13
私が、お父様の仕事を手伝いだして早くも一月が経った。
「…………怠い……………、起きたく…………ない…………」
五月病にかかった。
疲労の蓄積、その始まりは日に日に量が増える書類の中に騎士団などの使った経費関連の書類が“態と”紛れ込みだした頃から。
最初は何の冗談かと思い、家に帰ってきた、お父様に書類の紛れ込みを報告した。その時は、
「おお、それはすまなかった。以後、注意するよ」
と言った。
が、次の日に、お父様が、
「フィーリア、すまないが、部署の人員が病気で休んでしまってね。各方面から出された使用した経費を国庫から出すかの一次審査を頼めないかな? 最終審査はお父さんがするから、少し間違えても大丈夫だよ」
と言われて渋々と了承したら、その次の日からは雑務の書類でなく、使用した経費の審査の書類がわんさかとやってきた。
その結果がコレ。
「……ううぅぅ……、もう……ヤダ……」
──ガチャリ、バタン。
「──おはようございます、お嬢さま。朝ですよ」
元気の良いシャロルの声が頭に響く。彼女は私の部屋のカーテンをシャーと開き、笑顔を私に向けた。
が、私にはそれに応える気力もなく、ベッドの中で丸くなる。
「? お嬢さまったら、朝、ですよ! えい!」
うっわ、布団、取られた! 私は無惨に剥ぎ取られた布団を掴むこともできなく、ただ丸まる。もうね、本当に怠くて、何もする気が起きない。
「ほーら、お嬢さま、起きて下さい!」
「…………ヤダ」
シャロルの声を拒否る私。だって、体に力も入らないし……。
「もう、お嬢さま、我が儘ばかり言わないで……」
私の体を揺するシャロルに、私はされるがままだった。もうね、どうでも、よくなってきた。
そして、
「本当に、起きて下さい、お嬢さま!」
強い力で引っ張られ、シャロルを巻き込み、床をゴロゴロと転がった。あー、もう、ダメだ……。
「え!? お、お嬢さま! お嬢さま! お嬢……────」
ん? ああ、そういえば、五月病で怠すぎて二度寝しちゃったんだ、っけ? 目を開けると、私はベッドの中。
そして、周りには心配そうに私の様子を覗き込む、お父様とお母様。あとシャロルとウィル。しかも、ウィルに至っては、お父様に負けない熱い眼差し。
だが、五月病の私には、どうでもいい……。ってか、書類、見たくない……。
私はすべてに蓋をするかのように、どうでもよかった……。ホント、何も、かも……。




