──懐中電灯の売れ行きはどうかしら?」

「え? ……えっと、ちょっと、待っててね」

 何故かクリスティーナは面食らった顔になり、それから急いで鞄を漁り、書類を取り出して、

「……ええ、順調よ。流石は我らが商会のマーケティング部ね。ターゲット層に合わせての販売で、今のところは他の商会とは角が立ってないわ」

「まあ、素晴らしいわ! これなら、早速、次の段階に行けるわね」

 ハイテンションの私に、怪訝な表情(かお)になるサミラーナ。

「……えっと、お嬢さま、そんなにはしゃいで大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ」

 私はニコリとしてサミラーナに大丈夫をアピールする。ホントにさっきまでの鬱が嘘のよう。

「ナルタス様、次は庶民の家向けの明かりですわ!」

 私はナルタス様やクリスティーナ、サミラーナとの会話に熱中した。庶民向けに敢えて明かりの質を抑える、などの白熱した話し合いが行われ、あれやこれやと会議の時間は賑やかに過ぎていった。他の雑音が聞こえないほどに。


 三人が帰ると、私は電池の切れたようにベッドに倒れ込んだ。

「……あー……、もう……なにも……しない……」

 怠い、ホント、怠い。

 シャロルが玄関まで三人を見送りしているので、今はウィルと二人きり。

「……ねえ、マコト。本当に大丈夫?」

 どうやら、シャロルが席を外しているので、前世のノリで心配してくるウィル。

 だが、ぶっちゃけウザい。五月病の所為かもしれないが、

「……いい加減にしてよ、前世の名前で呼ぶの……。本当にウザいから」

 それは私の本音で、ウィル──いや、前世の続きを生きる実には残酷な言葉だろう。しかし、これが現実。今を生きるのは小兎 誠ではなく、フィーリア・ミセリアレブス・レーグラ。小兎 誠は既に過去の人物。

 私は体に力を入れるのも億劫ゆえ、ウィルが、どんな顔をしているかも見る余裕などない。それに、いつまでも、前世気分ではウィルの命に関わる。ちょうど、よかったのだ。

「…………なんで? ねえ、なんで? なんでよ!?」

 男が女口調は違和感バリバリ。それに、ニホンゴで喚かれても、もう何を言ってるのか分からない。ただ、口調だけは分かったが……。

「……ねえ、マコト! ねえ、ったら!」

 ……だから、前世の名前で……

 ──バンッ!

「──ウィル!? お嬢さまに何をしているのですか?!」

 ……ああ、シャロルが戻ったようだ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。